2023年、還付金詐欺の被害が全国最多だった大阪府。その中でも特に被害の多い交野警察署は“ホンモノの詐欺電話”を片手に新たな取り組みを始めました。
【電話の録音】「このたびはですね、市役所さまからのご依頼がありまして、累積医療費をお預かりしています」 「金額が2万3368円、お預かりしていますが、お手続きのやり方などは大半の方が初めてになりますので、こちらでサポートしますのでご安心ください」
3月に大阪府交野市に住む女性のもとにかかってきた電話の音声。実際の「還付金詐欺」の電話です。
優しそうな声にだまされないでほしい、という思いで、警察官が音声を片手に住宅街を回っていました。
【警察官】「聞いてもらおうかなと思います」
一人一人に犯人の声を聞かせるという新たな取り組みを始めた理由は、交野警察署管内で、2024年だけですでに16件も還付金詐欺の被害が出ているからなんです。
【警察官】「オペレーターみたいな」
【地域の人】「引っかかりそう。『大丈夫!』って友達同士で言うんやけど、『あの人が引っかかったら私も絶対…』と」
【地域の人】「ものすごくしっかりしているおばさんやけどね、何百万円ぐらい振り込んだ」
■「年金が受け取れなくなる」巧みな話術にだまされてしまった人も
忍び寄る犯人にすっかりだまされてしまった人もいます。こちらの女性は4カ月前、「このままだと年金が受け取れなくなる」という電話を受けました。
【詐欺電話を受けた女性(61)】「頭がパニックになってしまって、もう動揺して。『赤い封筒が来たでしょうか?』言うて」
実は詐欺の電話を受けたのは今回が2回目でした。
【詐欺電話を受けた女性】「1回目は取られたんです。数十万円やったかな。(同居の)弟にバレたんです。通帳見て『これ詐欺やな』って」
そんな苦い経験をしたにも関わらず、巧みな話術にだまされATMに駆け込んでしまいました。
しかし…
【詐欺電話を受けた女性】「ATMで大きい声で言ってたから、止めてくれはったんです。『これ詐欺ですよ』って」
間一髪で金融機関の職員が気付いてくれました。
【JA北河内交野中央支店 畑中隆宏支店長】「(壁越しに)話し声が聞こえてきたので『あれ?』と思いまして」
防犯カメラに電話で話しながらATMを操作する女性の姿を見つけ、制止することができました。
【JA北河内交野中央支店 畑中隆宏支店長】「大事な財産をお守りできたところはうれしく思いますが、チラシ等も置いていますが、それだけではなかなか防ぐことにはつながらないのかなという難しさも思いました」
■ポイントは『一呼吸置く』 「ATM・還付金」と出たらまずは電話を切って
警察が勧めるポイントは、『一呼吸置く』ことです。
【交野警察署 財田佳和生活安全課長】「『ATM』『還付金』というキーワードが出たら、まずは電話を切っていただきたい。身近な方に相談するなり、近くのコミュニティを有効活用して、被害に遭わないようにしていただければと思います」
(関西テレビ「newsランナー」 2024年4月30日放送)