第 2 次トランプ政権がいよいよ始動しました。
就任演説でトランプ新大統領は、「アメリカの黄金時代が今まさに始まる」と語り、『アメリカ第一主義』を口にしました。
そして去年7月の選挙集会での銃撃事件を振り返って、「私はアメリカを再び偉大にするために神によって救われた」と話したときには、ひときわ大きな歓声が上がりました。
アメリカの政治事情に詳しい、キャノングローバル戦略研究所主任研究員の峯村健司さんが21日放送の関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演し、トランプ氏の就任式では「前回と比べて極めて余裕と勝者の貫禄を感じた」と話し、注目すべき3つのポイントをあげました。
■40年ぶり屋内開催 狭い会場でも盛り上がるトランプ大統領の演説
トランプ大統領の2度目の就任式は異例づくしともいえ、大きく3つのポイントがあると峯村さんは言います。
3つのポイントとは、
・40年ぶりの屋内開催
・莫大な寄付金
・驚きの招待者
です。
大統領就任式はいつもワシントンの屋外で行われていましたが、40年ぶりに屋内開催になりました。もともと連邦議会議事堂前の屋外で行う予定でしたが、寒波で氷点下になる予想だったため、屋内での開催に変更したということです。
【峯村健司さん】「前回は屋外で、ワシントンのど真ん中ですごい人数が入って熱狂的な状況になるわけです。皆さんの一体感みたいなのがあったんです。今回はかなり狭い屋内でやったので、どこまで盛り上がるのかとすごく注目していたのですけれども、やっぱりトランプさんの演説のうまさで、別の形の盛り上げ方をしたなという印象でした」
トランプさんが出てきた時に、バイデンさん、ハリスさんと握手をしていましたが、いざ演説が始まったら非常に厳しい話もしていました。あれはトランプさんならではなのか、それともアメリカの文化なのでしょうか?
【峯村健司さん】「トランプさんにしては、割と我慢したんじゃないかなと思います。呼び捨てにしたりしなかった。あとネクタイの色ですが、普段トランプさんは共和党のシンボルの真っ赤なネクタイをしているのですが、今回少し青みがかった紫のネクタイでした。青は民主党のカラーで、若干融和をしようという努力がネクタイの色に出ているのかなというふうに読み取りました」
峯村さんならではの目線として、「就任式のあと、すぐ病気で亡くなった大統領がいる」ということが頭をよぎるそうです。
【峯村健司さん】「第9代大統領のウィリアム・ハリソンさんという大統領がいました。この方が、トランプさんの約4倍、2時間を超える大演説を寒波の中でやったんです。その1カ月後に風邪をこじらせて肺炎で亡くなっている。このことを考えると、実はトランプさん就任時にバイデンさんを抜いて最高齢の大統領なんですね。そのあたりの配慮もあって、屋内でやったところがあるんじゃないかと思います」
トランプ大統領は78歳。最低でも4年の任期があることを考えると、任期中に80歳を超えることになりますが、かなりパワフルですね。
■日本円にして300億円超える寄付金
第2のポイントとして、就任式に多額の寄付金が集まりました。基本的に就任式はほとんど寄付で賄われているそうで、今回約2億ドル、日本円にして約310億円が集まりました。前回が約1億700万ドルで、当時のレートで約123億円。バイデンさんの時は約6200万ドルで、約96億円ということです。
日本とは寄付に関するルールが全く違うので比べることはできませんが、やはりアメリカはスケールが大きく、特に今回は300億円以上ものお金が集まりました。
【峯村健司さん】「驚きました、かなりの額で。今朝ちょっと陣営の幹部と話したら、『軽く2億ドルは超える』と言っていました。これには2つの要因があって、1つは個人の熱狂的なトランプファンの人たちが献金をした」
【峯村健司さん】「もう1つは、IT大手、フェイスブックを運営するメタ社のザッカーバークさんとか、これまで献金をしてこなかった人が100万ドルとかばんばん献金しているんですね。このあたりを見ると、やっぱりトランプさんは力を持っている。今までさんざんトランプさんと敵対してきたので、これはちょっとトランプさんにいじめられるなと、どうもビビって献金をしているという動きが結構あるんじゃないかと思います。お守りじゃないですけど」
峯村さんの独自情報として、寄付金が余れば「トランプ図書館」をつくるらしいという計画があるそうです。
【峯村健司さん】「花火とかダンスパーティーとかいろいろやるんですけど、どうも2億ドルも使い切れないらしいです。陣営の人にどうするのか聞いたら、『トランプ図書館を作るとか、公益的なことをやる』というふうに言っていました。『例えば図書館』というふうに言っていたのですけど、トランプさんは基本的に自分の名前を付けたい。なので図書館をつくって、そこに『トランプ』と付けたいと考えてるのではないかなというふうに推測しています」
■招待者はIT企業トップや各国首脳などやはり「異例」
招待者として、グーグルのスンダー・ピチャイCEO、メタのマーク・ザッカーバーグCEO、アマゾンのジェフ・ベゾスCEO、実業家のイ―ロン・マスク氏といったIT企業のトップが並びました。海外からはイタリアのメローニ首相が来たり、日本からは岩屋外務大臣や安倍昭恵さんが招待されたということです。
石破首相はまだ現段階で、トランプ大統領に会えていないことになります。
【関西テレビ 神崎博報道デスク】「2月の上旬ぐらいに会うというのはほぼ決まっているので、就任式のタイミングで行って、イベントの中でちょっとしか会うことができないより、2月上旬にゆっくり話した方が実のある話ができるのではないかと思います」
就任式に首相が行くことは基本的にないということです。
【峯村健司さん】「基本的には現地の大使が行くぐらいで、今回が異例です。ただちょっと気になるのは、中国の国家副主席というナンバー2にあたる韓正(かんせい)氏が出席していたり、結構首脳たちも参加しているという意味で、やっぱり異例の就任式だと思います」
■「3分以上話を聞いてくれない」と言われるトランプ大統領 石破首相との関係どうなる
トランプ大統領と石破首相の関係性は、今後どのようになっていくとみられるのでしょうか。
【峯村健司さん】「正直に申し上げて心配です。トランプさんについて、かつて安部晋三元首相本人から聞いたことがあるのですが、『トランプさんと話をするのは結構難しい』と。なかなか3分以上話を聞いてくれないらしいです。だからいかに短く分かりやすく、日米安保のこととかを説明するかというのが苦労したと。石破さんはなかなか話が長いんですよね。“べき論”とか言ったりして。そうするとトランプさんが話を聞いてくれるのか、ちょっと心配なところではあります」
外交ルートはいろいろありますが、トップ同士の関係は大事です。本音でしゃべることができる関係があることで、ものごとが動くことがありますので、石破首相とトランプ大統領の日米外交に期待したいところです。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!2025年1月21日放送)