■民間による支援 利益が出る状況で続けることも重要
2月24日でロシアによるウクライナ侵攻から2年です。世界的にどういう形で支援を行っていくのか、そして日本はどういう支援ができるのでしょうか。
2月19日、「日・ウクライナ経済復興推進会議」が開かれ、日本とウクライナの官民一体で、ウクライナの復旧・復興を支援していく方針を確認しました。
ここでは56の協力文書が交わされました。協力文書を交わした団体には、日本政府や公的な機関の他に民間企業も多く参加をしている点に注目です。「クボタ」「ヤンマー」といった企業もあります。例えば「クボタ」の場合、農業の機械を提供するそうです。それ以外にも金融や電力などの企業が協定を結んでいます。
今回この会議に参加した、ウクライナに詳しい神戸学院大学の岡部芳彦教授にポイントを聞くと、「援助だけではなく投資」、それから「企業もウィンウィンの関係に」と指摘します。民間企業が参加して、利益が出る状況で支援を続けていくということで、民間にもメリットがあると多くの企業が参加しやすくなります。
■兵庫県の「セレンディクス 3Dプリンタ住宅で協力文書交わす
56の中にある「セレンディクス」という会社は、兵庫県西宮市に本社があるスタートアップ企業です。日本とウクライナの経済復興推進会議で、現地の建設会社と技術協力に関する覚書を交わしました。
【セレンディクス 飯田国大執行役員COO】「住宅を失っている多くの方がいますので、そういった方を助けることが第一の目的であります。それを3Dプリンターで作ろうっていう世界的な機運があるんですね」
3Dプリンター住宅とは、設計データに基づき、巨大な建設用の3Dプリンターがコンクリートを出力。ロボットアームがパーツを作ります。最短24時間で完成し、価格も安く、10平方メートルタイプは330万円です。 国連などの発表によると、ウクライナでは200万戸の住宅が破壊されるなどの被害を受けていて、セレンディクスは、復興住宅として住民に提供することを目指しています。
【セレンディクス 飯田国大執行役員COO】「まずは現地で我々がデジタルデータを送って本当に作れるのか。もしくはどういったコストがかかるのか。現地でも24時間っていう非常に短い時間で作ることができるか。この3つの実証をやることが、ことしの夏からということになっています」
まずは、医療施設や公的な設備としての活用から始めたいとしています。
■災害復旧を繰り返してきた日本ならではの貢献ができるか
今回の支援策は、次のような分野に関して行われます。
1、地雷の除去、がれき処理
2、人道状況・生活の改善
3、農業の発展
4、バイオなど新たな産業創出
5、デジタル分野の成長
6、電力・交通インフラ整備
7、汚職対策
こういったことまでやっていくということです。
一番に挙げられているのが、「地雷の除去、がれき処理」です。
【関西テレビ 神崎報道デスク】「ウクライナを復興させるためには、ロシアがばらまいてる地雷を除去することを、まず最初にやらないといけません。実は日本政府はこれまで国際協力機構の枠組みなどで、カンボジアで長い間、地雷除去を進めてきまして、日本が開発した地雷を探知する機械があります。これまでは単なる金属探知機でしたが、今回の機械はスマホに画像が出て、土の中で金属の破片なのか、地雷なのかをある程度見分けられるようになっています。これをすでにウクライナに供与しています。さらには重機型のもっと幅広い範囲を早く除去できるタイプも供与しようという形で動いています」
インフラ整備の支援も大事ですね。
【京都大学大学院 藤井聡教授】「日本は残念なことに、東日本大震災や能登半島地震、それから阪神淡路大震災があり、さながら戦争と同じような形で街全体が破壊されるような悲しい災害がたくさんありました。一方でそこから立ち上がることを毎回繰り返していますから、そこが他の国にはできない貢献の一つの形になるだろうと考えられます」
災害大国ならではの支援の仕方があります。支援は停戦後・戦争終結後ではなく、今からできることを始めて、中長期的な支援が必要になってきます。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年2月23日放送)