関西生コンクリート業界の労働組合の幹部と組合員の2人が、強要未遂の罪に問われ、2審で幹部が罰金刑、もう1人は無罪となったものの、最高裁判所が裁判のやり直しを命じていた裁判。
大阪高裁は組合員については、改めて無罪を、幹部に対しては執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部の執行委員・安井雅啓被告(48)と組合員の男性(63)は、8年前、日雇い運転手だった組合員の勤務先に、就労証明書の作成を執拗に求めた、強要未遂の罪に問われていました。
1審の京都地裁(柴山智裁判長)は「組織力を背景にして、執拗に交付を要求し、犯行様態は悪質」として安井被告に懲役1年執行猶予3年、組合員の男性に懲役8カ月執行猶予3年の有罪判決を言い渡していました。
この判決を不服として、検察と安井被告が上告していました。
おととし9月、最高裁第一小法廷(堺徹裁判長)は、「就労証明書作成などの義務について、1審判決の事実誤認を指摘しただけで、その他の事実関係についての不合理性を検討しないまま強要未遂罪の成立について判断した2審判決は、破棄しなければ著しく正義に反する」として、全員一致で大阪高裁に審理を差し戻していました。
17日、差し戻された2審判決で、大阪高裁(石川恭司裁判長)は「勤務先には就労証明書作成などの義務があり、1審判決は、両被告の訪問や要求行為などについての諸事情を十分検討していない」と厳しく指摘。
そのうえで、一部の言動については「社会通念上、受忍すべき限度を超えたもの」と認め、安井被告に懲役6カ月・執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。
一方、組合員の男性(63)についてはその場におらず、共謀が認められないとして、改めて無罪を言い渡しました。 安井被告は、閉廷後の関西テレビの取材に対し、「弁護団と相談するが、当然上告することになると思う」と話しました。