14日午前、緊急記者会見を開いた岸田総理大臣。
【岸田文雄首相】「お盆が明ければいよいよ秋の総裁選挙に向けた動きが本格化することになります。今回の総裁選挙では自民党が変わる姿、新生自民党を国民の前にしっかりと示すことが必要です」 「その際、自民党が変わることを示す最もわかりやすい最初の一歩は私が身を引くことであります。私は来たる総裁選には出馬いたしません」
来月行われる予定の自民党総裁選挙に出馬しないと明言しました。
【岸田文雄首相】「総裁選を通じて選ばれた新たなリーダーを一兵卒として支えていくことに徹してまいります」
自民党の総裁選に勝利し、第100代総理大臣として就任したのは2021年。 以来3年間の成果として防衛力の強化、G7広島サミットの開催、日韓関係の改善などを挙げました。
では、なぜ今、出馬しないと決めたのか、その理由は。
【岸田文雄首相】「この間、旧統一教会を巡る問題や派閥の政治資金パーティーをめぐる政治とカネの問題など国民の政治不信を招く事態が相次いで生じました。 」 「所属議員が起こした重大な事態について組織の長として責任をとることにいささかの躊躇もありません」
そして、後継者については。
【岸田文雄首相】「ぜひ、しっかりとした総裁選挙をやってもらい、そして選ばれた総裁は今度こそ『オール自民党』でドリームチームを作って信頼回復にむけてしっかりと取り組んでもらいたい」
岸田総理の再出馬を断念させた”政治不信“。 次こそドリームチームは誕生するのでしょうか。
総理の突然の退陣表明に、自民党内からは賛否の声が入り乱れています。
岸田首相の側近議員は裏金問題に触れ、「組織のトップとして責任をとったのだと思う」と、涙ぐみながらに語っていました。
議員の間では「驚いた」と戸惑う声がある一方、冷ややかな意見も多く、ある重鎮議員は、「情勢が厳しくなっていく中、判断したのだろう」と話していたほか、ある閣僚経験者も「岸田さんで選挙をやったら、自民党は壊滅的になる。自ら引くのは当然だ」と突き放す声もあったということです。
そして来月に行われる自民党総裁選に向けては、出馬に意欲を示してきた議員たちの対応が注目されます。
●石破茂元幹事長 ・訪問先の台湾で出馬の準備を進める考えを示す。
●茂木幹事長 「政権として、厳しい状況に置かれていたことは事実だが、不出馬を表明されたことは、極めて残念だ」と述べる。 (「総理になってやりたい仕事がある」と総裁選への意欲をにじませていた) 連立政権を組む、公明党の山口代表は次のように述べました。
【公明党 山口那津男代表】「総理の強い意志と重い決断を受け止めることとします。自公連立政権は政権合意を結んで岸田政権とも今日までやってきた。岸田総理の思いを生かすリーダー選びを期待したい」
野党側の反応です。
【立憲民主党 泉健太代表】「けさ一報が入って驚きましたね」「総理が辞めたとしてもですね、それは自民党の体質が変わったわけではないということ」「党が危機になると総理総裁を変えて心機一転、過去を忘れてもらうと。そういう手法に国民はいつまでも私は引っかかっていてはいけないと」
【共産党 小池晃書記局長】「まさに国民の怒りの広がりの前に追い詰められた立候補辞退の表明だと」「自らが身を引くことが自民党が変わることを示すことになるんだとおっしゃいますけども、自民党の中での政権のたらい回しでは何も変わらない」 【日本維新の会 馬場伸幸代表】「突然の意向表明に驚いている。政治改革では公党間の約束を果たせず、岸田総裁に党内をまとめきる力がなかったことは残念だ」
【国民民主党の幹部】「岸田さんは勝てないと思ったのでしょう。麻生さんの支持も得られずね。岸田さんが辞めたら裏金問題がリセットされる可能性がある」
<岸田首相の総裁選への不出馬について感想は?>
「若いし政治見てるわけじゃないけどびっくり。途中で終わりはった感じがして」 「裏金問題でたたかれて、(選挙に)出るって言うてもほかの方が選挙の顔としては勝てないって言うんじゃなかなと」 「人間的にはいい人なんちゃうかなと思うんで、その辺のところでもうちょっと無理やな~と思ったんちゃいますか」
