中居正広さんの女性とのトラブルを巡りCMの差し止めが相次ぐなど、大きな問題となっているフジテレビ。
22日、事案発覚当時、フジテレビの専務を務めていた関西テレビの大多亮社長が新年の記者会見で問題について説明し、タレントの中居正広氏(52)を巡る一連の問題について、元フジテレビ専務として関西テレビの視聴者や関係者に謝罪しました。
■「多くの皆様にご心配とご迷惑をおかけしたことは、本当に心からお詫びしたい」
【関西テレビ・大多亮社長(フジテレビ元専務)】「この事案につきましては私がフジテレビに在籍していた当時、専務取締としておりましたが、その時の事案でございます。
発生は1年半前の事案です。それからしますと、私がフジテレビにいた時に関わったのは1年です。
この件に関しましては、関西テレビは一切関係しておりません。ですので、関西テレビの視聴者の皆様をはじめ、関係者の皆様、そして弊社と取り引きをしていただいている方々、関西テレビの社員・スタッフ、多くの皆様にご心配とご迷惑をおかけしたことは、本当に心からお詫びをしたいと思っています」
中居正広氏を巡っては、一部の週刊誌などが女性との間にトラブルが発生し、中居氏が女性に解決金を支払って示談したなどと報じていました。
■フジテレビの会見 動画撮影禁止 一部メディアのみ参加可能 大きな批判を受ける
トラブルに社員の関与が当初、報じられたことについて、フジテレビはこれまで関与を否定していますが、今月17日に開かれた会見で港社長は「調査委員会の調査に委ねたい」と発言。
またフジテレビの会見は動画の撮影などが禁止されたほか、一部の限られたメディアしか参加できなかったため大きな批判を受けています。
■関西テレビ大多社長 フジテレビ専務時代に今回の事案について把握 対応に当たる
22日、関西テレビ本社で会見を開いた大多亮社長は、去年6月の就任前はフジテレビの専務を務め、今回の事案についても把握し、対応に当たっていました。
会見は、新聞社やテレビ局、通信社など27社が参加し、プライバシーに配慮した上で動画の撮影なども可能な形で実施されました。
■テレビ局員と芸能関係者の問題「関西テレビでも社内調査を行う」
【関西テレビ大多亮社長(フジテレビ元専務)】「関西テレビとしては、フジテレビにきちんとしたこの件の調査を求めて参りたい」
「さらに、今回報じられているような女性アナウンサーを伴った会食など、テレビ局員と芸能関係者の関係を巡る問題について、関西テレビとしても社内調査を行いたい」
■「非常に重い案件だと思った。ある種の衝撃を受けた」
大多社長からの発言の後は、記者からフジテレビ専務時代の対応などについて質問が相次ぎました。
Q.大多社長自身が相談を受けていた、事態を把握していたと報道されていましたが?
【関西テレビ大多亮社長(フジテレビ元専務)】「当然私は把握しておりました。この事案が起きてからほどなくして私の耳に報告が上がっております」
「非常に重い案件だなと思いましたし、ある種の衝撃を私は受けました。この女性のケア、プライバシー、人権を心身のケアというのをしっかりとやらなければいけないと強く思った」
■「女性が誰にも知られたくないということで話が上がってきた。その日のうちに港社長に伝えた」
【関西テレビ大多亮社長(フジテレビ元専務)】「その女性が非常に、当たり前なんですけども、大事にはしたくない、言葉はわかりませんけども、公にならない方がいいし、そういった中で、誰にも知られたくないということだと思うんですけども、そういう中で、私まで上がってきたということなんです」
「すごい限られた状況の中で私はその情報を得たということになります。大変重い案件になりますので、これは社長には上げなければならない」
「私の判断で港社長に上げた。その日のうちに上げた記憶があります」
■「彼女を守る最善の手は何なんだということを考えていた」
Q.トラブル把握後も中居氏を起用継続した理由は?
【関西テレビ大多亮社長(フジテレビ元専務)】「私の中では、とにかく彼女がわからないように、公にならないようにということを常に最優先に考えていましたので、中居氏を守ろうとか、そういう意識はなかったです」
「それよりも『彼女を守る最善の手は何なんだ』ということを考えていました」
■中居氏にはある種の「怒り」
Q.中居氏に言いたいことは?
