今月26日(日)に開幕する大阪国際女子マラソン。
去年は前田穂南選手(28)が、2時間18分59秒をマークし、野口みずきさんが持つ日本記録を更新。
19年ぶりに歴史の扉を開きました。
ことしもパリオリンピック6位入賞の鈴木優花選手(25)や大阪で3度の優勝を果たした松田瑞生選手(29)など、日本屈指のランナーが登場。
世界トップレベルの高速コースで、今年はどんな記録が生まれるのか。
大阪国際女子マラソンの見所を、アテネオリンピック金メダリスト・野口みずきさんが、徹底解説します。
■去年19年ぶりに破られた日本記録「やっと破ってくれたか」と野口みずきさん
【橋本和歌子キャスター】「前田穂南選手が、野口さんの日本記録を更新してからはや1年ということですよね?」
【野口みずきさん】「破られました。あっという間でしたね」
【橋本キャスター】「去年会見で、『さようなら2時間19分12秒って感じ』とおっしゃっていましたが、さようならしてみてこの1年いかがでしたか?」
【野口みずきさん】「意外と『もう破られたんだなぁ』っていう。でも良かったです。『やっと破ってくれたかぁ』という感情です」
■「日本記録とともに、2時間20分~22分台の記録がたくさん出てほしい」と野口さん
【橋本キャスター】「今大会はどんなレースを期待したいですか?」
【野口みずきさん】「日本記録も去年生まれましたから、今年は日本記録更新も期待したいところですが、私は全体的なレベルアップも期待したいと思います。2時間20分から22分台ぐらいのところ、たくさんこの大会で生まれるといいなと思っています」
【橋本キャスター】「あとは世界選手権をかけた戦いでもありますよね」
【野口みずきさん】「今年は東京で世界陸上がありますから、それと3年後には、アメリカ・ロサンゼルスで開催されるオリンピックが控えています」 「ここでまたニューヒロインが誕生してくれるっていうことも期待したいなと思っていますね」
【橋本キャスター】「ニューヒロインという言葉もありましたけど、本当に注目の選手が揃い踏みということで、これからお話を伺っていきます」
【野口みずきさん】「まず、パリオリンピックで6位入賞を果たした鈴木優花選手に注目です」
■「五輪6位で満腹ではない」初の大阪国際に臨む鈴木優花選手
鈴木優花選手の厳しい練習の息抜きは、絵を描くこと。
取材では、穏やかな表情を見せる鈴木選手ですが、競技のことになると真剣です。
【鈴木優花選手】「五輪で6位になったけど、満腹ではないですし。メダルを獲得できるところまで何としてもいきたいです」
持ち前の負けん気の強さで、パリオリンピックでは、メダルまであと一歩。
自己新記録となる2時間24分02秒をマークし、6位入賞を果たしました。
今回の大阪で、さらに進化した姿を見せるために、レース終盤のスピードに磨きをかけています。
【鈴木優花選手】「自己新記録を大きな目標として狙って頑張りたいと思っています」
■「鈴木選手は冷静さと大胆さを兼ね備えている」と野口さん
【橋本和歌子キャスター】「今回初めての大阪国際女子マラソンに挑む鈴木選手ですけれども、去年の前田穂南選手の走りを見て、『自分も日本記録を出したい。出せると信じて挑戦したい』と感じたそうです。鈴木選手の強みはどこだと思いますか?」
【野口みずきさん】「彼女は、冷静さと大胆さを兼ね備えていると思います。大きな舞台で活躍できているんですよね」
■勝負所を判断できるポテンシャルがある
【野口みずきさん】「オリンピックの前にあったMGCでも、すごい天候も悪くて、中盤では後ろの方にいたんですけれども、ここぞというときに、たぶん自分の判断で、『パパっと』動けるときに前に出て、そして優勝したというところと」
「パリ五輪でも、急坂、激坂と言ってもいいと思うんですよ。中盤から後ろの方にいて、そこから激坂で冷静に対処して、6位入賞というところまでやってきたので、オリンピックの強豪揃いで6位入賞は、なかなかのポテンシャルを持っていると思います」
■鈴木選手は今回がフルマラソン挑戦5回目 野口みずきさんも5回目の挑戦で日本記録更新
【橋本キャスター】「自己ベストを出したパリオリンピックがまだフルマラソン4回目というのもすごいことですよね」