<岸田政権発足からおよそ3年の評価は?>
「外交はよく頑張っておられるけど。税金の取り方がおかしいですよね、年金はあがって、年金はたくさんもらえたけど、医療費はあがった、2割から3割負担になりました。これってどうなんって感じです」「増税ばっかりしはったから、支持率ないと思うんで、めっちゃ真面目やったし」「(お金)ばらまくんやったらめっちゃばらまいてくれたらいいのに、何の足しにもならへんよみたいな感じやった」「何も庶民に届いてない。私らずっと地をはってるもん」
<次期首相・自民党総裁にふさわしい人は?>
「高市早苗さんくらいにやらしてみたら面白いかなと。岸田さんよりマシかな。信念がありそうなんであの人は」 「石破さんかな。はっきり言ってくれそうな気がする」 「小泉進次郎って聞いてますね」 「いい政治してくれたら誰でもいいです」
<次の総裁に期待することは?>
「不透明なところをクリアにしてほしい。それだけですね」 「将来不安なのが一番。子供たちの世代にとったら年金もないだろうし、その辺安心して生活できたらいいなと思います」
岸田総理の総裁選不出馬について、番組でLINEアンケートを実施しました。 その結果、86%の方が「妥当ではないか」という受け止めをしているということです。
【ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】「突然の不出馬で、永田町に対して違和感を持ちました。永田町の中では、『衝撃、衝撃』 っていう言葉が非常に使われました。 世間から見たら、今のインタビューを見てもわかるように当たり前じゃないのね。裏金問題だって何にもやれなかったじゃないですか。だから当たり前じゃないの、と。でも、永田町っていうところは、それは衝撃的だったという、この差です。それを感じました」
「あときょうの会見、ちょっと厳しい言い方かもしれませんが、『自画自賛』。 自分がやったことをずっと並べたんですね。それに対して記者から『反省するところはないか』と質問があったが、これには答えなかったんです。『やった』って言ったけども、やらなければいけないことをやらなかったんですよね」
「例えば、国民への負担の問題もそうだし、少子化対策だって具体的なものはどうなってるんですか? そういう意味では、僕はやらなければいけなかったことをやらなかった。 だからどうでもいいことやったとは言いませんが、やったことだけを並べたっていう、そういうが印象非常にありましたね。だから反省しなければ 説明責任にはならないでしょ。『そこを語って欲しかったのに』っていう思いがありますね」
関西テレビ・東京駐在の鈴木祐輔記者は、野党の間で「自民党が新たな顔の下で、解散総選挙に打って出るのでは、と警戒感が高まっている」と報告しました。
【鈴木記者】「立憲民主党の泉代表は、『生命維持のため自民党が繰り返してきた手法だ』と裏金問題を国民に忘れてもらうのが目的ではないかと牽制しています」
「また別の野党幹部は、新総裁で年内に 総選挙を打つ可能性があるので準備していくと警戒を強めています」 「野党第一党である立憲民主党では、次の衆議院選挙での顔を選ぶ代表選挙が来月23日に予定されているのですが、実は一度16日で固まりそうだったのに、土壇場で1週間先送りしているのです」
「立憲民主党の一部には、早期の解散総選挙の可能性は低いという見立てがあり、慌てて代表戦を行うより、自民党の総裁選の日程に近づけた方が報道で大きく取り上げられるとの計算があったようです。その思惑は、きょうの発表で外れる形となりました」
「立憲民主党は、衆院選の立候補予定者を、今月中に200人揃えたいとしていますが、自民党の新総裁が早期解散に踏み切る可能性もあるため、野党側は急ピッチで準備する必要に迫られています」
(関西テレビ「newsランナー」 2024年8月14日放送)