「約3分7秒で飛行中断」の小型ロケット『カイロス2号機』 「ノズルの駆動制御に異常。飛行経路がズレた」とスペースワン 最高高度110.7キロで宇宙へ『到達』 「失敗とはとらえていない、3号機にむけて加速」 2024年12月19日
18日午前11時ごろ、和歌山県串本町にある民間のロケット発射場から小型ロケット「カイロス2号機」が打ち上げられました。
直後の関西テレビの取材映像には、垂直に上昇する「カイロス2号機」の姿がとらえられていました。
前回のカイロス初号機は、打ち上げ直後に爆発しましたが、今回は無事に上昇していました。
打ち上げられたのは東京のベンチャー企業「スペースワン」が開発した、全長およそ18メートルの小型ロケットです。
最高高度は110.7キロメートルで、スペースワンは「宇宙へ到達したといえる」とした一方で、約3分7秒で飛行中断措置を行いました。 その理由について会見で「1段目のノズルの駆動制御に異常が発生し、想定の飛行エリアよりも西側に徐々にずれた」と発表しました。
■「ミッション達成が困難と判断し、飛行中断措置を行った」とスペースワン
ことし3月、カイロス初号機の打ち上げが行われましたが、自律飛行安全システムが作動し、打ち上げ直後に爆発して『失敗』。
その後「スペースワン」はロケットの設定を修正し、12月14日に「カイロス2号機」の打ち上げを予定していましたが、強風のため中止となりました。
翌日の15日に打ち上げが再び延期されましたが、この日も14日と同じく強風を理由に中止となり、18日に延期されていました。
スペースワンは午前11時3分、空気との摩擦熱などから衛星を保護する「フェアリング」の分離が成功したと発表しました。
しかしその後、「ミッション達成が困難と判断し、飛行中断措置を行った」と発表しました。
■「ノズルの駆動制御に異常 飛行中断は約3分7秒の時点で行われた」
『スペースワン』は午後2時半ごろからの会見で、『カイロス2号機』が飛行中断となった理由について、1段目のノズルの軌道制御に異常が発生し、想定の飛行エリアよりも西側にずれたため、飛行中断が行われたと発表しました。
【スペースワン 遠藤守取締役】「1段目のノズルの駆動制御に異常が発生したことが分かっていて、ロケットの姿勢にも異常がみられています。1,2段分離、第2段の点火、フェアリングの開頭までは計画通りに進んでいることが確認できております」 「一方でその後想定の飛行エリアより、南方向に飛んでいくものが、西側に徐々にずれてまいりました。計画していた限界線を超えたために飛行中断が行われたと考えております。飛行中断は約3分7秒の時点で行われたことが分かっております」
■「一刻も早く原因を究明し再発防止策を明らかに」
スペースワンの豊田社長は今回の打ち上げについて、「一刻も早く原因を究明し再発防止策を明らかにしたい」としたうえで、今後の打ち上げに前向きな姿勢を示しました。
【スペースワン 豊田正和会長】「今回のミッションは衛星を軌道を投入させる最終段階まで達成させることができませんでした。お客様、打ち上げにご協力いただいた関係者の皆様にお詫びを申しあげます」 「『カイロス2号機』のロケットはミッション4のステップ3まで達成し、ステップ4の段階でリフトオフから約3分後に飛行中断の措置がとられました。原因は対策本部を立ち上げて調査中でございます。一刻も早く原因を究明し、再発防止策を明らかにいたします」
「私どもは今回の事象を失敗とはとらえていません、今回得られた経験とデータは非常に貴重だと思っています。次の挑戦に向けての糧になると考えております。3号機に向けても加速することができると考えております」
また、打ち上げの最高高度は110.7キロメートルだったと発表しました。