子どもを性犯罪から守るために「日本版DBS」を導入する法案が、3月19日、閣議決定されました。
■「性犯罪歴の照会」できるように
政府は3月19日、子どもと接する仕事に就く人の、性犯罪歴を確認するための「日本版DBS」を創設する法案を閣議決定しました。
制度では、こども家庭庁が性犯罪歴を登録したシステムを管理。学校や認可保育所などが、就労を希望する人の性犯罪歴を照会すると、国は、本人に事前通知したうえで「犯罪事実確認書」を交付します。
照会の対象となる性犯罪は、不同意わいせつなど有罪判決が確定した「前科」のほか、痴漢や盗撮といった条例違反も含みます。
【加藤鮎子こども政策大臣】「社会全体で子どもたちを性暴力から守る、社会的意識を高めていくとの観点からも大変重要な法案」
犯罪歴を照会できる期間は、最長で20年です。
■「保育士自身にとっても安心につながる」と現場の声
日本版DBSは、子どもや保護者だけでなく、保育士自身にとっても安心につながる制度だと、現場の保育士は話します。
【保育士歴11年目 片岡竜希さん】「堂々と働ける部分で、多くの男性保育士がDBSを導入してほしいと考えていると思う」
一方、認可外保育所や学習塾、スポーツクラブなどは、制度への参加は「任意」で国に認定を受ければ、制度に参加することができます。
子どもと接する、全ての職種を対象とするよう求めてきた認定NPO法人はー。
【認定NPO法人フローレンス 米田有希代表室長】「恐らくほとんどの大手塾とかは、参入してくると思うんですけど、無償のボランティアであるとか、漏れがあると思う、認定を取らない所。そういう所を狙って、犯罪者は行くことになってしまう。それがないように制度設計を見直していったほうがいいと思う」
政府は、今回の法案で運用を見直す時期は、法律の施行後「3年」としていて、今国会での成立を目指しています。
子供たちを性犯罪から守る、日本版DBSの仕組みは次の通りです。
・学校や認可保育所などは、働く人に性犯罪歴がないかを国のデータベースに照会して、確認することが義務付けられます。
・学習塾や認可外保育所などは、制度への参加は任意ですが、国の認証を受ければ参加することができ、従業員の性犯罪歴の確認が義務になります。
■データベースに乗らないケースも「定期的な見直しを」
ただ関西テレビ加藤さゆり報道デスクは課題があると指摘します。
【関西テレビ 加藤さゆり報道デスク】「犯歴の照会ができる期間が最長で20年とされています。20年という期間が設定されたのは良かったと思います。性犯罪は刑を終えてから20年以内に、もう一度犯すといわれている事が根拠となっています。でも人それぞれですし、やはり親の立場からすると20年ではなく、無制限にして欲しいという議論があることも確かです。本当の安心を考えるという意味でも、見直しの対象になっていくべきだと思います」
「3年ごとの見直しとなったのは、非常に良くて、当初は5年の見直しとされていました。やっぱり運用して初めて分かることもあると思います。あとは、無償のボランティアとか子供に関わる、携わる機会はいっぱいあって、そこにどんな人が入ってくるのかという意味で言うと、例えば企業でわいせつな事案で解雇された場合は犯歴にならない、データベースに乗ってこないわけです。だからそういった所まで、どう突き詰めていくかというのは、今後、定期的に見直して行かないといけないと思います」
運用の制度設計はしっかりとしてほしいところです。
政府与党は今国会での成立を目指しています。
(関西テレビ「newsランナー」2024年3月19日放送)