放課後等デイサービス施設で、送迎中に男子中学生が死亡した事故。
4日、その裁判が始まり、これまで施設側が両親にうその説明を繰り返していたことが明らかになりました。
■わずか3メートルの間で起きた死亡事故
【亡くなった悠生さんの母】「どうして子供が死んでしまったのか真実を明かしてほしい」
【亡くなった悠生さんの父】「『パパたちはしっかり戦っていきたいと思ってるよ』と(息子に)伝えてきました」
なぜ息子が亡くなったのか。その答えを知りたいと、両親は4日に行われた裁判に参加しました。
当時、中学1年生だった清水悠生(はるき)さん(当時13歳)。
障害のある子どもが利用する吹田市の放課後等デイサービス施設「アルプスの森」に通っていましたが、2022年12月、送迎の際に施設に停めてあった車から飛び出して行方不明になり、その後、川で死亡しました。
衝動的に動くこともあった悠生さん。送迎は職員2人で対応することになっていましたが、事故当日は職員が一人で対応していました。 「1人で出来ると思った」と話していた職員。車を降りてから入り口までは、わずか3メートルでした。
【悠生さんの母・亜佳里さん】「(通っていた)6年間ずっと予測してきたことで、そのための対策が2人(での対応)だったのに、結局それがずさんに何回も一人でされて、たったあの短い距離で、子どもが命を失ってしまった」
■両親にうその説明をしていたことも明らかに
事故から1年以上が経った今年3月、運営会社の職員で支援の管理責任者だった宇津雅美被告(66歳)が、安全管理を怠り、悠生さんを死亡させた罪で起訴されました。
その審理が4日に始まり、宇津被告は「間違いありません」と起訴内容を認めました。
検察側は冒頭陳述で「事故の4年前にも被害者が車から飛び出し、川に飛び込む事案があり、被告は報告を受けていた。過去の事案や被害者の特性から川に飛び込むことを予見できた」と指摘。
さらに、その過去の事案は送迎中に起きたにもかかわらず、両親には「散歩中に起きた」とうその説明をしていたことも明らかになりました。
【悠生さんの父・清水悠路さん】「新たなうそが出てくるのかっていう、あきれかえる状態。本当に命を何だと思ってるんだという気持ちが強い」
悠生さんの母・亜佳里さんは、涙をぬぐいながら裁判を傍聴していました。
【悠生さんの母・清水亜佳里さん】「私たちは全くその(施設の)ずさんさに気付くことができなかった。何かしらちょっと早くに気づけたら、この施設は絶対やめていました。子どもは今でもちゃんと元気に生きて、私たちの前にいたのになと思うと、本当に悔しくてたまらないです」
二度と同じような事故が起きないでほしい。両親はそんな思いで、被告と向き合うと決めています。