全国屈指の注目選挙区、和歌山2区。
「二階」と「世耕」、衆議院と参議院で住み分けてきた和歌山の二大ブランドが、プライドをかけて激突。分裂した保守票に、他の陣営は…。
■和歌山の二大ブランド「二階」と「世耕」
【自民党 新人 二階伸康候補】「私と相手候補のポスターが同じ家の軒先に並べて貼ってある。その景色を見るたびに胸が痛くなる」
その相手候補とは…。
【無所属 新人 世耕弘成候補】「皆さん、おはようございます。無所属・新人の世耕弘成です」
5期務めた参議院からくら替え出馬した、世耕弘成さんです。
二階派の裏金問題の責任を取った父の地盤を継ぐ自民党公認の息子に、安部派を裏金問題で離党した「前参議院議員」が弓を引く。この状況に他の候補者は…。
【立憲 新人 新古祐子候補】「二大巨頭といわれる“裏金ブラザーズ”に対して戦いを挑むような形になっています」
“裏金ブラザーズ”と批判…。いずれも新人、5人が熱戦を繰り広げています。
【選挙カーの音声】「二階伸康本人。心を込め、立候補のご挨拶に伺っております」
自民党公認の二階伸康さん。
この日、向かったのは北山村。日本で唯一の飛び地で、人口はわずか381人の小さな村です。
地元を大切にする父の教えからでしょうか。まずは山奥の小さな村から、順番に選挙戦を始めます。
【自民党 新人 二階伸康候補】「私は父の背中を見て育ってきました。お前はしっかり現場に行って(話を)聞いてこい、こういう風に(父に)言われました」
“二階ブランド”を最大限活用。父の肝いり事業「国土強靭化」にも触れ、聴衆に訴えます。
【自民党 新人 二階伸康候補】「国土強靭化、もうこの言葉は法律になりました。これに加えて、もう一つ言葉を作りたい。『半島強靭化』。この紀伊半島を守るために。半島強靭化という言葉は、今はどこにもありません。法律に書き込んで、そして予算をつける」
演説が終わると…とにかく走る!かつて父も走った道を、駆け抜けます。
【自民党 新人 二階伸康候補】「(父から)一言いわれたのは、『選挙の勝敗は誰にも分からない』。なので、『自らの靴に聞け』と、その一言だけアドバイスをしてくれました」
■「政治とカネの問題で失敗した。しかし諦めていない」と世耕氏
世耕さんも今回の衆院選では“新人”です。
参議院では5期務める中で安泰の選挙が続いていたため、久しぶりに一つ一つの地域を丁寧に回り、主に人口減少対策を訴えています。
【無所属 新人 世耕弘成候補】「製造業と農林水産業、観光で、質の高い雇用。上品な言い方をしてますが、要するに、ええ給料をもらえる仕事を増やしていって」 「自然豊かな和歌山で、そういう仕事について家族を養っていこう、こういう人の流れをしっかりと作っていきたい」
一方で、“新人”でありながらこんな話も…。
【無所属 新人 世耕弘成候補】「内閣官房副長官として3年7カ月」 「経済産業大臣として3年1カ月」 「参議院幹事長として4年6カ月」
自身の輝かしい経歴のアピールも忘れません。
また、地元・新宮市で演説中には…。
【無所属 新人 世耕弘成候補】「すいません、大変な雨が降ってきましたが、皆さん、今日は私は安倍さんの形見を身につけております。形見って何でしょうか。靴です」
安部元総理の靴はびしょ濡れになってしまいましたが、絆を強調しました。裏金問題については「釈明」したものの、「説明」はありません。
【無所属 新人 世耕弘成候補】「私も政治とカネの問題で大きな失敗をしました。しかし、諦めていません」
これで「禊」となるのでしょうか。
■和歌山2区候補者の紅一点 対立候補2人を「裏金ブラザーズ」と批判
【立憲 新人 新古祐子候補】「二大巨頭と言われる“裏金ブラザーズ”に対して、私一人で戦いを挑む形になっていますが、本当に和歌山の今を変えていきたい」
対立候補2人を“裏金ブラザーズ”と批判するのは、立憲民主党公認の新古祐子さん。元和歌山市議会議員で、国政選挙に出るのは初めてです。
演説前には話す内容を入念に確認するも…。
【立憲 新人 新古祐子候補】「和歌山2区のいいところをしっかりと皆さんにお伝えするべく、がんばって…ちょっと待って、めっちゃ緊張する、めっちゃ緊張する。もう1回やっていいですか…」
そこで、聞いていた群衆から「がんばれ!」の声が。
【立憲 新人 新古祐子候補】「ありがとう!」 「裏金問題、世襲問題など今の政治にクリーンなイメージは全くありません。私は真面目で勤勉に働く人が報われる社会、努力する人が報われる社会を目指していきたい」
少し緊張気味ではありましたが…。
【有権者】「全国一問題選挙区だから女性は一人だし、反応はあると思います。がんばって」
【立憲 新人 新古祐子候補】「ありがとうございます」
■保守分裂の選挙戦を有権者はどのように判断?
共産党公認の楠本文郎さん。地元の人が自然と集まる場所を見つけては積極的に声をかけに行き、経済格差をなくすため、消費税の廃止や最低賃金のアップを訴えました。
【共産党 新人 楠本文郎候補】「30年、若者を含めて賃金が上がっていない日本の現状」
「健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有するというところにまだ行っていないですよね」
「全国一律の最低賃金1500円をすぐに実現をする。そして。生産する年代の皆さん方の賃金を大きく引き上げていく。そのために国がやらなければならないことがとても多い」
また、「裏金問題」についてはきっぱりと…。
【共産党 新人 楠本文郎候補】「裏金を作るような議員というのが、世の中からなくなるっていうことが社会進歩のはずなんですね。そこにしがみつくようなものは、有権者が審判を下していただきたい」
そして、諸派の高橋秀彰さんも立候補しています。
【諸派 新人 高橋秀彰候補】「経済は下向きで成長すらしないこの政策に対して、何ら反省しないこの政権に対して、私は強く疑義を申し立てたい」
自民党の“二階王国”に新人候補が5人。保守分裂の選挙戦を有権者はどう判断するのでしょうか。