衆議院東京15区・島根1区・長崎3区の補欠選挙、自民党だけでなく日本維新の会も候補者を立てた東京・長崎、いずれの選挙区でも勝てず厳しい結果となりました。「野党第一党」という目標は達成できるのでしょうか。
21日、長崎に入った日本維新の会の吉村共同代表。 立憲民主党の候補者との一騎打ちとなった選挙戦で、自民党に加えて立憲への批判も繰り広げました。
【日本維新の会 吉村共同代表】「自分たちの身分に関することは一生懸命守り続けているのが、今の永田町の政治家、自民党・民主党の政治家のやり方です。僕たちはこれを実際に現に変えてきました。これを国でもやらさせてもらいたいんです」
28日に3つの選挙区で行われた補欠選挙。自民党が裏金問題への「逆風」を受ける中、島根以外の選挙区には候補者を擁立しないという異例の選挙戦となりました。
維新は東京と長崎での議席獲得を狙い吉村共同代表も東京に、街では人気でしたが…
【東京15区・金沢結衣氏】「悔しい思いでいっぱいです」
【長崎3区・井上翔一朗氏】「支援者の皆さんありがとうございました…」
いずれの選挙区とも立憲民主党の候補者が圧勝しました。次期・総選挙で「野党第一党の獲得」を目標に掲げる維新にとって厳しい結果です。
【日本維新の会 馬場信幸代表】「やはりわが党の実力のままの結果だと思います。まだまだ関西以外で、小選挙区で勝つのは非常に厳しい」
これまで自民党や立憲民主党などに不満を持つ層の「受け皿」となってきた維新でしたが、藤田幹事長は…
【日本維新の会 藤田文武幹事長】「全国的に立憲民主党さんと私たち維新の会には、今日示されたように実力差があるということを認識しましたし、これからこれを糧にどれだけ差を縮められるかという戦いになるかと思います」
維新の勢いは今後どうなるのでしょうか。
■「維新」苦戦の背景
維新の苦戦の背景には何があったのでしょうか。今回の衆院補選では、自民だけでなく維新も全敗という結果になり、いずれも立憲民主党の候補が当選するという形になりました。 東京15区では 9人中3位の得票数。長崎3区は一騎打ちとなりましたが維新は敗戦。 島根1区では候補者を擁立していませんでした。
今回の結果を受けまして、馬場代表は「実力のままの結果だ。関西以外で勝つことは厳しい」とコメントをしています。
ただ同じ負けでも敗因が大きく違うということです。 東京15区は「自民票の受け皿が多すぎた」。そして長崎3区は「地方議員がいない・実動部隊ナシ」ということです。
【関西テレビ 神崎博解説デスク】「維新というのは、保守票の取り込みがカギです。特に自民党を支えてきた保守の人たちですね、『ちょっと自民党はどうなんだろう…』と思った人たちのある種受け皿になっていました。 今回の東京15区は、自民党議員の逮捕を受けて選挙が行われ、どの党が自民党の受け皿になるのか…という中で維新に有利かなとも思っていました。
ところが実際は9人の候補者が出て、その中で自民党よりもさらに保守よりな日本保守党の候補者が出たり、あとは小池都知事が押してる都民ファースト、こちらも保守が強い部分もあります。さらに自民党の元職も出て、受け皿がいっぱいありすぎて票が分かれてしまって、維新が勝ち切れなかったということですね」
では長崎3区はどうでしょうか?
【関西テレビ 神崎博解説デスク】「維新の選挙の戦い方の特徴としては、やっぱり地方議員の存在です。市町村議会の議員が多くいて、その人たちが実動部隊となって保守法を取り込み票を伸ばす。地方議員が1つの活動の源泉ですが、今回の長崎では地方議員・国会議員もいないので、そもそも動いてくれる人がいなかった。そういう中で戦況に勝つのはかなり難しいということですね」
維新としては次の衆院選で「野党第1党」を掲げていますが見通しはどうでしょうか。
【関西テレビ 神崎博解説デスク】「全国展開に黄信号ですね。関西以外でも東京であれば インターネット戦略などが通用しますが、地方に行けば行くほど維新の議員がいないので、実動部隊が少ない。次の解散総選挙の時には立憲民主党を抜いて野党第1党になりたいと思っていますが、やっぱり今回の補選の戦い方を見て、地方組織がない・地方議員がいないという維新が立憲を上回るのは厳しいのではないかなと思いますね」
日本維新の会は、選挙戦略の立て直しを迫られることになりそうです。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年4月29日放送)