兵庫県の斎藤知事をめぐるパワハラなどの疑惑に関して、弁護士で構成された第三者委員会が結果を公表しました。 大声で職員を叱責するなどした行為について、「パワハラ」と認定したほか、告発者を処分した県の一連の対応について「違法であり、極めて不当だった」と強く非難しました。
■10項目が「パワハラ認定」
第三者委員会の調査結果は19日、県の監査委員に報告されました。 調査報告書はおよそ170ページに及び、その中では、斎藤知事のパワハラが認定されたほか、告発は公益通報に当たると判断されました。
<パワハラ疑惑> まず、パワハラ疑惑については、10項目が「パワハラ」と認定されました。
1.出張先の施設のエントランスが自動車進入禁止とされていたため、20メートル程手前で公用車を降りた際、出迎えた職員を激しく叱責した
2.空飛ぶクルマについて、企業との連携協定の締結式前に報道が行われたことを問題視し、担当職員を問い詰め「知事直轄」「勝手にやるな」などと厳しい口調で論難し、説明が短時間で打ち切られた。
3.県立美術館の夏休み中の休館の新聞報道を見て、「聞いてない」と激怒し、側近職員に向けたチャットで「予算措置はできません」などと示唆。翌日、責任者から事情を聞くことなく叱責したなど。
4.マスコミが現地取材に来ないことを問題視し、夜間、休日にも側近職員にチャットを送ったなど。
5.報道からインタビュー受けたことについて報告がないと、報道がなされたことについて報告がなかったこと等を問題視し、担当職員を叱責した。
6.机を叩いて職員を叱責した。
7.AIによるマッチングシステムに関する知事協議で、担当者が説明を始める前に、内容を知らないのに会見で発表するかの判断はできないと一蹴したなど。
8.介護テクノロジー導入・生産性支援センターに関する知事協議で、中身に入ることなく、「こんな話聞いていない」「なんでこんな支援センターを勝手に作っているのか」等と述べて担当者らを叱責したなど。
9.はばたんペイの知事協議で、キャンペーン用のうちわを見ながら舌打ちし、大きなため息をついた。斎藤知事が問題にしたのは、斎藤知事の肝煎り事業であるのに、知事のメッセージと顔写真がないことであった。
10.長期間にわたって継続的に繰り返されてきた夜間、休日のチャットによる叱責や業務指示。
■告発文は「公益通報の『外部通報』に該当すると判断」
また、元西播磨県民局長の告発文は公益通報に当たるかについては、公益通報の「外部通報」に該当すると判断。県の対応は「極めて不当」で通報者の探索は違法であると評価しました。
■「委員会の結論は、事実と異なる部分もあるが、複数の事実については、真実であるか、真実相当性がある」
報告書では「最後に」と題して、以下のような内容が記載されています。
【第三者委員会報告書より】「本件文書(※告発文書)の事実関係に関する本調査委員会の結論は、事実と異なる部分もあるが、複数の事実については、真実であるか、真実相当性があると認められたというものである。 公益通報については、その有益性をよくかみしめ、法の趣旨に沿った対応をする姿勢を持つべきということである。また、内部公益通報の結果としてなされた改善を一歩進め、外部公益通報を覚知した場合の対応、知事や副知事が通報の対象となった場合の対応等についても体制を整備しておくべきということである。 パワハラについては、より相談がしやすい制度設計をし、知事や副知事がパワハラの主体となった場合についても体制を整備すべきということである。 これらについては、さらに第三者の意見を聞いて体制を整備する等の方策も考えられないではない。しかし、県には、自らの力でパワハラをなくし、公益通報者を保護する体制を築く自浄力が求められる」