明治のロングセラー商品「チェルシー」。3月末で販売終了することになりました。各方面への取材で明らかになったのが「お菓子の世代交代」です。
大阪市内のスーパーを取材すると、「チェルシー」はまだありましたが、取材開始から20分ほどで、女の子が「ママ食べたいよな」 と棚からかごへ。最後のひとつの“バター味”が完売しました。
■「チェルシー」販売終了にショックを受けた人も多い
1971年に発売された明治の「チェルシー」。イギリスのスコットランド地方に伝わる「スカッチキャンディー」から着想を得たあめで、「バタースカッチ」「ヨーグルトスカッチ」などの味が長く親しまれてきました。しかし53年間愛されたチェルシーは、3月末での販売終了が発表されたのです。
【菓子店の客】「チェ、チェルシーが終了。知らんかった。え~」
【菓子店の客】「歌ってよ」
【菓子店の客】「あなたにもチェルシー♪やったけ? もうひとつチェルシー♪や。アナタニモチェルシーアゲタイ」
【商店街の客】「大好きなんです。なくなるんでしょ。寂しいな思って」
【スーパーの客】「おばあちゃんがよくくれてたんで好きでした、最近はあんまり食べてないですね」
発表前からSNSで販売終了のうわさが広がり、フリマサイトでは売り切れ続出。通常1箱150円前後ですが、中には120箱で8万7555円、1箱にすると700円以上になっていることもあるといいます。
■売り上げ低迷により販売終了 明治としても「終売は非常に苦しい決断」
販売終了の理由は売り上げの低迷。2002年度は25億円だった売上は、2022年度には5億円と、20年間で5分の1まで減少しました。 好きなあめは「チェルシーバタースカッチ」だという明治の担当者は…
【明治カカオマーケティング部 福島浩介さん】「2月末をもってですね、生産を終了いたしまして、3月末をもって販売を終了させていただく予定となっております。本当に長くお客様にご支持いただいたブランドなので、終売というところに関しては非常に苦しい決断でございました」
ここで担当者から衝撃の事実が。実は「チェルシー」は明治で最後のあめブランド、「ラストキャンディー」だったのです。
【明治カカオマーケティング部 福島浩介さん】「過去には別の商品もございましたが、キャンディーに関しては『チェルシー』が最後という形になります。いろんなものにお客様に嗜好が移られているというところは、ひとつ原因かなととらえております」
■伸びている「グミ」 あめからグミへの「世代交代」?
客の嗜好の変化について、菓子の卸販売を行うお菓子のデパートを取材してみると…
【おかしのデパートよしや 神吉一寿社長】「すごい進捗率で、グミの方が市場で伸びております。あめのカテゴリー自体がトレンドとしては徐々に落ちてたんですけど、コロナでどんどん落ちちゃったんで、その影響もあるかもしれないですね」
あめからグミにお菓子の「世代交代」が起きたのか。街で聞いてみると…
(Qかばんに“あめちゃん”入ってますか?)
【年長女性】「うん、入ってる。(見せてくれて)いつも10個ぐらいは持ってきてる」
【年長女性3人組】「あめちゃんは入れてるよ。(あめの入った袋を見せてくれて)これぐらいよ。みんなにあげる用。(取材スタッフにも)いりますか、どうぞ、どうぞ」
関西の“あめちゃん”文化は健在のようです。 しかし、若い世代に聞いてみると… (Qかばんに“あめちゃん”入ってますか?)
【20代女性】「入ってないです。中学生ぐらいなったらグミばっかり」
【10代男性】「学校でもグミばかり食べてます。(Qなぜ?)すぐパッと食べれる、いちいちむいたりするのがめんどくさいです」
■「口の中にずっと残っているのを嫌がる傾向。最近は“タイパ”」
あめ菓子全体の売り上げ推移をみてみると、約10年間、市場規模は大きく変わっていません。実は、健康志向でのどあめの売り上げが伸びる一方、甘いキャンディーの需要が減っていると「菓子食品新聞」の編集長は話します。
【菓子食品新聞 河部久寛編集長】「特に若い世代は口の中にずっと甘さとか、モノが残っているのを嫌がる傾向にある。最近の話で言うと“タイパ”みたいな形でですね、時間に対してもパフォーマンスを求めるみたいなところがあって、長くじっくり楽しむというチェルシーのようなキャンディーというのはなかなか求められなくなってきていたのかな」
時代とともに、姿を消すことになった昭和生まれのあめちゃん「チェルシー」です。
■「チェルシーのグミを作ればいいんじゃない」と田村淳さん
長く食べられるから楽しいものだったのですけれど、今の時代は“タイパ”という感覚があるようです。 「newsランナー」コメンテータの田村淳さんは「でもそうだったら。チェルシーのグミを作ればいいんじゃないかと思っちゃう。買いますもん、チェルシーのグミが販売されたら」と話しました。 グミにするアイデアもあるかもしれません。また消費者からリクエストがあれば復活することもあるかもしれませんね。
(関西テレビ「newsランナー」2024年3月6日放送)