四季の景色を感じられる京都の「哲学の道」。道の整備をめぐり、いま賛否が巻き起こっています。
「人は人 吾はわれ也 とにかくに 吾行く道を吾は行くなり」
哲学者・西田幾多郎さんが愛した「哲学の道」。
大正時代に哲学者たちが思いをめぐらせながら散策したことから、そう呼ばれています。
■すでにアスファルトで舗装されている部分も
「日本の道100選」にも選ばれているこの道で、いま検討されているのが「アスファルト化」です。
およそ1.5キロにわたる「哲学の道」は、これまでに北側の約530メートルと南側の一部(約80メートル)はすでにアスファルトで舗装。
一方、残りの区間は、砂利道となっています。
■「車いすやベビーカーが通行できない」などの声でアスファルト化検討
京都市によると、住人たちから「車いすやベビーカーが通行できない」「雨で水たまりができると通行がしにくい」などの声が上がったため、アスファルト化を検討することに。
ことし10月から「景観に調和した安全な道」の検討会議を開いていました。
■「哲学の道保勝会」は「土」の道に変えてほしいと訴え
しかし、このアスファルト化に待ったをかけたのは道の清掃なども行う「哲学の道保勝会」です。
【哲学の道保勝会 田村真和さん】「(アスファルト化で)桜の木が枯れると、ほたるやとか動植物の生態系がコロッと変わってしまう。環境が破壊されると思う」
自然環境への影響が懸念されるため、現在の砂利道でもなく「土」の道に変えてほしいと訴えているのです。
(Q.雨が降ったら水がたまこともある?)
【哲学の道保勝会 田村真和さん】「たまるんや。『(溜まる)ことも』じゃなくてたまるんや。(土は)水を吸収するからね、砂利は石やから吸収しないから」
■きれいな石の道を続かせようとすると「金ですわ、金」
全面アスファルト化なのか、それとも土の道か、あるいは、第3の道を探るのか。
17日、検討会のメンバーらが現地を視察しました。
【京都市 山崎政和所長】「この区間から砂利の道が続いている状況です。車が通った時に砂利になっていることで、わだちができたり、穴ぼこができたり、要望が多い箇所でございます」
【検討会メンバー】「きれいな石の道を続かせようとすると、たえずメンテナンスしないといけない。お寺の庭みたいに造園さん来てくれたらすごいきれいけど、それができない」
【検討会メンバー】「金ですわ、金」
■市の担当者も頭を悩ませる
地元の人にとっても最良な道とは…市の担当者も頭を悩ませています。
【京都市左京土木みどり事務所 山崎政和所長】「検討会議で議論したうえで、何とか折衷案を。賛成派と反対派の方のご意見を両方聞いていますので…」
(Q折衷案はある?)
【京都市左京土木みどり事務所 山崎政和所長】「車が通る箇所、通らない箇所もありますし。我々としては道路を管理する以上、安全面が大事。一方で道路の景観面も大事なのはご意見をいただいているので、両方を考えたうえでの形で、最終的に進めたい」
今後も検討が続く「哲学の道」。
先人たちが思いをめぐらせた「道」はどこへつながるのでしょうか。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年12月17日放送)