3年前、ブリヂストングループの新入社員だった息子が自殺したのは、上司によるパワーハラスメントが原因だとして、両親が会社に対して損害賠償を求め、提訴しました。
■日常的に厳しい叱責・犯罪者のような扱い…新入社員の男性が自ら命をたつ
【亡くなった男性の父親】「不信感しかないですね。パワハラも認めない会社の対応なので、憤りというか疑問ですね。なぜなんだろうと、なぜ認めないのか?」
会社への不信感をあらわにするのは、「ブリヂストンリテールジャパン」の新入社員だった男性(当時24歳)の父親です。
2021年4月、大学卒業して入社した男性は、自動車のタイヤのメンテナンスなどを行う、京都市内の店舗に配属されました。
そこで、上司らから日常的に、周りの従業員にも聞こえるほどの大きな声で厳しい叱責を受けていたといいます。
亡くなる直前には、店長から他の従業員の前で、犯罪者であるかのような扱いをされたり、別の上司から精神病とのレッテルをはられたということです。
これが引き金となり、入社してからわずか8カ月後、男性は自ら命を絶ったということです。
【亡くなった男性の父親】「やっぱり許せないですね。『なんで』しか出てこないですよね。『なんでそんなことに…死ぬことないやんか』と。死んでまで責任とらなあかんことしたんかなと。そこまでのことしたと思ってない…」
■労働基準監督署は「労災」と認定も会社はパワハラを認めず 両親は提訴
ことし4月、労働基準監督署は、男性がパワハラを受けたことで適応障害を発症し自殺したとして、「労災」と認定しました。
しかし、父親の代理人によると、会社は「パワハラの事実はなく、亡くなった理由も自殺かどうか不明な状況」と主張しているとういうことです。
両親は「会社がハラスメントを防止すべき義務があるにも関わらず、パワハラを発生・拡大させて自殺を招いた」などとして、およそ6500万円の損害賠償を求め、裁判を起こしました。
【亡くなった男性の父親】「パワハラを認めていただく。労基がはっきり言ってることなので、そこは認めていただいて、当然、謝罪ですね。私たちにというよりも息子にわびてほしい」
ブリヂストンリテールジャパンは、「まだ訴状が届いていないので、現時点でのコメントは控えたい」としています。
■「労働基準監督署がパワハラ認定 原告側には大きなこと」と神崎デスク
訴状によると、複数人が絡んでパワハラがエスカレートしていったとあり、亡くなった男性の恐怖というのは、相当のものがあったのではないでしょうか。 この点について番組コメンテーターの犬山紙子さんはこのように話します。
【犬山紙子さん】「犯罪者って言われるだったりとか、人の前で大声で怒鳴られるだったりとか、レッテルを貼られることは、普通にそのまま聞いても、パワハラに当たる行為なんじゃないかなと私は思います」
労基署は労災と認定しています。ここから裁判になるにあたってのポイントについて、関西テレビ神崎報道デスクはこのように話します。
【関西テレビ 神崎博報道デスク】「会社側としてはもうパワハラも認めないし、自殺についても認めないので、全面的に争うという姿勢です。一方で原告側、訴えた側としては、まず労働基準監督署がパワハラを認定しているというところが1つ大きいと思います。もちろん労基署の認定と、裁判は別物ですけども、公の機関が認めていることは大きなことなので、そこを軸に戦うのかなと思います」
裁判所はどのような判断をくだすのでしょうか。注目されます。
(関西テレビ「newsランナー」2024年12月26日放送)