■「一日も早く審議。立法機関の意地と矜持を見せるとき」と表明する政党も
同性婚を求める当事者と、法律を作る立場の国会議員が、直接対話する集会が開かれました。「具体的な検討を行っていない」という立場をとる与党・自民党は、当事者を前に何を語ったのでしょうか。
3月22日に開かれた集会では、
「Q.あなたの党は、法律上同性となるカップルも結婚できるよう法整備をしますか?」
「結婚の自由をすべての人に」国を訴えた裁判の原告たちと、国会議員が、直接対話する集会が開かれました。
5年前から定期的に行われているこの集会は、これまでは「議員個人の意見」を述べる場となっていましたが、社会的な機運の高まりなどから、6回目の今回は、初めて、各政党の代表者が同性婚への方針やスタンスを表明する形で開催されました。
【立憲民主党 西村智奈美代表代行】「一日も早く審議をしてもらって、成立をさせるというのが、唯一の立法機関としての意地と矜持を見せるときだと」
■札幌高裁は同性どうしが結婚できないのは「違憲」と判断
「法律上の同性どうし」が結婚できないのは、憲法違反だと国を訴えた裁判は、現在全国5カ所の裁判所で行われています。
3月14日、初めての高裁判決となる札幌高裁が下した判断は「違憲」。裁判長は判決の最後に次のように付け加えました。
【札幌高裁 斎藤清文裁判長】「同性間の婚姻を定めることは、国民に意見や評価の統一を求めることを意味しない」「対策を急いで講じる必要がある」
しかし、政府の腰は重いままです。
【岸田首相 3月15日】「当事者双方の性別が同一である婚姻の成立を認めることは、憲法上想定されていないということが従来からの政府見解であり」
■当事者を前に各党「法整備」表明するなか、自民は…
政府が動かない間にも、家族として暮らす原告たちは様々な困難に直面しています。
【東京訴訟原告】「(5年前に)このマリフォー国会の第1回で『命の問題。急いで決めてください』と、病をおして訴えていた宇佐美さんはもうこの世にいません。もうこの世にはいないんです。法律は今を生きる人のためにあるべきなのに、いつまで私たちは差別と偏見の中の不利益を受けながら置き去りにされるのでしょうか。議員の皆さま、どうか危機感を持って議論を始めてください。お願いいたします」
関西訴訟原告の坂田麻智さんとテレサさん。精子提供を受け、テレサさんが2022年に出産した娘を育てています。しかし麻智さんに親権はなく、娘のことを思うと心配事が尽きません。
【関西訴訟原告 坂田麻智さん・テレサさん】「娘はおそらく私たちが親であると疑いもなく育っていくと思います。それなのに、今の現状だと、国が『あなたたちは家族ではないよ』と言ってくるんです。より多くの人が希望を持って安心して暮らせる社会にするために、一刻も早く法制度のアップデートをお願いしたいと思います。どうかお力を貸してください」
当事者たちを前に、各政党が「すぐにでも法整備をするべきだ」と表明するなか、政権与党の公明党も…
【公明党 谷合正明参議院議員】「立法府としての法整備に向けた議論のステージに来ていると思っています。国会議員だけじゃなくて、立法府だけじゃなくて、政府も議論すべきだと私は思います。どうしても答弁が『慎重な検討を要する』と、ずっと同じような答弁を繰り返しておりますが、私はそれがちょっと不誠実だと思っています」
そして、自民党からは…
【自民党 牧島かれん衆院議員】「党として皆さまのご要請をいただいている同性婚の議論をする場というものは現時点では設定できておりません。それは正直にお伝えしないといけないことだと思っています。裁判の結果を重く受け止めて、議論をする場を作っていきたい、その私の決意を表明するために今ここに立っている気持ちです。頑張ります」
自民党だけは党のスタンスではなく、あくまでも牧島議員個人の決意表明として、「議論する場を設けたい」と述べるにとどまりました。立法府である国会がどのように動くのか注目されます。
■自民党の支持層の中には同性婚を認めない層も一定数いる
札幌高裁の判決を受けて、立法府での議論の活性化が一段と求められている中、各党のスタンスが示されましたが、自民党はスタンスを示しませんでした。
【関西テレビ 神崎報道デスク】「自民党の支持層の中には、かなり強い保守系の支持層があります。なかなか同性婚を認めない、認めたがらない層が一定数います。ですので、自民党としては思い切って前に踏み出すと、自分たちのコアな保守の支持層が離れてしまうんじゃないかという危惧があり、踏み込めない状況がずっと続いています」
それでも自民党には政権与党として責任ある議論が求められているのではないでしょうか。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年3月22日放送)