大阪で一番行列ができると言われるラーメン店が、福岡発祥の「一風堂」とタッグを組みました。そのウラには、競争が激しいラーメン業界の中で、生き残りをかけた戦略がありました。
関西テレビの竹上萌奈キャスターが取材しました。
【竹上萌奈キャスター】「オープン5分前。すでに列がずら~っとできています」
大阪・道頓堀にある「人類みな麺類ファクトリー」。
「人類みな麺類」は2012年、大阪で誕生したラーメン店で、しょうゆベースのスープと分厚いチャーシューが特徴。西中島の本店は、週末になると大行列となる人気店です。
(Q.今日は何を楽しみに来られた?)
【並んでいる人】「一風堂コラボ」
「一風堂」は日本で133店舗展開する、福岡発祥のとんこつラーメンで、歯切れのよい細麺で人気を博しています。
「人類みな麺類」と「一風堂」のコラボは一体どんなラーメンに?
【竹上萌奈キャスター】「きれいなピンク色のチャーシューがまるでお花のように咲いています。美しい」
その名も「人類みな一風堂」。
【竹上萌奈キャスター】「けっこう色濃いですけど。一風堂のなめらかなとんこつスープと、醤油のきゅっとしたかえしが味をひきしめていておいしい。最高!」
このコラボは、去年、1週間限定で行ったところ、最大5時間待ちの大行列となりました。
評判のよさから、道頓堀の店舗のレギュラーメニューとして販売することにしました。
このコラボは一風堂の創業者が「大阪に話題のラーメン店がある」と聞きつけて、声をかけたことで始まりました。
全国的に知名度のある一風堂がなぜ?
【一風堂広報 桑野洋部長】「新しいことをどんどん出していかないと、一風堂だけではブランドも劣化する可能性がある。厳しいラーメン業界ですが、切磋琢磨しながら業界全体が盛り上がっていけたら」
物価高のあおりをうけ「厳しい」ラーメン業界。
東京商工リサーチによると2023年、ラーメン店の倒産は過去最多の63件で、前年度の2.7倍でした。
原材料費や光熱費の高騰もありますが、「ラーメン店ならでは」の理由も。
ラーメン店は、小規模ではじめられるなど、他の専門料理店に比べて初期費用が抑えられるため、新規参入のハードルが低くライバル店が多いのです。
そのため約半分が、出店から1年以内に閉店するとも言われています。
「人類みな麺類」や「ラーメン大戦争」など人気店を展開する松村社長も、開業当時は苦しい状況だったと話します。
【人類みな麺類創業者 松村貴大さん】「オープンして2、3日は大行列だったが、ラーメン1種類しかなかったので、またすぐ来る人って近所の人しかいないので伸びなかった。1日20人とか。普通の飲食店だと2~3カ月でつぶれるような状態からスタートしているんです」
「味」だけでは生き残れない時代に松村社長は、目を引くようなネーミングにこだわり、若者をターゲットにしたSNS戦略も。
さらにラーメンファンをとりこにする人気店同士でのコラボなど、付加価値をつけることで人気店の地位を築きました。
【人類みな麺類創業者 松村貴大さん】「たくさんラーメン屋があるので味も似てきていて。僕たちが差別化として、どういう表現をしたらもっとよろこんでもらえるかなと」
全国的な知名度と若者への訴求力。互いの強みを生かした戦略で「ラーメン業界」を盛り上げていきます。
自ら取材に名乗り出た竹上キャスターはこのように話します。
【竹上萌奈キャスター】「取材を通して印象的だったのは、やはり客層の若さで、ほとんどが10代、20代の若者でした。人類みな麺類と言うのはSNS発信が上手くて、次々と魅力的な情報を出すことで、まずは店に足を運びたくなって、そこから味のファン、店のファンにつながっているようです」
激戦のラーメン業界で生き残る策を垣間見ました。このような切磋琢磨で消費者のニーズを満たしてくれるとうれしいですよね。
(関西テレビ「newsランナー」2024年5月1日放送)