猛烈なかゆみをもたらす虫「トコジラミ」が、現在、殺虫剤もきかない「スーパートコジラミ」となって国内で急増しています。
繁殖力が高く、これから暖かくなるとさらに増えるとも言われる「トコジラミ」。手遅れになる前に、見つけるためのポイントとは?取材しました。
■トコジラミの相談件数が前年比1217%増
あなたのお家に忍び寄る、トコジラミの脅威。害虫駆除業者らの団体によると、「トコジラミ」についての相談件数はここ10年ほどで急上昇。
殺虫剤を販売するアース製薬でも相談が急増していて、3月は前年の同じ月に比べると、10倍以上、なんと1217%となっています。
トコジラミに詳しい皮膚科医兵庫医科大学 夏秋優教授は「去年の5月から、おおむねコロナ禍が明けただろうと旅行する方も増えて、インバウンドの方も増えました。これとともに一気にトコジラミが増えた。4月・5月ぐらいの気温が上がるころから、去年、室内に入り込んだ(休眠状態の)トコジラミが再び増殖を始めるので、ことしの夏には、かなりの被害が出るんじゃないかと危惧している」と言います。
■トコジラミの成虫は5ミリ程度 メスは「1日2~5個ぐらい卵を産む」
ところで、そもそも「トコジラミ」ってどんな虫なのか、知っていますか?
【50代女性】「いま考えたら、ダニじゃないねんね?」
【30代女性】「怖いですね。見えないので」
トコジラミ、別名は「南京虫」といい、「カメムシ」の仲間で、成虫は5ミリほどあります。ちゃんと目で見えるのです。
その大きな特徴は、血を吸われた後の“赤いブツブツ”と激しいかゆみ。感染症を起こすことはありませんが、駆除しない限り常に痒みが続きます。
さらに厄介なことに「トコジラミ」は現在、ダニなどの駆除に使われる、ピレスロイド系の殺虫剤が効かない「スーパートコジラミ」へと進化しています。
【トコジラミに詳しい皮膚科医 兵庫医科大学 夏秋優教授】「1匹のメスがだいたい1日2~5個ぐらい卵を産むといわれている。一生の間に300個以上は産むだろうといわれている」
■トコジラミの駆除現場「『そこは想定外でした』は通じない」」
「newsランナー」の加藤さゆり解説デスクも、そんな「トコジラミ」に苦しめられている1人。去年の秋から度々、痒みに悩まされていたということです。
【関西テレビ 加藤さゆり解説デスク】「ちょっとこれ見てもらえます?これ、先週の水曜日にうちの寝室で見つかったんですけど。トトト…って何か動いてたんで、慌てて捕まえたらトコジラミだったんですよ」
専門の業者に自宅を見てもらうことにしたそうです。
【トータルクリーン 波留貴技術営業部長】「めちゃくちゃたくさん刺されました?」
【加藤さゆりデスク】「めちゃくちゃ刺されました。首元とか」
【トータルクリーン 波留貴技術営業部長】「たぶん、ここから上がって、カーテンのここ、これ、血糞(けっぷん)です」
「血糞」とは、ヒトの血を吸ったトコジラミが自分の巣に帰りながら、用を足した“跡”です。
【加藤さゆりデスク】「そこを(トコジラミが)歩いたってことですか?」
【トータルクリーン 波留貴技術営業部長】「うん、ここでちょっと休憩して」
【加藤さゆりデスク】「で、どこに逃げ込む?」
【トータルクリーン 波留貴技術営業部長】「これ(血糞)がいつのやつかですけど、たぶんこういうところ(カーテンのひだ)に入っていっている可能性もあります。角、隅、隙間が大好きなんです」
他にも、マットレスの隙間や折り目に潜んでいたり、さらには、ベッドの下にも…。
トコジラミが住んでいたことがわかったので、早速、駆除することに。
【加藤さゆりデスク】「こういう家具(外)出した方がいい?」
【トータルクリーン 波留貴技術営業部長】「(駆除)やってから。どこに(トコジラミ)付いているか、わからないんで」
【加藤さゆりデスク】「下手に動かさない方がいい」
強力な殺虫剤を念入りに噴射し、ベッドの裏など部屋の隅々まで、駆除していきます。カーテンの「折り目の中」までしっかり吹き付けます。
【トータルクリーン 波留貴技術営業部長】「隙間という隙間に入るので、『そこは想定外でした』は通じないので。やれるとこは全部やる」
今回の作業中にトコジラミは見つかりませんでしたが、和室の畳など隠れやすい場所ではどんどん繁殖するため、手遅れになる前の対策が重要だということです。
【トータルクリーン 波留貴技術営業部長】「できるだけ、傷が浅いうちというか、数が少ないうちにやっつけてしまうのが一番」
■駆除にかかる費用は10万円以上が相場
殺虫剤も効かないうえに、繁殖力が高い、そして血を吸われると猛烈なかゆみがでるスーパートコジラミ。さらに家で増殖すると手痛い出費になります。
駆除業者によると、1部屋30平米で駆除にかかる費用が、だいたい10万円以上が相場だということです。
【関西テレビ 加藤さゆり解説デスク】「かなりくまなくやられるので、専用の殺虫剤をもたくさん使います。被害によってはさらに増えることもあります。ものすごく刺されて、蚊のかゆみとは比にならないかゆみなんです。聞くだけでもかゆくなるぐらい、本当にアレルギー反応が強く出たときがあったので、それが嫌だったので、高額になることを覚悟してお願いしました」
■VSトコジラミは人間側が頑張るしかない
これからお出かけシーズンになるわけですが、やっかいなスーパートコジラミを持ち込まないためには、どうすればいいのか、見ていきます。
旅行や出張の注意ポイントです。
・宿泊先についたら、まずは荷物をトコジラミが入り込みづらいとされるバスルームに移動させる。
・そしてトコジラミが好むベッドの周辺やクローゼットに、血糞などがないかチェックしてください。
もしトコジラミを見つけた場合や血糞があれば、ホテルに伝えて、部屋を変えてもらうなど対策ができます。
さらに寝るときに有効なのが「アイマスク」。
というのも、トコジラミは明るいところが苦手なので、アイマスクをつけて部屋の電気をつけて寝ると、有効だそうです。 トコジラミの嫌いものとして、明るさ、フローリングなどのツルツルな場所、高温乾燥ということです。
人間側が頑張れという方法しかないようです。
【関西テレビ 加藤さゆり解説デスク】「例えば、旅行から帰ってきたときは、もしかしたら、トコジラミがついているかもしれないと思って、すぐ洗濯、そしてできるなら乾燥機をかけることを徹底すると、家の中で広がりにくいかもしれません。(Q.洗濯、乾燥で死ぬんですか?)多少。業者の方によると、やはりずっと水にもまれたら、虫もさすがに生きていられないので、スーパートコジラミもさすがにそれには弱いでしょということでした」
皆さんも、できる限りの対策をし、かゆみなどが出た場合、すぐに病院に行ってください。
(関西テレビ「newsランナー」2024年3月20日放送)