特集

西日本を代表する歓楽街・大阪ミナミ。

〈開店前のホストクラブ〉 「おはようございます！」 「下半期売り上げ、年間売り上げが関わってくる、一番初めの大事な月やから、しっかりいいスタート切れるように」 「今日も頑張っていきましょう！今日も一日お願いしゃす！」

毎晩、ホストクラブで、客とホストの駆け引きが繰り広げられています。

［久し振りのシャンパンありがとう］

－飛び交うコール－ 次々と開く、シャンパンのボトル…。

［今夜のお姫様、最高～！］

そんなミナミのホストクラブ業界に、最近、ある異変が起こっているといいます。

【ミナミのホストクラブ・オーナー】 「ここは東京から。ここ何か月かでオープンした」 「これも去年くらいから」

東京の歌舞伎町から、ミナミに進出した店が、目につくようになってきたのです。

〈ミナミのホストクラブ〉

（Q:大阪に歌舞伎のホストがきているとかは聞いたことあったりします？）

【ホスト】「あるある」

（Q：そういうお店にいったことはある？）

【客】「ある。あるなあ」

ミナミ進出の一因と考えられるのが… 歌舞伎町であるルールが変わったことです。

【ミナミのホストクラブ・オーナー】 「従業員だったりが、歌舞伎町がきびしくなってきているところがあるので、大阪に流れてくるっていうのは、ちらほらは聞いてますね」 「東京は売掛禁止になったんで」

売掛とは、客の飲食代をホストが立て替えて店に支払い、後日、客がホストに返す、いわば“ツケ払い“のこと。 その売掛を、ことし4月から、歌舞伎町では廃止することになったのです。 背景には、多くの客が、売掛金を支払うために、売春をしたり、風俗店で働いたりする現実があります。

【ミナミで働くホスト】 「（風俗店の）スカウトさんを紹介するくらいはあるんですけど。自分から言う事はないですね。でも、周りのヘルプにそういうことを、ふわっと匂わせてもらったりして。自然に本人が最終的には行くっていう形にするようには持っていきます。こっちも未収（未払い）とかされたらどうしようもないんで、頑張ってもらう」

ホストに恋愛感情をいだいた末、人生を狂わされてしまう人もいます。 大学を卒業したあと、医療関係の仕事に就いていたかすみさん（仮名）。 去年1月、はじめて行ったホストクラブで、指名したホストにのめりこんでいきました。

【かすみさん（仮名）】 「付き合ってくれということだったんです。そこからですね」 「結婚の約束だったり、指輪を見に行ったりもしていたので」 「ナンバーワンになってほしいっていう、あれだけでやっていました」

（Q:そのホストに使われた金額は） 「2500万円以上です」

30枚のクレジットカードカードを作らされ、返済を続けましたが、売掛金は1000万円以上に膨れ上がりました。 そして、ホストから勧められたのは“海外での売春”でした。

【かすみさん（仮名）】 「最初は海外でした。マカオ。私は怖いから嫌だと断ってたんですけど、勝手に繋げられました。海外ブローカーに」

【かすみさん（仮名）】 「アジアの方が70人くらいいて、2列にならんで、お客さんの前歩いていくんですよ。そこでお辞儀して選ばれたら別室にいく」

（Q:1日何人くらい相手にするんですか？） 「5.6人。夕方6.7時からの朝6時。怖いですよね、言葉が通じなくて」

3週間ほど滞在する予定でしたが、恐怖から10日間で帰国。報酬は1円も支払われず、借金だけがそのまま残り、今は返済のために国内の風俗店で働いています。

【かすみさん（仮名）】 「働いてお金稼いでやめてっていうことは考えてるんですけど、なかなか難しい。本業に戻りたいです」

こうした高額な売掛金を巡る問題は、国会でも議論されていました。

【岸田首相】「ホストクラブの利用客が、高額な利用料金の売掛による借金を背負い、その返済のために売春するなどの事例があることを、承知をしております」

歌舞伎町では廃止された売掛ですが、大阪・ミナミでは今も続いています。 この店では、支払いのおよそ4割が売掛です。

〈ミナミのホストクラブ〉

【ホスト】「先月は三桁超えてるから」「ありがとうございます」

【客】「気づいたら会計がそんくらいやったみたいな。やばい！お金返さないとみたいな」

【客】「ちなみに（支払いを）とびます！」

【ホスト】「絶対あかん！」

ホストクラブでトラブルに遭った女性を支援する団体は、歌舞伎町で売掛が廃止されて以降、ミナミでの被害相談が増えていると話します。

【一般社団法人青母連・玄秀盛代表】 「歌舞伎町以外はひどくなっていると思います。（相談件数は）1.5倍は優に増えている」 「東京じゃ（売掛）できへんから」 「東京から大阪にきて、ましてナンバー1ホスト来ているってだけで、一度は行ってみたい、見てみたい、話してみたい。おなじようなメンツの人間がいたら一気にひっかかる」

これまで通り、売掛が残るミナミ。 宴のあとに、残るものとは…

（関西テレビ「newsランナー」 2024年7月24日放送）