12月に入り、例年インフルエンザに注意する時期ですが、今年はそれだけではすまず、インフルエンザ、マイコプラズマ肺炎、新型コロナが流行して、「トリプルデミック」の恐れがあると言います。
この冬の危険な感染症対策ついて、関西医科大学附属病院の宮下修行診療科長に対策などを聞きました。
まずマイコプラズマ肺炎が小学校で大変流行しているということです。
【宮下修行医師】「非常に学級閉鎖を起こしやすい。そして学校の中で流行りやすい。これがマイプラズマの大きな特徴で、典型的な飛沫感染で、やっぱり小集団内で感染する。これが大きな特徴ですね」
感染者の多くは10代~30代で、若い世代に多いということです。
【宮下修行医師】「マイコプラズマというのが接着するのが繊毛と言いまして、気管支のところに生えている毛があるんですけれども、これが若ければ若いほど感染しやすい。ですからこの年代がかかりやすいというのがあって、今年8年ぶりに大流行ということです」
■3つの病気の特徴
3つの病気の特徴をまとめます。
・新型コロナウイルス:のどいの痛み・高熱・倦怠感。
・インフルエンザ:のどの痛み・高熱・倦怠感。
・マイコプラズマ肺炎:頑固な咳。この咳によって肋骨が折れる人もいるそうです。
【宮下修行医師】「私はずっと感染症の研究をしていますが、私でも例えば熱で来られた時に(病名の)区別はつかないです。症状だけでは分からない。やっぱり検査をして診断をつけるということですね。
コロナとインフルエンザはワクチンがあります。マイコプラズマはワクチンがありませんが、よく効く特効薬があります。かかった時にこれを飲む。ただ、大阪で一番問題になっているのは、耐性のマイコプラズマと言いまして、薬剤に対する耐性が非常に増えてきております。薬を間違えると困ったことになります」
薬は不足しているのでしょうか?
【宮下修行医師】「咳止めのお薬ですとかそういうものも、いまだに供給が滞っています」
■トリプル感染の恐れも
同時感染も怖いですけど、まず1つに感染して、体力が落ちて免疫力が低下して、また次のものにかかることも怖いですね。
【宮下修行医師】「当然ながらこれはあります。この3つがかかるということと、細菌がその後入ってくるわけです。
逆に言うと、免疫が落ちてかかると細菌まで入ってきてしまうので、4つに感染してしまうということもありえます。インフルエンザもマイコプラズマもコロナも、家庭内で感染しやすい。小集団内で感染しやすいのが特徴です」
4つ目の細菌というのはどういうものなんですか?
【宮下修行医師】「細菌は、喉が白苔、いわゆる白くなってしまっている。これは、弱ってしまった粘膜が剥げ落ちたようなところでは、くっつきやすくなってしまいます。例えば溶連菌などです。
どうやったらかからないか。それはマスクと手洗いです。これを家族の中でも徹底する。そして換気。コロナの時に習いましたように、マスクはやっぱり有効です」
コロナが一番ひどかったときは、インフルエンザもなかったですね。みんなマスクをして用心していたからなんですね。
【宮下修行医師】「その通りです」
■免疫力を上げるのも対策に
(Q:換気の頻度は?)
【宮下修行医師】「換気の目安は30分に5分です」
(Q:うがいは意味がある?)
【宮下修行医師】「その時ならば意味がありますけれども。例えば、咳をしました。マスクをしてません。その時に(うがいで)洗い流すというのは意味があります」
よく食べ、よく寝るみたいなことも大事なんですか?
【宮下修行医師】「これは当然免疫を上げるということですから、一番大切なのは睡眠をとるですとか。免疫力を上げるためには、栄養をとって、睡眠をとる。やっぱり絶対的な考えです」
ある程度免疫力があると、ウイルスが少し入った場合でも、症状が出ないで、軽く済む場合もある?
【宮下修行医師】「はい。それはあります。免疫力を高めることは一つの手段にはなりますが、子どもさんが持っているウイルス量、菌量が大きければかかってしまいますね」
■『隠れインフルエンザ』に気をつけろ
今流行している感染症の中でも特に注意すべき状態があるということです。
【宮下修行医師】「インフルエンザというのは、一般的には高熱が出て、体がだるくてしんどい。こういうイメージがすごくついてるんですね。これは確かなんですが、 いわゆる風邪のように喉だけとか、微熱だけとか、そういう症状で終わってしまうインフルエンザも実は隠れています。
例えば、風邪薬を飲んでしまう。風邪薬には消炎鎮痛剤が入ってますから、インフルエンザの症状がマスクされてしまう。そういうことが起こりえます」
でもウイルス自体は持っていて、広げてしまう可能性もあるのですか?
【宮下修行医師】「その通りです。抗ウイルス薬ではありませんので、ウイルスを下げる役目がありません。すると周りに感染してしまいます」
■インフルエンザワクチンの効果は
インフルエンザのワクチンは、打ってから効果が出るまでちょっと時間がかかるのですか?
【宮下修行医師】「だいたい2週間ぐらい、抗体ができるのにかかってしまいます」
大流行して周りがインフルエンザの人が多くなってからワクチン接種をしても意味がなくなっちゃいますか?
【宮下修行医師】「その後、数カ月間続きますので、H1N1、H3N2、Bという3つが流行りますので、そうなると1つにかかったとしたら、あとの2つにもかかる可能性があるので、やっぱりワクチンを打っておく必要があります」
インフルエンザの場合は、ワクチンを接種していると症状もそんなに出ない、かかったとしても軽くなると聞きますが?
【宮下修行医師】「はい。これが一番重要ですね。『かからない』ではなくて、『重症化予防・症状を軽くさせる』。そういう意味が多いですね」
■痛くないワクチン「フルミスト」
インフルエンザのワクチンといいますと痛い注射のイメージがあると思いますが、今年から痛くないワクチン「フルミスト」も接種できるようになりました。対象年齢は2~18歳ということです。
【宮下修行医師】「海外では大人が打てるんですけど、今回は供給不足ということで、この年齢に限られています。
注射のものが不活化ワクチン、いわゆる菌を殺してしまったものを打っている。それに対して、これは生ワクチンなんです。生ワクチンのほうが免疫がつきやすいですとか、周りに妊婦さんや免疫不全の方がいると弱毒したウイルスを撒き散らしてしまうことがあるので、それは止めておいていただきたいです」
効果が気になりますが?
【宮下修行医師】「これは昔から開発されていて、効果は今のところ注射薬とほぼ同等という結果が出ています。ただ、値段がその分高いというところもあります」
(Q:鼻をかんでも大丈夫?)
【宮下修行医師】「粘膜にきちっと浸透していきますので、そこはそんなに心配しなくていい」
手洗い、うがい、マスクをすることで、基本的な感染予防対策をお願いします。
(関西テレビ「旬感ライブとれたてっ!」2024年12月3日放送)