【関西テレビ大多亮社長(フジテレビ元専務)】「この事案だけを見れば、示談をされていますし、守秘義務もあるので、そこに私がどうこう言うことはないですが、先ほど番組を漫然と続けていこうなどと思ったことは一度もなかった」
Q.それはある種の「怒り」がご自身の中にあった?
【関西テレビ大多亮社長(フジテレビ元専務)】「そう取っていただいて結構です」
■「寄り添うのであれば、どういう形があったのか。足りていたのか」
Q.大多さんの口から女性に伝えたいことは?
【関西テレビ大多亮社長(フジテレビ元専務)】「まず思うのは、体調は少しでも良くなられているならば、それがまず一番いいなということと」
「やっぱり思うのは、もう少し寄り添うのであればどういう形があったのか、この件や、彼女のことを思うと、足りていたのか。足りていなかったのかということを、すごく感じるということですので、僕はそう思います」
■「女性アナウンサーとの会食=性の上納につながるとは思っていない」
Q.女性アナウンサーを含め女性社員を接待役として同席させることは放送業界では常態化しているのか?
【関西テレビ大多亮社長(フジテレビ元専務)】「女性アナウンサー、女性社員との会食や、それが社内同士・社外の会社・プロダクション・それからタレントさんとの会食ですよね。これはあります。私はそれ自体が悪いと思ったことはないです。私自身もそういう会に出たこともありますし」
「ただ、今回報道されているような、性の上納とか、献上とかとは、それとは全く性質が違うと思っているんですね。私の中では、(性の上納は)全くなかったと思っていますので、すべて女性アナウンサーとの会食ということがイコール『よくない』とか、性の上納につながるとは思っていませんでした」
フジテレビの親会社、フジ・メディア・ホールディングスは23日、臨時の取締役会を開く予定です。
■大多社長(フジテレビ元専務)とこの事案の関わり
事案の発生当時、フジテレビの専務を務めていた関西テレビの大多亮社長について、経歴と今回の事案との関わりを整理します。
関西テレビの大多亮社長は、1981年フジテレビに入社。
2022年6月、フジテレビの編成担当の専務取締役に就任しました。
おととし6月に、中居氏と女性のトラブルが発生。 その直後、大多社長(当時フジテレビ専務)はフジテレビの港社長に発端となった事案を報告しました。
そして去年6月、関西テレビの社長に就任しています。
■会見には27社が参加 時間や質問内容に制限なし
22日の会見の具体的な内容についても整理します。
関西テレビの社長の定例会見として、22日午後4時30分から、会見を実施。
参加するメディアの制限はありません。動画の撮影は可能。プライバシーなどに配慮し、生中継などはご遠慮いただいています。
新聞社テレビ局など27社が参加しています。時間や質問内容に対する制限は設けていません。
■「唐突に番組を打ち切ることもできたが、彼女にどんな影響があるのかを考えていた」
まず中居氏と女性のトラブルについて、会見の中で大多社長は「当然私は当時把握していた。事案が起きてから程なくして、報告が上がってきた。非常に重い案件だなと思ったし、ある種の衝撃を受けた」
「当時は女性のプライバシー人権、心身のケアをしっかりとしなくてはいけないと強く思ったのを覚えている」と発言しました。
また、中居氏の番組はなぜ継続していたか?との質問に対しての大多社長は以下のように述べました。
【関西テレビ大多亮社長(フジテレビ元専務)】「唐突に番組を打ち切ることもできたが、彼女にどんな影響があるのかを考えていた」
「中居氏を守ろうという意識などはなかった。それよりも、彼女を守る最善の手は何だということを考えていた。足りていない部分があったなら、私も反省しなくてはならない」
■「彼女の意思を最優先したのか、もう一言欲しかった」とジャーナリスト
女性を守るため、最善の手は何かを考えて判断したという大多社長の発言についてジャーナリストの鈴木哲夫さんは「彼女の意思を最優先したのかについて、もう一言欲しかった」と述べました。
