居場所がない子どもたちのたまり場、大阪・ミナミの「グリ下」や、東京・歌舞伎町の「トー横」。こうした場所で過ごした過去を持つ若者たちが、「こども食堂」でボランティアを行いました。
地域の人たちとの触れ合いで感じたこととは。
■幼い頃から家出を繰り返し、「トー横」で過ごすようになった中学時代
大阪市西成区の「にしなり★つながりの家」では、地域の子供たちのために、毎週ボランティアで「子ども食堂」を開催しています。
この日、初めて準備に参加したのは、れんさん(仮名)17歳です。
幼い頃から家出を繰り返し、中学生になると居場所のない若者のたまり場になっている、新宿・歌舞伎町の通称「トー横」で過ごしていたといいます。
【れんさん】「(家出中は)飲食店のごみ箱を漁って、それ食べて。それしかないですもん」
家出をするようになった原因は、父親から受けたネグレクトや虐待でした。
【れんさん】「家に帰ったら(父親が)冷蔵庫の上に座ってるんですよ。卵3ダース分ぐらい抱えて待っていて、卵1個ずつ投げて『これ掃除しろよ』と。不思議な人ですよね。女の子が売春してラブホテル取ってるんで、そこに入れてもらったりとか。あとは野宿ですね。そこ(トー横)が居場所だったので」
■「トー横」で田村弁護士と偶然出会い、大阪へ
れんさんをここに連れてきたのは、田村健一弁護士です。
居場所のない若者たちが集まる、大阪・ミナミのグリコの看板下、通称「グリ下」や、新宿・歌舞伎町の「トー横」に集まる若者たちに声をかけ、支援につなげています。
「トー横」や「グリ下」では、未成年の飲酒・喫煙は日常茶飯事で、最近では、薬を過剰摂取する「オーバードーズ」もまん延していて、犯罪に巻き込まれる若者も少なくありません。
2023年の年末、「トー横」にいたれんさんは、見回りをしていた田村弁護士と偶然出会い、一緒に大阪に。
現在は、田村弁護士が紹介した大阪の建設会社で働いています。
■「居場所がない子ども」だった若者が子ども食堂でボランティア
今回、田村弁護士はこうした若者たち3人をボランティアに誘いました。
【ひとりぼっちにさせへんプロジェクト 田村健一弁護士】「私たちがやることは、大きいことじゃなくて、こういう小さいことの積み上げ。つないでいく、つないでいく、一緒に楽しむ」
午後4時には、「子ども食堂」に子どもたちが集まってきました。れんさんの周りには、いつの間にか大勢の子どもたちが。
この日の夕食、カレーが出来上がり、みんなで食べます。
長い間、家族などと食卓を囲んでいなかったれんさんは、「学校の給食みたい」と言いました。
【れんさん】「小学生に戻った感じがして、楽しかったです。(Q.またこういう機会があったら?)来るけど、もうちょっと体力つけてきます」
歓迎され、必要とされる「居場所」を広げる取り組みが続きます。
(関西テレビ「newsランナー」2024年2月21日放送)