日々報じられるニュースの裏に隠れた“見逃し厳禁”な、おっカネーお金を暴いていこうというコーナーです。
今週火曜日の15日に支給があった“年金”がテーマです。 今回は年金のリアルなお金事情について関西テレビ・藤本景子アナウンサーが調査してきました。
■年金受給額が生活費を下回る事態に “年金相談会”に高まる関心
人生100年時代と言われる中、現在、65歳以上の夫婦が2人で生活していくには、平均で月々およそ28万円、一人暮らしだと、15万8000円の生活費が必要といわれています。
そんな中、年金受給額の平均は、自営業者などが加入する国民年金でひと月5万6000円、会社員が加入する厚生年金で14万40000円。
そう、いずれにしても月々の年金受給額が、毎月の生活費を下回るという、おっカネ~事態に陥っているんです。
【3年前から年金を受給】「体が元気であれば働きたい。…正直、いつまで働けるかな」
老後への不安が高まる中、銀行などで行われている“年金相談会”にも今、関心が集まっているんです。
実は、会社員だった人が受け取る、厚生年金を20万円以上もらっているという人は、全体の16.3%。およそ6人に1人ということなんですが、本当にそんなにいるんでしょうか?
■街で調査 データ以上に厳しい現実
街の人に直接聞いてみました。
(Q.年金の1回の支給額(2カ月分)は40万円以上を超えてる?)
【街の人】「全然超えてないです。国民年金やから、自営業で。払ってるのも少ないから、もらうのも少ないです」
(Q.年金厳しい?)
【街の人】「厳しい!」
(Q.1カ月1人20万円以上もらってる?)
【街の人】「そんなんない」
(Q.いくらあったら安心して暮らせる?)
【街の人】「20万円!2人で20万円やったらな、なんとかな」
【街の人】「使ったらキリがない話やから、でも、生きられるか生きられないかの金額」
(Q.おひとりで年金の支給額いくら?)
【街の人】「そんなこと言えないでしょ」
(Q.1カ月20万円より上?下?)
【街の人】「ちょっと上かな」
(Q.何のお仕事?)
【街の人】「(現役時代は)婦人服製造業」
(Q.社長?)
【街の人】「そうですね、たいしたことないですよ」
(Q.年金のみの暮らしで、この物価高どう?)
【街の人】「厳しいですね」
(Q.贅沢は?)
【街の人】「旅行ですね。年に3カ月ぐらい行ってるかな」
番組で23人にお伺いしたところ、20万円以上という方はわずか2人。データ以上に厳しい現実がありました。
■年金20万円以上もらう74歳の生活を取材
【藤本景子アナウンサー】「箕面市にやってきました!この辺りに年金を1人で、月に20万円以上もらっている人がいらっしゃるということです。どんな方なんでしょう?どんな暮らしをしているか、ちょっとのぞき見たいと思ってます!」
今回、「のぞき見」させてもらうのが、五条俊明さん(74)。
【藤本景子アナウンサー】「五条さんはサプリメントの卸会社の社長さん?きょうの待ち合わせのこの場所は?」
【五条俊明さん】「会社の前です」
健康に特化したサプリや食品などを取り扱う会社で、現在、従業員は50人、年商およそ12億円。結構、儲かっているようですね。
そして3階には、社長である五条さんの仕事場が。
ただソファーもなければ、高級な絵も飾っていない…あるのは、どこにでもある長机とイス。
さらに仕事場から歩いて10歩。
【五条俊明さん】「これが僕の部屋」
【藤本景子アナウンサー】「ベッドがある!仏壇も…」
3階は社員の寮になっていて、五条さんもそのひと部屋を使っているんです! そのわけは?
【五条俊明さん】「僕ね、通勤に時間使うの嫌いなんです」
【藤本景子アナウンサー】「働きたいんですね」
ちなみに、妻の律子さんは仕事の関係で北海道に。そう、夫婦そろって仕事が大好きなんです。
■年金は40万円前後を受給 将来を見据え手を付けず428万円
そんな五条さん、現在74歳、本題の年金は?
(Q.年金はいくらぐらい?)
【五条俊明さん】「今回、聞かれて改めて通帳見たんですが、40万円前後」
通帳を見せてもらうと、確かに…。
【藤本景子アナウンサー】「42万円のところありますね。でも39万のところもありますから、たしかに40万円前後。変動するんですね」
実は、月収と年金を合わせて51万円を超えると、年金が減額されてしまうんです。五条さんの年金も減額されての金額なので、本来はもっと多いはず。
その年金には、将来を見据えて、ほとんど手を付けていない五条さん。
だから通帳の残高を見ても・・・428万円!!!ある意味、おっカネ~数字ですね!
■「超貧乏」な幼少期 企業するも借金 「お金は幸せの一部」
今は高額年金受給者で何不自由ない生活ですが、実は幼少期は。
【五条俊明さん】「超貧乏!超貧乏!50所帯がひとつ屋根の下で共同で暮らす、超貧乏な家庭で育った」
「自分の子どもには同じ苦労はさせたくない」という思いから、がむしゃらに働き、27歳で起業。成功を掴みました。
しかし…。
【五条俊明さん】「ゴルフ、麻雀を習って覚えて。飲み屋に行くことも…ちやほやされる。免疫がなかったから、遊興にハマった」
仕事がそっちのけになってしまった結果、従業員は離れていき、会社は一気に傾きました。残ったのはむなしさと借金1000万円。
【五条俊明さん】「経済的に豊になれば幸せになれると思い込んでいた。違っていた!幸せの一部ではあるが、全てではない!」
この失敗があったから今がある。
普段からお昼ご飯は健康を考えて自炊です。スーパーで必ずチェックするのが、見切り品コーナー。
【五条俊明さん】「こっちにしようかな」
【藤本景子アナウンサー】「安い!社長でも“おつとめ品”を買うんですね」
【五条俊明さん】「僕ね、貧乏性なの」
■貧困、借金からの巻き返し ボランティアで子ども食堂の手伝いも
月20万円以上の年金をもらう苦労人の五条社長。
買い物から戻り寮の台所で、得意の鍋料理です。
【五条俊明さん】「ばっちりや!」
【藤本景子アナウンサー】「おいしい!」
そんな五条さん、幼少期の苦労があったからなのか、ボランティアで子ども食堂のお手伝いもやっているんです。
【五条俊明さん】「(ボランティアの)活動をする人を見て、自分も少しはお手伝いできたらなぁ。誰もが幸せに暮らす社会になったらええなとは思う」
貧困、借金という苦難からの巻き返しで、月々20万円以上の年金生活を手に入れました。
そんな五条さんにとって、年金とは?
【五条俊明さん】「孫のためのもんかなあ」
(関西テレビ「newsランナー」2025年4月18日放送)