【ジャーナリスト・鈴木哲夫さん】「守る守らないを主体的に決めるのは、局側ではなくて、彼女自身がどうして欲しいと言ったのかですよね」
「そこが『公にしないでほしい』と言われたのであれば、それをやったということでしょうから、だから彼女の意思を最優先にしたのかという、そこはもう一言欲しかった」
■ジャーナリスト「フジテレビの危機管理の甘さを感じた」
【ジャーナリスト・鈴木哲夫さん】「それと、今回の一連の問題で感じているのは、企業の危機管理なんですよ。きょうカンテレの大多社長が会見したけれども、この前、なぜフジテレビがこういうスタイルでやらなかったのかっていうそこの問題ですよね。
この問題が週刊誌で報道されたときに、最初のフジテレビのコメントが『我が社は関係していない』とあった。僕はその瞬間に『大丈夫か?』と思った。
あの時に言うべきは、『きちんと調査したい』というのが、危機管理上のコメントなんですよ。だって、『ない』って言い切ったら、必ずそうじゃないものが、負のスパイラルで出てくる。この辺りの危機管理の甘さっていうのはすごく感じたんですよね」
■フジテレビの会見日に疑問
【ジャーナリスト・鈴木哲夫さん】「それともう一つ、フジテレビが会見したのは、1月17日だったんですよ。この日は、阪神淡路大震災の30年の日だった」
「報道機関として、この30年の節目にやっぱりあの地震をもう一回みんなで考えてという役目をメディアが果たさなきゃいけない日に会見しますかね。僕はあの辺の感覚が『えっ』と思いましたよ。
しかもその日の夜のフジテレビの全国ニュース、トップはこの問題でした。阪神淡路大震災から30年がトップであるべきでしょ。みんなで考えようと。
その辺も含めて危機管理というものに対しての一連の問題があるなっていうのは、ずっと感じていますね」
■「会食と性の上納は全く性質が違う」
そして、会見の中では大多社長から以下のような説明もありました。
女性社員の『接待同席』が常態化しているのか?という質問に対して、会見の中では大多社長から以下のような説明もありました。
【関西テレビ・大多亮社長(フジテレビ元専務)】「放送業界一般として、女性アナウンサー、社員が社内・社外の会社・プロダクションタレントなどと会食することはあります」
「ただ、今回報道されているような、性の上納・献上とは、全く性質が違います。私の中では全くなかったと思っています」
■「ジャニーズの性加害問題以降、テレビ業界の人権意識がどうあるのか、突きつけられている」
【関西テレビ・加藤さゆり報道デスク】「ジャニーズの性加害に関わる問題などが発覚して以降ですね、私たちテレビ業界に突きつけられている課題、つまり人権意識がどうあるのか、どう変わってきたのかっていうところが、今回改めて突きつけられたのではないかと思っています。
フジテレビだけの問題ではなくて、私たちテレビ業界全体に向けられている課題として、しっかり向き合っていかないといけないと思います」
■吉原キャスター「当事者の女性に本当に向き合っていたのか。真摯な対応だったのか」
【関西テレビ・吉原功兼キャスター】「この問題は示談などの守秘義務もあり、プライバシーの保護の問題もあるということで、大変難しい秘匿性の高い事案であったと思いますけれども、当事者の女性に対してフジテレビが本当に向き合っていたのか。
そして事案が発覚した後の対応、女性の方はもちろん視聴者の方々に対しても、真摯な対応と言えたのかどうか。しっかりと調査をして、そして速やかに公表して欲しいと思います」
■吉原キャスター「系列局であるカンテレも信頼に足るテレビ局なのかと問われている」
【関西テレビ・吉原功兼キャスター】「そして厳しい目を向けられているのは、系列局である私たちも同じです。信用、そして信頼というのが軸の報道機関である私達。
ですから、私たちにとっても信頼に足るテレビ局なのかというのが問われていると思います。
関西テレビは職員と、そして芸能関係者の間で何かトラブルが起こっていなかったかどうか調査するとしていますが、私たちがしっかりと調査をしていくということが今私たちにできる唯一の道だと考えています」
(関西テレビ「 newsランナー」2025年1月22日放送)