自民党の裏金問題が山場を迎えています。 議員の処分を決める党紀委員会がさきほど始まりました。
関西出身の議員も重い処分が予想されますが、自民党の看板を失うとどうなるのか、地元の支援者の反応を取材しました。
■自民党の党紀委員会が行われている
多くのメディアが待つ中、午後4時すぎに始まった自民党の党紀委員会。
派閥の政治資金問題で、収支報告書への不記載が明らかになった議員など85人のうち、派閥の幹部や過去5年間で500万円以上の不記載があった39人に、どんな処分が下されるかが決まります。
党紀委員会は現在も非公開で続いています。
■和歌山選出の世耕議員は最も重い「離党勧告」か
処分の対象の中には関西の重鎮も…安倍派の幹部だった和歌山県選出の世耕弘成前参院幹事長は、今回の処分の中で最も重い「離党勧告」が出されると見られています。
【世耕弘成前参院幹事長】「誰がこんなことを決めたのかというのは、私自身、はっきり言って知りたいという思いであります。私は何の相談も受けておりません」
これまで裏金への関与や、違法性の認識などを否定している世耕議員。
1998年、和歌山県の参議院補欠選挙で立候補し初当選。そこから連続5回の当選をはたし、第2次安倍政権の発足した後、経済産業大臣や官房副長官などを歴任しました。
多忙を極める世耕議員は選挙戦にはヘリコプターで地元に入ったことも…
【自民党・世耕弘成氏】「ヘリコプターなんて、ぜいたくじゃないかと思われるかもしれないけれど、私はたった1日しかないんです」
祖父は和歌山県出身で近畿大学の創始者・世耕弘一氏。
地元で圧倒的な知名度と強さを誇る世耕議員について市民は…
【新宮市民】「頑張ってきてくれてると思うので、ちょっとさびしい気持ちにはなります」
【新宮市民】「まあ、ここはひとつ反省してもらって、また新たに出発していただければと思います」
世耕議員の後援会の関係者は…
【後援会の関係者】「後援会としては、自民党の看板は外れますが、支援はしていきたいと思っています」
■兵庫9区選出の西村議員は「1年間の党員資格停止」の処分か
一方、兵庫9区選出の西村康稔前経済産業大臣は、1年間の党員資格停止の処分が下されるとみられ、選挙があった場合は党の公認は得られません。
西村前経産大臣は今から15年前、当選わずか3回の若手の時代に…
【西村康稔候補(当時)】「全く知名度のない、この私が自民党総裁に立候補したことが、自民党が変わる第一歩」
自民党総裁選挙への出馬という、大胆な行動に出たことも。
その後、安倍派では5人衆と呼ばれる幹部に抜擢され、選挙でも7回連続当選と、強さを誇る西村前大臣。
■兵庫9区を狙う立憲民主党「非常にチャンス」 明石市の前市長の泉房穂氏を待望
選挙でも7回連続当選と、強さを誇る西村前大臣が、自民党の処分を受ける見通しとなったことで、選挙区にある動きが出ていました。
【立憲民主党兵庫県連 横畑和幸幹事長】「勝てる状況にもなく、手も足も出なかったのが兵庫9区だった。1年以内に選挙があると仮定をするならば、(西村氏は)党公認で出れないわけですから、我が方としては非常にチャンスであると感じています」
こう語るのは立憲民主党・兵庫県連の横畑幹事長です。
【立憲民主党兵庫県連 横畑和幸幹事長】「党本部が、例えば泉さんと決めたならば、地元の調整に入りたいという、一部待望論もあります」
党内に期待の声があるというのは、明石市の泉房穂前市長。
この待望論について、泉前市長は関西テレビの取材に対し、「衆院選への出馬に関して全く考えていない。今後についても政党に所属することはないと思う」とコメントしています。
西村前経済産業大臣は、今回の問題が発覚した後、地元の後援会に対し、「今後はゼロから頑張るから応援してほしい」と、次期衆院選への出馬の意向を示し、協力を求めているということです。
その後援会の幹部のひとりは「処分されようが、たとえ非公認や無所属になろうが、応援することに変わりない。昔からの関係性もあるし、議員としての活動に対する尊敬もある」と、引き続き応援する考えを示す一方で、別の幹部は…。
【後援会の幹部】「西村さんをそのまま応援するという方もいらっしゃるでしょうけれども、一般の世間の方々からすると冷たい目もあり、無条件で(応援する)というよりかは、これからの出方や、これからどういうことを西村さんが考えてされるのかを、見ているところ」
■39人中31人…処分の線引きに不服の議員は弁明書を提出
「不記載が500万円以上」という線引きで、明暗を分けた処分の重さ。
関西テレビは4日、188万円の不記載があった大阪選出の国会議員に直接話を聞こうとしましたが…。
(Q.処分に関して)
【処分なし(不記載188万) 谷川とむ衆院議員】「(回答)できない」
(Q.処分が出るまで答えない?)
【処分なし(不記載188万) 谷川とむ衆院議員】「うん」
取材に応じることはありませんでした。
党によると39人のうち31人が、処分を受けることを不服として、弁明書を党紀委員会に提出したということで、波乱の処分となりそうです。
■党紀委員会が続く中、処分に不満の議員から弁明書が出された
自民党本部には、取材を続けている東京駐在の鈴木記者がいます。
党紀委員会はまだ終わりそうにないですか?
【鈴木祐輔記者】「はい。まだ続いています。党紀委員会は党本部の6階で午後4時すぎに始まりました。当初は、だいたい1時間程度とみられていましたが、党職員によると2時間かかるのではないかということでした。これは党紀委員メンバーからもかなり反発の声が出ていて、それで長引きそうだということです。ある委員は取材に、『安倍派は組織ぐるみでやっていたが二階派は違う。それを一緒にしていたら岸田派はどうなる』こんな声が挙がっています」
安倍派の議員からはどのような声が挙がっていますか?
【鈴木祐輔記者】「関西選出の議員に何人も取材してみましたが、みな一様にカメラで撮るインタビューは断ってきました。処分が見込まれる議員は、『処分を受けるのは、政治家の結果責任だから仕方がない』と話す一方、『巻き込まれた人も、主導した人も一緒にされて、『共謀した』と言われることに怒っている』と話していました。また森元首相の名前を出して、『なんであなた(森元首相)だけでなく、大勢巻き込んだのかと、森さんに聞きに行ったらいい』という声もありました」
処分が出ることで自民党は今後、どうなるのでしょうか?
【鈴木祐輔記者】「所属していた派閥を問わず、金額で処分あり・なしのラインを分けることに疑問をていする意見が多く、処分に不満のある議員も多く、昼時点で31人が弁明書を提出しました。今月28日の補欠選挙のために執行部は、早くこの件を片づけたいのでしょうが、党内の不満を収めるような人は誰もおらず、混乱はそう簡単には収まりそうもありません」
(関西テレビ「newsランナー」 2024年4月4日放送)