【野口みずきさん】「そうなんですよ。私も4回目でアテネオリンピックで金メダルを出したんです。そして5回目のベルリンマラソンで2時間19分12秒という昨年破られた日本記録を出せたので」
「鈴木選手も5回目のマラソン挑戦となる大阪国際女子マラソンで、私と同じように考えてはいけないかもしれませんけれども、ポテンシャルを持っているので、日本記録の更新を期待してしまいます」
■大阪は高速コース「20キロすぎのアップダウンが良いアクセント」と野口さん
【野口みずきさん】「大阪国際女子マラソンでタイムが出やすい理由については、適度にコースのアップダウンがあって、数年前にコースが変わりましたけれども、道頓堀の折り返しも無くなりましたし、すごくスムーズにペースアップできます」
「あと20キロ過ぎのアップダウンですね。高低差18メートルぐらいのアップダウンが良いアクセントになっているんですよね。なので記録も出しやすいです」
「ただ、20キロすぎで、ぐぐっと下っていきすぎると、後半の30キロ以降の小刻みな上りでちょっと足がやられて、ちょっときついと感じることもあるかもしれないので、その辺また冷静に、ペースを作って走っていくことがポイントなのかなと思います」
「鈴木選手は、大阪が初めての挑戦だということで、そんな新鮮なコースを『冷静さと大胆さ』で乗り越えて欲しいなと思います」
■過去3度の優勝 なにわの女王・松田瑞生選手
【橋本キャスター】「もう1人忘れてはいけないランナーがいますよね」
【野口みずきさん】「過去3度の優勝を果たした私と同じ名前の選手です」
大阪出身で、日本人最多3度の優勝経験を持つ、なにわの女王・松田瑞生選手。
しかし、絶対的な自信を持って挑んだ去年は4度目の挑戦で、初めて優勝を逃し、パリオリンピックの切符を掴むことはできませんでした。
あの涙から1年。大好きな大阪で復活した姿を見せます
【松田瑞生選手】「あれだけ熱のこもった応援は、大阪でしか感じられないなと思うし、諦めない走りを届けて、感謝を伝えたいです」
■「松田選手はボクサーの強さ。何度でも立ち上がる」と野口さん
【橋本キャスター】「この1年で色々なものが吹っ切れて、今は競技を楽しめているんだという風におっしゃっていたんですけれど、野口さんは松田選手どんな印象をお持ちですか?」
【野口みずきさん】「早いペースで、安定した走りを見せてくれる、速さも兼ね備えた選手なんですけど、私は強さの方が大きいかなと思っています。ボクサーのような強さ」
「リングのコーナーにどれだけ追い込まれても強烈なパンチを食らっても、何度でも立ち上がる。そんな強さがあると思うんですよね」
「東京五輪でも涙を見せました。それからパリ五輪の代表の選考レースでも悔し涙を見せたことがありましたが、何度もその度に立ち上がってきた強い選手だと思うので、今回もそんな強い松田選手を期待したいと思っています」
【橋本キャスター】「何度も立ち上がった結果、去年9月には自己ベスを2年8カ月ぶりに更新してますから、もう復活劇を見せているということなんですけど、野口さん今回の挑戦が世界への挑戦は、最後という風におっしゃっているんですよね?」
【野口みずきさん】「もう彼女も29歳ということで、ベテランの域に入ると思います。なので、彼女のそういう決意というのもすごい大きいと思うので、さらなる強さを見せつけてくれるんじゃないと思っています」
■早大のランニングサークル出身 登山サークルにも所属していた異色の経歴 小林香菜選手
【橋本キャスター】「そして異色の経歴を持つランナーも出場するんですよね?」
【野口みずきさん】「そうですね。昨年の大阪国際女子マラソンでも走りました。小林香菜選手(23)ですね」
「彼女は本当に異色の経歴で、大学時代は早稲田大学の陸上部ではなく、ランニングサークルに所属していたそうなんです。専門的な指導者もいなかったということで、それから色んなことを、彼女が調べていくうちにわかったのが、登山のサークルにも入っていたそうなんです」
「脚力がね、やっぱり良い土台ができていると思うんですよね。走る度に強くなっていくので、実業団に入ってから、どんどん強くなっていってますから、彼女の走りで、どれだけまたワクワクさせてくれるか期待したいと思います」
高速コースで新たな日本記録は誕生するのか。
第44回、大阪国際女子マラソンは26日(日)正午に開幕します。