衆議院選挙が15日、公示され、異例となる“短期決戦”の選挙戦がスタートしました。
有権者が重視する政策は?そして、近畿・徳島の各候補者は何を訴えたのでしょうか。
■6日間で270カ所! 市内の選挙ポスターの掲示板の設置
新内閣発足から戦後最短で解散して迎えた第50回衆議院選挙。
15日、公示日を迎え近畿と徳島では、合わせて47の小選挙区で、206人の候補者が争います。
解散から投開票まで、わずか18日間の異例の“超短期決戦”となり、奈良県生駒市では選挙ポスターを貼る掲示板の設置が、急ピッチで進められていました。
設置するのは市内270カ所です。
【建設会社「SUNS」 荻本健志代表】「何せこの仕事は急に決まるので。人の確保とかも、なかなか難しい部分があったり。トータルして(作業開始から)6日でこの件数さばくのはプレッシャーある」
奈良県内の建設会社では、ほとんどの従業員が休みを返上し、朝から掲示板のくぎを打つ場所を確認し、傷やいたずらがないか、すみずみまで点検していました。
【建設会社「SUNS」 荻本健志代表】「生駒市の地形は、アップダウンが激しいので、車が入れない所は材料を担いで設置しにいったりもでてくるので(大変)」
予定通り6日間で無事、270カ所全ての掲示板の設置が完了しました。
■期日前投票に投票所の入場券の発送が間に合わない自治体も
そして、16日から始まる期日前投票に向けた準備も…。
【宝塚市選挙管理委員会事務局 麻尾篤宏課長】「こちらが今、投票の記載台を並べている」
宝塚市役所で朝から市の職員たちが行っていたのは、投票会場の設営作業です。
【宝塚市選挙管理委員会事務局 麻尾篤宏課長】「先週までは他のところ(部署)が使っていたので、きょうから設営。短い期間でも、どないかしないといけない」
しかし市役所内には、まだ市民が期日前投票に持って行く入場券がずらり。
選挙日程が急に決まったため、宝塚市では発送が間に合わない事態となり、10月22日にようやく全ての有権者に届くといいます。(入場券なしでも投票可能)
【宝塚市選挙管理委員会事務局 麻尾篤宏課長】「やっと届いたなっていう感じ」(Q.選挙では、よくあること?)「長いこと選挙のことやってますが、初めてです」
■有権者が重視する政策は「裏金問題」、「子育て」、「経済」、「安全保障」
番組では、街の人に衆院選で重視する点についてインタビューしました。
【吉原功兼キャスター】「15日、公示された衆院選ですが、街の皆さんの争点は何でしょうか?」
【街の人(60代)】「裏金が一番あれかな。石破さんも思ったほどじゃないし。当選したら、いつもなかったことのようになってるし」
【街の人(70代)】「裏金がね、あれを解決してから選挙すればいいけど、石破さんもちょっと焦りすぎたのかな。言うてることがコロコロ変わってね、すごく難しいね。(選挙に)一応は行きますけど、投票したからってどうっていうことないと思いますよ」
【街の人(30代)】「子供がいるので、子育ての面で大阪が住みやすい、子育てしやすい町になれるかなというので、経済面と子育ての面、ちょっとでもよくなってほしいので」
【街の人(20代)】「給料面とかで税金払っていかなあかん、自分の生活がしんどいっていう状況で、税金払っていくけど、自分が将来、高齢者になった時に、逆に払った税金、年金、社会保険料とか還元されるんかな」
【街の人(50代)】「これだけ色んなところで紛争が起こっているので、安全保障すごく気になります。きょうも中国が台湾演習で、まるで台湾を取り囲むようなことをしているので、いかにして日本が自分たちの立場を、中国に伝えていくかは非常に大事」
■候補者が揃って言及“不記載問題”(兵庫9区)
政治とカネや経済などが争点となっている今回の選挙。
兵庫県明石市や淡路市などをエリアとする兵庫9区は、政治資金収支報告書への不記載で無所属となったベテランの前職に対し、新人3人が挑みます。
第一声で候補者が揃って言及したのは、その“不記載問題”についてでした。
【立憲・新人 橋本慧悟候補(35)】「さまざまな政治不信、政治とカネの問題、今、日本にはびこっています。この国を変える、そして地域も変える、未来を変える。政治を変えて、そして私たちの生活をもっと良くする。その強い決意で挑んでまいります」
【共産党・新人 高田良信候補(78)】「日本共産党は金権腐敗は無縁です。全くご縁がない。自分たちの力で、この政治を変えようという政党が日本共産党です」
【維新・新人 加古貴一郎候補(61)】「いわゆる裏金の問題、そういったことは、私はずっと国家公務員ということでやってきました。当然そういう問題はありませんし、これからも一切クリーンで、オープンで、クリーンな政治ということで、しっかりやっていきたい」
