将棋界で史上初の女性棋士誕生へ。 関西出身の西山女流三冠が、10日から棋士編入試験に挑戦しています。
ルーツをたどると見えてきた強さの原点とは。 前人未到の偉業に挑む女流棋士。
大阪狭山市出身の西山朋佳女流三冠(29)です。 男女を問わない棋士の世界ですが現在、トップに君臨する藤井聡太七冠をはじめ172人全てが男性。 100年の歴史の中で女性が棋士になったことは一度もないのです。
西山さんは「女流棋士」8大タイトルのうち、3つをもつ実力者で、攻めの指し手からついた異名は「剛腕」とも…
■西山さんの将棋を支えるのは『果断』という言葉
ただ、これまで棋士の条件となる「四段」まで一つ下の三段まで進みましたが、年齢制限もあり一歩及びませんでした。
それでも、女流棋士として腕を磨き、もう一つの棋士になる道、編入試験の切符をつかんだのです。
【司会】「棋士編入試験第1局を高橋四段の先手ではじめてください」
【西山朋佳女流三冠】「よろしくお願いします」
試験は、若手棋士5人と対戦する五番勝負。3勝をあげれば合格となります。 本当に、女性初の棋士になれるのか。西山さんの将棋を支えるある言葉があります。
【西山朋佳女流三冠】「『果断』は思いきって決断することって意味があって、場面場面で必要とされる力だと思ったので」
決断力があることを意味する「果断」。 さらなる強さを求めて棋士への挑戦を決めました。
■小学1年生の頃から将棋漬けだった
強さの原点を探るため、西山さんの出身地、大阪狭山市へ向かうと…小学校の同級生に遭遇。 最近でも食事に行くなど交流があるらしいですが、西山さんはどんな子どもだったのでしょうか。
【小学校の同級生 堀場奈美さん】「人気者でした。みんな毎週遊んでいたんですけど、朋佳はずっと将棋をしていたので、遊べる時はみんな“予約制”というか『朋佳遊べるらしいで』って、ずっと努力している子でした」
西山さんが将棋と出会ったのは小学校1年生の時。 地元の将棋教室「若駒会」に通い、“将棋漬け”の日々を送っていました。
【若駒会・南徳一さん】「気持ちが入ってないそれじゃ。両方とも「飛車」見てみ、どうなってるねん」
恩師の南さんの厳しい指導にもめげず、将棋への向き合い方が人一倍強かったといいます。
【生徒】「負けました~」
【若駒会・南徳一さん】「西山さんとはここが違うんですよ」
(Q何が違う?)
【若駒会・南徳一さん】「西山の子は一局済んだらまたやっていたんですよ。この子らも一局済んだらふっとします。それはあかん。気持ちの持っていきかたがしっかりしていたんですよ」
一方で、当時、実際に対戦した人は普段の様子と将棋の内容に大きなギャップがあったと話します。
【同じ将棋教室に通っていた奥野元喜さん】「とても優しくてのほほんとした雰囲気を持った子だったが、将棋の内容はとても早指しで攻めが盛ん。私が勝っても負けても彼女はすごくポーカーフェイスだったので、自分が負けた時は彼女のポーカーフェイスを見てくやしさが一層増すというか」
「豪快さ」と「冷静さ」を兼ね備えていた西山さん。 今回の編入試験で戦う5人は四段の棋士ですが…
実は、さらに上の段の男性棋士にも勝利しているんです。
【直近で2度敗れた・渡辺和史七段】「西山さんの強さを感じて新たな面を見た気がしましたね」
女性初の棋士を目指し編入試験に臨む西山朋佳女流三冠(29)。
西山さんに直近で2度敗れた渡辺七段は、その持ち味の「派手な攻め」に磨きがかかっていると話します。
【渡辺和史七段】「最近は繊細な棋譜や手が増えてきてそれが西山さんの新しい強さかなと思います」「以前よりは攻めの幅が広がった印象を受ける」
そして、編入試験の合格の可能性については…
【渡辺和史七段】「西山さんは大一番で力を発揮するタイプ。四段の方たちより大舞台の経験値がある」「かなり期待大だとおもう」
史上初の女性棋士を目指し、編入試験に臨んでいた西山朋佳女流三冠(29)が先ほど第1局に勝利しました。 試験は若手棋士5人と対戦する五番勝負です。
今後の編入試験の対局は以下のような予定になっています。
第2局 山川泰熙 四段 10月2日(水)東京・将棋会館
第3局 上野裕寿 四段 日時未定
第4局 宮嶋健太 四段 日時未定
第5局 柵木幹太 四段 日時未定
今回の勝利の結果、あと2勝で初めての「女性棋士」が誕生することになります。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年9月10日放送)