3日、大阪の海遊館で、新しくやってきたジンベエザメがお披露目となりました。 これまでいたジンベエザメは知られざる使命を背負って、太平洋に放流されるということです。
わずか一晩で行われたジンベエザメのお引っ越しに密着しました。
■トラックで高知から大阪へ「ジンベエザメ」お引っ越し
2日、高知県の土佐清水市を出発した1台のトラック。
特注の大きな荷台に積まれているのは世界最大の魚類「ジンベエザメ」です。
目的地は大阪の海遊館。5年ぶりの重要イベント「ジンベエザメ」のお引っ越しです。
今回は、高知県にある海遊館の研究施設から、新たにジンベエザメを迎えるのと同時に、これまで飼育されていた「海(かい)くん」を太平洋に放流するため、水槽から運び出す作業も行われました。
高知からの道中では計3回、水を入れ替えるなど、ジンベエザメの健康状態に細心の注意が払われていました。
【記者リポート (2日午後7時)】「大きなトラックが海遊館に到着しました。このトラックは新しくやってきたジンベエザメを乗せています」
大きなトレーラーが海遊館に到着。
水槽の蓋をつり上げると、ジンベエザメが見えました。
尾びれをゆらゆらと動かし、元気そうに見えますが、長旅の影響がないかスタッフがすぐに血液検査などを行って健康状態をチェックします。
■生態調査のため先代「海くん」は太平洋へ
海遊館の営業終了と同時に作業も本格化。巨大な水槽では海くんのお引っ越しが進んでいました。設置された大きなシートの中に誘導されていきます。
そしてダイバーたちの見事な連携で、無事シートの中に納まりました。
そもそもなぜ海くんは太平洋に放流されるのかというと、実は海遊館は「水族館」としての顔以外に、「研究施設」としての顔も持っているからなんです。
放流されるときに、海くんには記録装置が装着され、どの海を泳いでいくのか?どのあたりまで潜るのか?水温はどうなのか?などのデータを収集します。
ジンベエザメの生態についてはまだ分かっていないことが多く、飼育している施設も少ないため、海遊館に寄せられた期待は非常に大きいのです。
海くんが送ってくれたデータがジンベエザメの新たな謎を解き明かすことになるかもしれません。
■新しくやってきたジンベエザメは「水槽ごとつり上げて搬入」
さて新しく来たジンベエザメを水槽に移す作業に取りかかります。とはいっても、全長4.7メートルの巨体を、一体どうやって水槽に移動させるのかというと…
【記者リポート】「新しいジンベエザメがゆっくりつり上げられていて、海遊館の水槽に移動しようとしています」
水槽ごとつり上げて施設の上から搬入するのです。 ジンベエザメはゆっくりと新しい水槽の中へ泳ぎ出しました。 その後、海くんの移し替えも無事終わり、お引っ越しプロジェクトは成功に終わりました。
早速、お披露目となった3日。
【お客さん】「やばい、やばい」
他の魚に囲まれながら悠々と泳ぐ姿が。水槽の仲間たちにも温かく迎え入れられていました。
【お客さん(子供)】「動きが滑らか」
【お客さん】「(子供に話しかけて)どうだったかな、大きいね。ご飯食べてたね」「大きくてびっくりしました」
■ジンベエザメの生態解明のため意義あるお引っ越し
エサも元気に食べていて、健康状態も良好なようです。
【海遊館ジンベエザメ担当 芳井祐友さん】「今さっき初めてエサあげたんですけど、早速、反応してエサがくるの分かって。どこから落ちてくるか分かってなかったのであたふたしてましたけど、すぐ分かってしっかり食べてくれて安心しました」
ジンベエザメの生態の解明のため、意義のある引っ越しとなりました。
【海遊館ジンベエザメ担当 芳井祐友さん】「水槽で飼育していたジンベエザメが、野生に出てもしっかり生活できるのかっていうのを把握するうえでもすごく大切。これからも続けていこうと思っています」
ちなみに、3日にお披露目となった新しいジンベエザメも、これまでの名を引継ぎ、「海くん」になるそうです。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年10月3日放送)