来年の大阪・関西万博で独自パビリオンを建設する複数の国が、協会が設定する完成目標に間に合わない見通しであることが分かりました。
2025年4月の開幕に向け準備が進む大阪・関西万博。
目玉の「大屋根リング」や、企業パビリオンなどが徐々に姿を現す中、55の参加国が独自に建設する「タイプAの建物の完成が”間に合わない“」という話が出ています。
夢洲ではことし10月以降、会場の整備工事などが本格化することで、大型重機を使った工事が難しくなる見通しで、博覧会協会は2月、独自でパビリオンを建設する参加国に10月中旬までに建設を終えるよう呼びかけていました。
しかし、各国関係者によると、その目標までに完成させることが難しいことが分かったのです。
28日、伝統的な踊りとともに壮大にパビリオンの発表を行い、意気込みをみせていたインドネシアも…
【インドネシアの大臣】「10月に建物は、8割は達成すると思う」
「タイプA」について建設が始まった国がこのような状況の中、実は建設業者さえ決まっていない国が約20カ国あります。
博覧会協会は簡易の施設を建設して引き渡す「タイプX」への変更を提案していますが、建設業者が決まっていないポーランドの担当者は、「タイプA」にこだわる理由として、契約デザイナーとの調整などを挙げています。
【ポーランドの担当者(2023年11月)】「デザイナーにも大きなプライドがあって、”それでやらせて”となり、非常に調整しにくい」
大阪府の吉村知事は…
【大阪府 吉村洋文知事】「建物の完成時期もそれぞれ違う。開幕に合わせて、みんなが努力して進めているのが現状だと思う。10月というのは、協会が言うとおり目安だと思う」
■開幕時に工事中パビリオンがあることを避けたい
知事が「目安」と話す「10月」の期限ですが、一体なぜ博覧会協会は設定したのでしょうか?
博覧会協会の関係者に取材をしたところ、「10月に間に合わない国はたくさん出てくるだろう。ただ、開幕に間に合わないことに、直結するわけではない」と言いました。
10月までという目標の設定の理由については、「開幕時に工事中のパビリオンがある万博も過去あったが、幹部はそれを避けたいのだろう」と答えました。
関西テレビの神崎報道デスクはそれ以外にも何か思うことがあるということです。
【関西テレビ 神崎報道デスク】「日本としては、独自のパビリオン建ててほしいのです。間に合わないのであれば、協会が建てる簡易な“タイプX”がありますよと勧めることはできますが、変更してくださいとは言いにくいですよね。なので、今回は『10月に設定しました。これ皆さん間に合いますか?』と。間に合わないのであれば、こういうのもありますよと提示するという意味では、この目標設定しておいた上で、相手側に『本当に間に合いますか?』と確認する意味で、あえて早めの時期に設定をしています」
博覧会協会の思惑どおり進むのか、各国の動きにも注目して行きたいと思います。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年2月29日放送)