2年前、京都府舞鶴市で男性が列車にはねられ死亡する事故が起きた踏切が、25日廃止されます。
なぜ廃止となるのか、そして生活にどんな影響があるのでしょうか。
■作業員が標識や柵を一つずつ撤去
【記者リポート】「今踏切の舗装に切り込みをいれています。第四種踏切を廃止する作業が行われています」
京都府舞鶴市にある京都丹後鉄道の踏切では24日、作業員が標識や柵を一つずつ撤去していきました。
【北近畿タンゴ鉄道 廣瀬和男総務企画課長】「痛ましい事故がありましたし、安全第一、人命第一という判断で廃止に(理解)いただいた」
■「第4種踏切」の廃止に「不便になった」と地元の人
きっかけは2年前。電動車いすに乗っていた86歳の男性が踏切内で列車にはねられ死亡する事故が発生。見通しが悪く列車に気づくことができず、はねられたとみられます。
この踏切は警報機と遮断機が設置されていない、いわゆる「第4種踏切」。
いまだ全国に2300か所以上あり、京都丹後鉄道は2つの「第4種踏切」について地元の人たちと協議して廃止を決めました。
廃止について地元の人は。
【近所の人】「不便にはなりました。不便と安全どっちが先やということになりますけど。運動がてら遠回りしないとしゃーない」
【近所の人】「集会所そこにあるんやけど、こう回らないといけない。ここ(踏切)あったらすっといけるけど。便利悪いけどしゃーない、なんかあってからじゃ遅いもん」
■迂回に時間はかかるも、安全性からも踏切は「廃止」に
惜しむ声もある中、廃止されたらどれくらい生活に影響があるのでしょうか。
【記者リポート】「線路の向こう側を渡るのに踏切があればほんの数秒でいくのですが迂回したらどれくらいかかるのでしょうか。迂回(うかい)すると、およそ7分半ほどの時間がかかりました」
迂回するとかなり時間がかかるようです。
【北近畿タンゴ鉄道 廣瀬和男総務企画課長】「※電車ではないので、(自動の遮断機を設ける)第1種(踏切の)工事をする場合、電線の引き込みから入るので1か所だいたい約5000万円の費用かかる。マンパワーも含めると年に1か所くらいの工事になる。優先順位つけながら一か所ずつ整備するのでなかなか整備が難しい」(※ディーゼルカーで運転)
かかる費用や作業にあてられる人員だけでなく、見通しの悪い場所であったことも踏まえ安全面からもこの踏切は「廃止」となったといいます。
京都丹後鉄道の沿線で残っている「第4種踏切」は13か所。今後、交通量や危険性などを踏まえ対策を進めていくということです。
■京大・藤井教授「国費も含めて公共が支援していく体制は合理性ある」
警報機や遮断機のない踏切事故が後を絶ちません。
【京都大学大学院 藤井聡教授】「鉄道の施設ではありますが、道路側は道路の施設でもありますから、利用者は一般の方で非常に公共性が高いということもあって、これは本来なら十分な財源があれば、国費も含めて、公共が支援していく体制を拡充するのは合理性があるんじゃないかと」
費用の問題、自治体、そして事業者含めての支援を考える必要があります。様々な方法、そして技術を使って事故防止につなげてほしいと思います。