【無所属・前職 西村康稔候補(62)】「政治不信を招いたことを改めて、おわびを申し上げたいと思います。本当に申し訳ございません。やっぱり経済です、経済を立て直そうじゃありませんか。所得を増やそうじゃありませんか、みなさん」
■保守分裂の戦い(和歌山2区)
また和歌山2区では、不記載の問題で自民党を離党した参院のベテラン議員がくら替え出馬して、保守分裂の戦いが見込まれ、自民党の牙城に野党などが挑みます。
【共産党・新人 楠本文郎候補(70)】「私利私欲なく働く、そういう議員を目指して頑張る私、楠本文郎。日本共産党へと力を貸していただきますよう、よろしくお願いします」
【立憲・新人 新古祐子候補(52)】「今の政治にはクリーンなイメージは全くありません。私は真面目で勤勉に働く人が報われる社会、努力する人が報われる社会を目指していきたいと思います」
【自民党・新人 二階伸康候補(46)】「私はやりたいことがあるんです。この国の形を変えたい。一極集中を止めて、地方にもう一度元気や活力をも戻す。その政治をやらせていただきたいと思うんです」
【無所属・新人 世耕弘成候補(61)】「私は派閥の還付金不記載の問題で、大きな失敗をいたしました。和歌山の発展のために働け、国のために働け、と言ってもらえるかどうかを謙虚にお伺いしていく」
このほか諸派の高橋秀彰候補(42)が立候補を届け出ています。
■公明党に維新が候補者擁立で全面対決(大阪16区)
一方、堺市堺区、北区、東区をエリアとする大阪16区は、長らく公明党が議席を守ってきましたが、立憲に加え、これまで候補者を擁立してこなかった維新が初めて候補者を立て、全面対決となります。
【維新・新人 黒田征樹候補(44)】「われわれ維新の会は、組織や業界団体の支援を一切受けておりませんし、これからも受けるつもりはありません。しがらみのない政治で、国民の皆さまが本当に必要とする政治を実現していく」
【公明党・新人 山本香苗候補(53)】「今のこの物価高、物の値段が高い、生活が苦しい、そのお声に応えるために、この選挙の後にはちゃんと、第2弾の追加の経済対策を実現してまいります」
【立憲・前職 森山浩行さん(53)】「一人一人の使えるお金を増やしていく。そのためには教育の無償化はもちろん、65歳を過ぎても貯金しないといけない状況を変えていく必要があります」
第50回衆議院議員選挙の投票日は、10月27日で即日開票されます。
■世論調査では、「経済政策」が争点だとの回答が最多
FNNが今月行った世論調査で、「あなたは、衆議院総選挙の投票先を決める際に、何を重視しますか?」という問いに対して、このような結果になりました。
一番は「経済政策」で35.6%。
「候補者の資質」が29.0%、「政治とカネ」問題が28.7%、「社会保障政策」が23.3%、「子ども・子育て・少子化対策」が20.9%と続きました。
また、街の人からはこのような声が聞かれました。
「政治不信がどう解消するか(50代男性)」
「僕らから得た税金の使い方をきっちり考えて欲しい(20代男性)」
■実質賃金がプラスになる経済政策が非常に重要
街の人の話を聞いていても、「今の生活が苦しい」と話す人が多くいたという吉原キャスター。
賃上げや、今後の景気に対しての国民の関心が高いように感じます。
番組コメンテーターの経済学者の安田洋祐教授はこのように話します。
【大阪大学大学院 安田洋祐教授】「皆さんの暮らしを苦しくしている、大きな要因の一つは、物価高だと思うんですよね。賃金が物価と比べてより高く上がってくれると、いわゆる『実質賃金』がプラスになります。ちょうど(直近の)実質賃金がプラスになり始めたのですが、ただし、それは夏のボーナスの影響も考慮されているものです。安定して賃金が物価よりも高い水準で増えていくという軌道には、まだ乗り切れていません。ですから、ここから数カ月、冬のボーナスもありますけれども、その前後でもきちんと賃金が上がり続けるかということが、非常に重要だと思います」
■自分が最も関心があることの、各候補者の政策を並べて判断すると良い
【関西テレビ 神崎博報道デスク】「われわれメディアは、どうしても『政治とカネの問題』を取り上げがちなのですが、生活者目線で言うと、皆さんぞれぞれ、自分が一番関心があることがあると思うんですよね。例えば『教育問題』であれば、無償化はどこの政党が、どの候補者がやってくれるのか、とか、お金の話でいうと、『時給1500円』って言っているのは、どこの政党のどの候補者で、それをいつまでやってくれるのか?とか、そういうことを色々並べていって、自分が投票する時に、自分が一番関心があることを、強く言っている候補者、この政党に入れようと判断して頂いたら良いと思います」
(関西テレビ「newsランナー」2024年10月15日放送)