大阪市中央区にあるホームセンターで、いま売れているのが…
【ロイヤルホームセンター森ノ宮店 永田晃樹さん】「ここがハトも含めた鳥の対策商品です。ハトがいないときに、来てほしくない場所にスプレーして、ハトを忌避するものです」
ハトが嫌いな匂いを発するスプレーや防鳥ネットなどを取り扱っていて、これらの鳥対策のグッズも需要が高まっています。
【ロイヤルホームセンター森ノ宮店 永田晃樹さん】「(売り上げは)前年と比較すると5月の実績で約20パーセント増加している。4月ぐらいから売れ始めて、5~6月がピークになって、増えてますね」
■SNSにはベランダの「ハト」目撃情報がいっぱい
外で見かけることが多いハト。しかし、私たちの家のベランダにも現れると言います。 Xで検索すると、ベランダでの目撃情報が次々と出てきます。
「ベランダにハトが卵を産んでた。どうしたらいいの??」
「ハトの巣。どれくらいでうまれるんやろう」
自宅のベランダでハトが卵を産んだという人は…
【ハトの被害に遭った人】「室外機の横でガサガサ音がして、何かなと思ってのぞいたらハトが出てきた。最初追い払っていたんですよ。でも何度追い払ってもやってくるので、親がいないときにみたら卵が1個あった。びっくりしましたね。『あ!産んでる』みたいな」
無事にひなが巣立ちひと安心と思いきやそうではないようです。
【ハトの被害に遭った人】「のぞいてみる限り、かなり結構フンがやばい状態ですね。多分片付けがすごい大変だと思います」
一度、住みつくと対処が難しいハト。というのもハトの卵やひなは見つけたとしても鳥獣保護法により行政の許可なく撤去することができないのです。 ハトの繁殖期は4月から10月で、鳥害対策を行う「日本鳩対策センター」への相談件数は5月から増えていると言います。
■5羽のハトが住みついたベランダ プロが5時間かけて追い出す
実際にハト対策の依頼があったマンションを取材すると、ベランダの扉を開けたら目の前にハト。下を見ると2羽。さらに給湯器の上にも2羽。合わせて5羽が住みついていました。室外機の上や床はフンでびっしりになっています。 この日、作業するのはハト対策のプロ、日本鳩対策センターの奥竜一さん。
【日本鳩対策センター 奥竜一さん】「まずハトを外に出してから、ネット張って、清掃してという流れですね」
(Qあのハトはネットに絡まっている?)
【日本鳩対策センター 奥竜一さん】「もしかしたらひなの可能性もある」
このベランダにハトが住みついたのは約1年前。管理会社はネットを張り対策していたと言いますが、簡単に網をくぐって出入りしていました。
【日本鳩対策センター 奥竜一さん】「5センチ以上の隙間があると平気で入って来る。巣を作ってしまうと、このベランダが『自分の家』という状態になって帰巣本能が働くので、ちょっとでも隙間があるとどうにかして入ろうとする」
もともと張ってあったネットを取り外し、隙間ができないよう新しいネットに張り替える作業を行います。ハトの侵入を防ぐのに一番効果的な方法だといいます。 フンの掃除なども行い、作業は約5時間で終了。まだ近くにハトはいますが、ネットにより中には入ってこれなくなりました。
■ハトがやってくる原因のひとつが「エサやり」
なぜベランダにハトがやってくるのか。その原因のひとつが「エサやり」だといいます。 ハトはエサをもらえる場所があれば、近くの高い建物をすみかにし、そこからエサ場所が安全かどうか確かめるといいます。 そんなエサやりが問題となっていたのが、大阪市住吉区のJR我孫子町駅周辺。2019年には、ハトが一列に並んでいましたが、その数は数えきれないほど。エサやりをする人がいたことから集まってきたとみられます。
大阪市はこうした状況からことし4月、全国で初めてエサやりの中止を命令する行政処分を出し、従わなければ動物愛護法違反の疑いで刑事告発することに。 行政処分で街は変わったのか。区によるとハトの苦情件数は年々減少していると言い、確かに駅前ではハトの姿は減ったように見えます。
【近隣住民】「僕の家の前に門があって、へりにフンが落ちていて、この前も掃除したんです。ここ(駅前)にハトが減った分、あちこち分散してきているのかな」
さらに、駅近くの住宅街ではエサやりが続いているそうです。
【近隣住民】「(エサを)人が隠している。これ(エサ)があるから、ハトやカラスがついてまわる。(Qハトが完全にいなくなったわけではない?)それはない。大変やねん」
■ハト被害が出ていないうちにベランダをきれいにするなどの対策を
なかなか減らないハトの被害。未然に防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。
【日本鳩対策センター 奥竜一さん】「人が通らないと、ハトからしたら安全な空間だと認識してしまうので。ベランダで普段洗濯物を干さないところとかは、いつの間にかハトが住みついていましたという話はしょっちゅうある」
天敵のカラスから身を守るため、ハトの巣は室外機の裏など死角に作られたり、2~3本の細い枝でも巣となったりするため、卵が産まれてからようやく被害に気付く人も多いと言います。
【日本鳩対策センター 奥竜一さん】「皆さんにお願いしたいのは、被害が出ていないときに定期的にベランダをきれいにするなどの方法をとっていただいたほうがいいと思います」
これからの時期に増えるハト被害。早め早めの対策が必要です。
■ハト被害の4段階 休憩→待機→ねぐら→巣作り
ベランダに住みついてしまうと大変です。そうならないように対策が必要です。
「日本鳩対策センター」によると鳩の被害レベルは4段階に分けられるそうです。
第1段階「休憩」
ベランダに物がなかったり、人があまり来ない、対策がなされていないとハトが寄っていけると思って、安全を確認して寄って来るそうです。
第2段階「待機」
休憩よりも長い時間居座り始める。するとフンの被害が出始めます。
ただ第1、2段階までは、忌避スプレーなどで自力で対策をすることができます。このあとからレベルが違ってきます。
第3段階「ねぐら」
ハトが寝たり起きたりをする時間をここで過ごしてしまう。夜・朝に鳴き声などの騒音が発生し、大量のフン被害に悩まされることになります。
最終第4段階「巣作り」
ハトが家族で住みつき、繁殖を繰り返します。
第3、4段階になるとプロによる対策が必要だそうです。
■法律で個人が勝手にハトを捕まえることはできない
【関西テレビ 神崎報道デスク】「個人で勝手にハトを捕まえたり、傷つけたり、卵をとったり、卵を捨てたりするのは、鳥獣保護法違反になり、1年以下の懲役か100万円以下の罰金ということがあります。個人が勝手に手を出してはいけません。ちゃんと行政に許可を取る方法はありますが、なかなか難しいので、被害が出てしまうとプロに対策をお願いすることがベストなのかと思います」
【大阪大学大学院 安田洋祐教授】「第1~4段階まで対策がありますが、これは結局自分のところから一時的にハトを追い出す意味では有効かもしれませんが、どこかに行くわけで、駆除するわけじゃないから数は減らない。増やさないために、エサやりが問題になっていましたね。いかにして増やさないか。増えすぎたものを場合によっては行政側が駆除するとか、カラスが天敵とありましたのでカラスに活躍してもらうとか、そういうことを考えないと全体として減らすのは難しいかもしれないです」
これからハトが活発になる季節になりますので、早め早めの対策が必要です。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年5月28日放送)