冤罪で服役した元看護助手の女性が、収監中の自身の記録の開示を求めた裁判で、大阪地裁は、国に対し不開示決定の取り消しを命じました。
滋賀県・東近江市の湖東記念病院の看護助手だった西山美香さんは、入院患者を殺害したとして懲役12年の実刑判決が確定し服役しましたが、やり直しの裁判で無罪が確定しました。
訴状などによると西山さんは、大阪矯正管区長に対し、和歌山刑務所に収監されていた2007年から10年間の精神状態や知能検査の結果が記載された書面の開示を求めましたが、不開示とされたため、去年、大阪地裁に不開示の決定の取り消しなどを求めて裁判を起こしました。
これまでの裁判で、西山さんは、「公権力が保有する自身の個人情報にアクセスすることは憲法で保障されている」などとして、不開示決定は違法と主張。
一方、国側は、「刑事事件に係る裁判や刑の執行などに関する個人情報は、『前科』などの高度なプライバシーに係る情報で、社会復帰などの妨げになるため、開示請求の適用外になる」と反論していました。
17日の判決で、大阪地裁(徳地淳裁判長)は、「再審で無罪が確定した場合は、確定判決が失効し、『前科』ではなくなり、かつて刑の執行を受けたことなどのプライバシー情報は、再審無罪が公示される際に、本人の名誉回復のため、併せて公にされることが想定されている」と指摘。
そのうえで、「再審無罪確定後も、裁判に関する書類は、個人情報保護法に基づく開示請求から除外されるものの、西山さんが求める書類は、これに当たらない」として国に対し、不開示決定の取り消しを命じました。