魚に寄生する「アニサキス」。
体内に入ると激しい腹痛などを引き起こす厄介者にある「異変」が。
太平洋側に多かった『食中毒になりやすいタイプのアニサキス』が、日本海側でも増えているというのです。
■魚に潜む寄生虫「アニサキス」 魚が死ぬと内臓から身の部分に移動
大阪市西区の鮮魚店。新鮮で美味しそうな魚がずらりと並んでいます。
【新町魚河岸ゴン権藤正之店長】「今日はね金目鯛、イサギとケンサキイカがよく出た」
ただ、気を付けないといけないのが…
【新町魚河岸ゴン権藤正之店長】「一般人の方が魚さばくっていうのはあんまりないと思うんだけども。アニサキス」
サバやアジ、サケなどの魚に潜む寄生虫「アニサキス」。幼虫は長さ2、3センチほどの大きさで、寄生している魚が死ぬと内臓から、私たちが口にする、身の部分に移動します。
取り除かずに生で食べると、胃の壁などに侵入し食中毒になるおそれがあります。
■「胃の中を針で刺してるような痛み」と経験者は語る
その症状は強烈で…
【アニサキス食中毒で苦しんだ男性】「スーパーでイワシを買いまして自分で刺身にして妻と一緒に食べて。胃の中を針で刺してるような痛みですね。本当に眠れなくて転がり続けるような痛みで一睡もできなくて。本当トラウマですね」
厚生労働省によると、去年のアニサキスによる食中毒は330件報告されていますが、専門家の試算では年間2万人の患者がいると推定されています。
患者が最も食べていた魚はサバ。
太平洋側で獲れるサバはアニサキスによる食中毒になりやすく、日本海側のサバは食中毒になりにくいとされてきました。
■日本海側にも食中毒になりやすいアニサキスが増加
しかし先月、国の研究でサバにある「異変」が起きていることが明らかになりました。
【JIHS国立感染症研究所 杉山広客員研究員】「今はもう太平洋側と日本海側の区別がつかないぐらい危なくなってきてるんですね」
日本海側にも食中毒になりやすいアニサキスが増えているというのです。 その理由について専門家は”地球温暖化”の影響と推測しています。
【JIHS国立感染症研究所 杉山広客員研究員】「海水温が上がってくると魚ってやっぱり割と温度に敏感なんで。日本では北のほうへいくと涼しくなるので、北のほうに上がっていくってということはよくあること」
■「アニサキスが最近はもう(太平洋側と)同じくらいいてる」
毎日、サバを扱う人もその変化に気づいていました。
【kitchenhome 中尾隼店主】「日本海側のサバは比較的少なかったけどアニサキスが最近はもう(太平洋側と)同じくらいいてる」
こちらの店では、全国各地からサバを仕入れ、刺身で食べる福岡県の郷土料理「ごまサバ」を提供しています。
これは前の日に水揚げされたばかりの新鮮なサバですが…
【kitchenhome中尾隼店主】「これです(うずまいてるやつ?)そうですね。腹(内臓)に絶対いてるんで」
■繊細な注意で一度もアニサキスの食中毒が起きたことはない
中尾さんによると、内臓には基本的にアニサキスがいて、少しでも時間が経つと身の方まで移動してしまうといいます。
【kitchenhome中尾隼店主】「ここに1匹います。めちゃくちゃわかりづらいでしょ」
一般の人が結構気付きにくい切り身は、できるだけ薄く切り目視で入念にチェック。
【kitchenhome中尾隼店主】「多少提供に時間がかかっても安全面考えて1枚1枚切ったら見る切ったら見るって感じでやってます」
プロの目と繊細な注意で、店では一度もアニサキスの食中毒が起きたことはありません。
どうしても自分でさばいて食べたい時は、厚生労働省は予防法としてマイナス20℃で24時間以上の冷凍、または、70℃以上の加熱を推奨しています。
(関西テレビ「newsランナー」2025年4月23日放送)