関西電力送配電は、電柱の変圧器の一部に国の基準値を超える化学物質が含まれていることを、長年把握していたにもかかわらず隠ぺいし、2019年になって国などに報告していたと発表しました。
■1998年ごろに再使用していた一部の変圧器から「PCB」検出
関西電力送配電によると、有害性が指摘されているPCB(ポリ塩化ビフェニル)という油状の化学物質が、電柱の「柱上変圧器」の一部に混入していて、1990年からPCBを除染するなどして変圧器を再使用していました。
1998年ごろには、国の基準値を超えるPCBが、再使用していた一部の変圧器から検出されていたということです。
■「2018年の台風による事故で把握」と長年隠ぺい
一方、2018年の台風で電柱が倒れて、変圧器から油が漏れる事故が起き、国の基準値を超えるPCBが検出されましたが、その後、当時の配電部門のトップ(現在・副社長)が、「この事故がきっかけで、基準値超えのPCBを含む再使用変圧器があると把握した」と国や大阪府などに報告をしていました。
その後、去年11月に社外相談窓口に通報があったことで、この事案が発覚しました。
■社長「可能な限りさかのぼって 組織風土の改革に反映したい」
【関西電力送配電 白銀隆之社長】「全容を可能な限りさかのぼって、組織風土の改革に反映したい」
関西電力送配電は重大なコンプライアンス違反だと認め、1日付けで副社長が辞任したほか、2026年度までに柱上変圧器およそ19万台を取り替えるとしています。
20年以上把握していたという事実があり、企業として「あってはならないこと」と番組コメンテーターで大阪大学大学院の安田教授は指摘します。
【大阪大学大学院 安田洋祐教授】「あってはならないことだと思いますが、どういった経緯で起きてしまったのかは、関西電力送配電にきちんと調べていただくとして、最近、水害を中心とした自然災害が増えてますよね。 こういった変圧器から油が漏れ出るみたいなことも増えてしまう危険性が高まっているので、20万台近い取りかえ作業を、2026年まであるんですけど、できるだけ迅速に作業を進めていただきたいなと思います」
(関西テレビ「newsランナー」2024年10月1日放送)