京都アニメーション放火殺人事件の裁判員裁判で、青葉被告の責任能力に関する本格的な審理が始まりました。青葉被告の精神鑑定を行った医師は「犯行に妄想の影響はなかった」と証言しました。
13回目の審理となった10月23日。裁判は唯一にして最大の争点となる、“責任能力”に関する審理に移りました。
青葉真司被告(45)は4年前、京都アニメーションの第1スタジオにガソリンをまいて放火し、36人を殺害した罪などに問われています。
これまでの裁判で青葉被告は京アニのアニメ作品を見て小説を書き始め、京アニ主催の小説コンクールにも応募しましたが、落選したと説明。そして犯行の動機については、「京アニに小説のアイデアを盗まれた」と主張しています。
しかし、盗用について京アニ側は否定しています。
23日の裁判では検察側、弁護側双方が”責任能力”についての冒頭陳述と、起訴前に青葉被告の精神鑑定を行った医師の証人尋問が行われました。
まず検察側は「妄想に支配された犯行ではない。自分はすべて失ったのに、京アニは成功していて許せないという筋違いの恨みを募らせ、自らの意思で実行を決断した」と、青葉被告には責任能力があると主張。
一方、弁護側は検察側と弁護側それぞれの依頼で被告の精神鑑定を行った2人の医師の証言には食い違いがあるとして、「注意して検討してほしい」と裁判員に呼びかけました。
■起訴前の青葉被告の精神科医が証言「犯行に妄想の影響はない」
23日の法廷で証言したのは、起訴前、検察側の依頼で青葉被告の精神鑑定を行った医師。青葉被告について、「極端に人のせいにしやすい」性格の傾向などがあると証言しました。 さらに「現実逃避で他責的な妄想」が出現する、「妄想性パーソナリティー障害」が「京アニに小説を盗用された」などの被害妄想を生み出したと指摘しました。
その一方で犯行動機については、小説家の夢が断たれたことが大きな影響を与えたと主張。さらに、医師は、「(動機の形成には)京アニに対する被害妄想が影響を及ぼしたが、その他の部分にはほとんど認められなかった」と犯行に妄想の影響がなかったと述べました。
10月26日には起訴された後、弁護側の依頼で精神鑑定を行った医師の証人尋問が行われる予定です。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年10月23日放送)