南海トラフ地震臨時情報が発表されて、15日で1週間です。
和歌山県白浜町では、町内すべてで閉鎖していた海水浴場を15日から再開。
どんな影響があるのでしょうか。
真っ白な砂浜が広がる和歌山県白浜町の白良浜海水浴場。
例年、この時期は観光客で賑わいますが、ことしはきれいな砂浜が広がっているだけです。
白浜町では今月8日に発表された南海トラフ地震臨時情報を受け、白良浜を含む町内4つの海水浴場を閉鎖しました。
白浜町は避難経路など安全確保の確認を進めた結果、15日午前9時から、すべての海水浴場で遊泳を再開すると発表しました。
■海水浴場の再開に観光客からは
15日からの再開に観光客は…
【大阪からの観光客】「初耳です。あしたから家族みんな予定あるのでむずかしい」「泳ぎたかったです」
【大阪からの観光客】「大人が夏休みとれないから今日帰るしかない」「すごい残念です」
残念な声があがる一方で、15日も滞在する家族からは…。
【神戸からの観光客】「再開ということで、明日、存分に楽しみたいと思います」
【神戸からの観光客】「何かあったら高台に避難と調べてたので、確認しながら楽しみたい」
お盆期間、真っ只中での海水浴場の閉鎖。 白良浜の売店では大きな影響が出ていました。
【洋望・谷口敬子さん】「夏物はお盆がよく売れるので仕入れてたのですが、厳しいです。(商品が)残りそうです」
バスタオルや水着などの商品が、仕入れた時のまま残ってしまっています。
【洋望・谷口敬子さん】「仕方ないと思いました。浜いっぱいなったら対応できない、なんか起こったら」 (Q明日から海水浴場再開だが)「うれしいです。地震はわからないので、何事もなく夏が終わってくれるように祈ります」
■臨時情報の発表をうけて自治体では新たな課題も
白良浜海水浴場では、ライフセーバーたちが再開に向けた準備を進めています。
【白良浜ライフガード富岡正登さん】「この赤と白の『津波フラッグ』を監視台の上から大きくかざす。視覚的に訴える」
準備していたのは、「津波フラッグ」。
白浜町は、南海トラフ地震で最大16メートルの津波が到達すると予想されています。 この旗を使って、海にいる人に大津波警報などが発表されたことを知らせるのです。
今回の臨時情報の発表を受け、改めて見直したことも…。
【白良浜ライフガード 富岡正登さん】「パトロール本部からをイメージしてたけど、黄色の監視台のタワーで振ったほうがより効果的かなと」
当初の想定から海により近い監視塔から旗を振ることでより強く避難を呼びかけられるよう改善を行いました。
一方で、白良浜海水浴場は、一時避難場所が白浜町役場になっているのですが、新たな課題も見つかったといいます。
【白良浜ライフガード富岡正登さん】「車道を横切って上っていく。普段から見にくい三差路なので、一番の不安。今後の課題にはなる」
また、午後からは白浜町役場の職員が砂浜に避難経路を示した案内板も設置しました。
【白浜町観光課・川脇研太さん】「近くの避難場所・避難経路を確認していただいたうえで遊泳してほしい」
気象庁は、15日の午後5時で、「南海トラフ地震臨時情報」の呼びかけを終了する予定で、JRは白浜などに向かう特急列車「くろしお」について、これまで和歌山駅より南の区間で運転を取りやめていましたが、午後5時以降、再開すると発表しました。
■海水浴場の閉鎖は自治体によって分かれた
自治体によって対応が分かれた海水浴場です。
まずは、和歌山県白浜町。
津波の到達は最短4分と予想される中、海水浴場4カ所を閉鎖したという形をとりました。白浜町観光課によると、臨時情報が初めて発表された重みを考えて一段高い警戒をしたということです。
一方で、徳島の海陽町。
こちらも津波の到達は最短4分と予想されていますが、海水浴場は閉鎖しませんでした。三浦町長によると、命を守る対策を普段からしている地域なので、閉鎖はしなかったとおっしゃっています。
津波の到達時間がほぼ同じでも、自治体によって対応が違いますね。
■ジャーナリストの鈴木哲夫さんは、気象庁の会見には岸田首相も同席すべきと提言
【ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】「今回はこういうことを考えるきっかけにしなきゃいけない。防災対策が地域によって違うんだけれども、もし起きたらどうするのかっていうのを再確認する。そのきっかけにしなきゃいけない」
「それと、政府のメッセージがこの防災に対して、あまりにも弱いっていうのが露呈したと思うんですね。気象庁の地震に関する専門家が検討会をやりました。それで 南海トラフに関係あるか科学的に分析して、会見しました。記者は科学者に何をしたらいいんですか?と質問したが、本当は横に岸田さんが並んで会見しなきゃいけない」
「科学と政治はセットじゃなきゃいけない。つまり、科学的にしっかり分析をして、科学的にはこうだから、政治的には、自治体に対してこうしましょうっていう方向をきちんと出す。科学に任せきりなんですよ」
「コロナの時は、尾身さんと菅さんが横に並んで会見をした。科学的に分析し、そして政治は何をしてもらうか。防災の政府の体制を作らなきゃいけない。政府は今回、これをいいきっかけにしてほしいと思いますね」
【関西テレビ・加藤さゆり報道デスク】「大事なのは、私たち自身の備えということになりますね。臨時情報の解除はされますけど、やはり備えは続けてほしいです。観測の中で異常が出なかったとしても、南海トラフは今後30年の中で、7~8割の確率で起きると言われています。つまり、いつ起きてもおかしくない状況ですから、備えは続けてほしい。例えば、家族とどうコンタクトを取るか、どういう備えがあるかチェックをすること。やっておいて越したことはないので、ぜひ備えは続けて欲しいと思います」
(関西テレビ「newsランナー」 2024年8月14日放送)