関西電力が先週、福井県内の原発すべてに新たに設置したい意向を示した、使用済み核燃料を一時保管する施設。福井県でも議会などで議論が始まりました。
関西電力は、福井県内の原発で保管している「使用済み核燃料」について、中間貯蔵施設に運び出すなどして貯蔵容量を原則増やさず、県外に運び出す工程表を示し、去年、県がこれを容認しました。
そんな中、関電は先週、一時的な保管場所となる「乾式貯蔵施設」を原発の敷地内に新たに設置する意向を示し、県に事前の了解を求めています。
■「考え方そのものは、合理性がある」と福井県 杉本知事
こうした中、13日から始まった福井県議会で、杉本知事は…
【福井県 杉本達治知事】「今後、事業者(関電)の計画内容を精査し、県議会はじめ立地町や県原子力環境安全管理協議会における意見、県原子力安全専門委員会の議論を踏まえ、申請了承について判断して参ります」
議会での議論や原発が立地する町の意見を聴くなどして、総合的に判断する考えを示しました。
ただ、杉本知事は関電が提示した「乾式貯蔵施設」そのものについては、評価する姿勢も…
【福井県 杉本達治知事(今月9日)】「構造的に合理的だなと思うのは、中間貯蔵施設にそのまま持って行って、そのまま置けるものをつくると言っている」
一方、関電が提示した工程表を実現するためには「中間貯蔵施設の稼働」が重要ですが、2030年頃の稼働どころか建設地すら決まっていない状況です。
【福井県 杉本達治知事(今月9日)】「関西電力が持ち出せる中間貯蔵施設が現状、ない状況で、2030年頃にはそれを稼働できるようにすると。それができた時には、可及的速やかに安全に保管したうえで、合理的に運べるという考え方そのものは、合理性があると」
関電が求める事前了解について、期限を設けず、「よく意見を聴きながら判断したい」と話した杉本知事。今後の判断が注目されます。
■使用済み核燃料 4年後には「満杯」に
関西に送られている関西電力の電気は、原子力発電によるものが2022年度で3割ほどを占めていて、原油高の中でも値上げせずに電力供給することができていました。
原発がある福井県と「使用済み核燃料」に関する約束があり、関電が福井県外に移すことになっているのですが、見通しは立っていません。
現在、関電は原発敷地内で使用済み核燃料を、水を循環させる「湿式貯蔵」をしていて、約4年後に満杯になる見通しです。
■空気で冷却する「乾式貯蔵施設」 課題は「どこへ運び出すか」
そうした中、新たに空気で冷却する「乾式貯蔵施設」を原発敷地内に設置し、そこから県外に運び出すという考えを示しています。
ただ使用済み核燃料を運び出す先の中間貯蔵施設は建設のめどは立っておらず、青森県六ヶ所村の処理施設はトラブルが相次ぎ着工から31年がたっても完成していないという状況です。
福井県としては約束が守られるかどうか分からない中で、新しい乾式貯蔵施設を作ることについて判断を迫られることになります。