↑見た目はそっくり でもオスの交尾器が異なる 提供:橿原市昆虫館
そんな中、おととし12月、昆虫館が公開している画像などの収蔵データにアクセスし、この「ヒメマルクビゴミムシ」を見た千葉大学の笹川幸治准教授から、「研究用にこのゴミムシを貸し出してほしい」と連絡が入りました。
笹川准教授は、「ヒメマルクビゴミムシ」と外見がそっくりなこのゴミムシを解剖。 その結果、オスの交尾器が、これまで知られている種とは違っていたことが判明しました。 笹川准教授は、採集された地名にちなみ新種を「スズカヒメマルクビゴミムシ」と命名し、論文を執筆。 権威あるスイスの国際学術雑誌「Taxonomy」から新種「Nebria suzukana」として発表されました。
■「生物の分布を解き明かすカギに」新種発見の意義
開館から35年が経過した橿原市昆虫館。 新種が発見されたのは、今回が初です。
昆虫館の学芸員池田大さんは、今回の新種の発見の意義について「この虫は飛べない虫なんです。新種は、今のところ鈴鹿山脈一帯でしか見つかっていません。はるか昔に祖先となる種が広くに分布していて、今のような地形になったときに、それぞれの山で取り残された形になります。その取り残された個体たちが、それぞれ、長い年月をかけて別の種類となった可能性があるんです。そのため、こうした新種の発見が、地質学的な新たな発見にも結びつく可能性があります。今の生物の分布を解き明かすカギになるかもしれません」と話した上で「新種が紛れていたことは、たくさんの標本を収集していたからの発見。昆虫館の収蔵庫としての意義がしっかり表に出てうれしいです」と新種発見の喜びを語っていました。
新種の「スズカヒメマルクビゴミムシ」は橿原市昆虫館で2月23日から25日まで展示されます。
(関西テレビ 2024年2月16日)