3月16日、ついに北陸新幹線が延伸され、金沢と敦賀間が開業します。そこで、いま大注目なのが福井県。先ほど、福井駅前にある高さ6メートル、幅12メートルとかなりの迫力があるティラノサウルスのお披露目式が行われました。
「福井と言えば恐竜」という方も多いと思います。多くの化石が発掘されたことで知られ、県と市は、「恐竜」を観光の目玉としてさらに強化しようと、今回、新たにおよそ10億円をかけて駅前に10の「恐竜スポット」を整備しました。
■16日に北陸新幹線が延伸 世界が注目の“福井県”
いよいよ16日に北陸新幹線が延伸されます。石川県の金沢駅から福井県の敦賀までの区間が新たに開業します。この延伸で最も恩恵を受けるのが、福井県です。
県内には北陸新幹線の駅が4駅も誕生します。東京から福井までの所要時間はこれまでのおよそ3時間半から最短で2時間51分となり、30分以上短縮されることになりました。
【記者リポート】「延伸を機に外国人観光客の誘致にも力を入れる福井。新たに作成した外国語パンフレットのタイトルは『知られざる場所福井』です」
この延伸を受けて、2月、福井がアメリカのワシントンポストが選ぶ「人混みを避けて2024年に旅すべき場所」“世界の12選”に選ばれました。世界が注目する街、福井。
■侮るなかれ! 恐竜やカニ以外にも“魅力的なスポット”誕生
今、福井は恐竜やカニだけではありません。街ではすでにさまざまな変化が起きていました。
福井駅前には、新たなランドマークとして県内でもっとも高い、高さ120メートルの再開発ビル「FUKUMACHIBLOCK(フクマチブロック)」が16日にオープンします。
できたてのクラフトビールが楽しめるお店をはじめおよそ30店舗が並ぶフードホールや、福井の伝統工芸品を扱うセレクトショップなど大型の複合施設となっています。
さらに、福井県内初の外資系ホテル「コートヤード・バイ・マリオット福井」が入っていてさまざまな角度から福井市内を眺めることができます。
さらに駅の高架下には、新名所「ふくい屋台村」が誕生しました(※全店舗24時閉店、県内で有名な飲食店など10店舗が出店しています)
その中の1店舗、新鮮な魚と地酒が自慢の居酒屋「たら福」の名物は、「レア福井サーモンのフライ」です。
【たら福オーナー・宮島和也さん】「地元の人と県外の人の交流の場として屋台村が働いたらいいなと思っています」
車社会の福井県では「駅前呑み」は珍しかったそうで、北陸新幹線の延伸に地元の人たちも期待を寄せています。
【福井県内からの客】「新幹線さまさまです。“地味な福井”だったでしょ、今まで。それを新幹線で福井をみなさんに知ってもらえるかなって期待はすごく県民にあるんです」
「いろんな年代の方が交われる環境かな」
■駅から観光地までの距離が遠い…バスの進化が課題を解決!
魅力的なスポットが生まれるのと並行し、課題の解決も進んでいます。福井県は駅から観光地までの距離が遠く、県内に入ったあとの移動が旅のネックでした。
そこで、県内のバス事業者・5社が協力して立ち上げたのが、東京の「はとバス」ならぬ「はぴバス」です。面倒だった乗り換えは不要の「はぴバス」。
新幹線の駅から観光地を直接周遊できるバスツアーを企画しました。
【京福バス・吉住愛さん】「はぴバスで観光地を周遊できるコースを組み立てたので、お客さまには効率よく観光地を回っていただけるかなと思っています」
さらに、JR西日本も特別バスを用意しました。その名も、「WOWRIDEいこっさ!福井号」です。
【記者リポート】「こちらのバスには窓がなく、バス一面がモニターで囲まれています」
窓のスクリーンに映し出されるのは、行き先に合わせた福井の風景などの映像です。海の中を走ったり、工夫を凝らしたXRバスです。
化石ハンターとして、映像に出演する俳優・今井翼さん(42歳)は…
【俳優・今井翼さん】「僕は、恐竜博物館までの往復を担当させていただきましたけれど、それだけでなくほかのバスも非常に楽しめる内容になっております」
おもてなしムード高まる福井県。北陸新幹線の延伸は、地元の大きな期待を背負っています。
■16日から「敦賀駅」で新幹線に乗り換え 料金も1150円高くなる
先ほどの恐竜がいた場所から、新幹線の駅の中の2階へ移動してきました。恐竜のモニュメント越しに駅の中の新幹線を見ることができ、写真スポットとして多くの人が記念撮影をしています。
【記者リポート】「ここまで、北陸新幹線の延伸に沸く福井の様子をお伝えしてきましたが、ちょっと心配なことがあります。一つ目は関西からの利便性です」
これまでは大阪から福井駅まで、サンダーバードで乗り換えなし、最速1時間47分で到着し、料金は6140円でしたが、16日からは、敦賀駅でサンダーバードから新幹線に乗り換えが必要になり、時間は3分短縮されるものの、料金は1150円高くなります。
【記者リポート】「この点について、地元の人たちに話を聞くと、特に気にされていたのはビジネス面への影響でした。例えば、福井で長年、繊維業を営んでいる方によると、福井はビジネスの面から見ると完全に『関西圏』だそうで、取引は京都や大阪の会社が中心です。今回の延伸で、東京間のアクセスが良くなるメリットよりも、『関西圏』との移動が面倒になる、デメリットの方が大きいとこの方は感じているそうです」 「JR西日本は1週間以上前に予約をすれば、現在のサンダーバードよりも料金が安くなるプランも準備していますが、関西からの利用者の数が今後どうなるのかは正直見えない部分もあるのではないでしょうか」
–Q:神崎デスクは2月、試乗会を取材していましたが、特急から新幹線に乗り換えが生じてしまうのは、正直、不便でしたか?
【関西テレビ・神崎博解説デスク】「乗り換えっていっても、敦賀駅の一階部分に特急が入ってきて、新幹線は上の階にあるので、縦方向、要はエスカレーターとかエレベーター移動するだけです。私、実際に歩いて測ってみたんですけど、混んでいなかったのもありますが、だいたい2分ぐらいで乗り換えできました。われわれが新幹線に乗るときに、新大阪とか京都使われる人も多いと思うんですけど、駅の近所にお住まいの方は別にして、例えば地下鉄や在来線まで新幹線でまあまあ遠いですよね。それを考えたら、敦賀駅は縦方向なので、横移動があんまりないので、手間ではないと思います。また、福井県までの直通がなくなって、敦賀で乗り換えないといけないっていうのは、関西の方にとっては、ちょっと不便にはなりますね」
■もう一つの課題は“宿泊施設の数が足りない”
–Q:沖田記者、他にも心配なことがあるんですよね?
【記者リポート】「もう一つ心配なのが、『宿泊施設が圧倒的に足りていない』ということです」
福井県は新幹線の開業効果で、2024年の観光客数が2000万人にまで増加すると見込んでいて、これは1日換算でおよそ5万4800人。しかし、県内の宿泊施設数は民間と公共合わせて750軒で、1日あたり最大約4万5000人しか受け入れられません。
【記者リポート】「先ほど、ご紹介した屋台村のような夜の時間を楽しめる場所ができても、宿泊につながらず通過点になってしまわないかが心配ではあります」
(関西テレビ「newsランナー」 2024年3月15日放送)