7日、群馬県で小学生を含む12人が犬にかまれけがをしたことを受け、飼い主の男性が8日取材に応じました。犬はなぜ逃げ出し人を襲ったのでしょうか。
【犬の飼い主】「基本的に人懐っこい犬です。人にけがを負わせるという話で、私もビックリしている。ご迷惑をおかけして、大変な思いさせて、申し訳なかった」
気落ちした声で謝罪した男性。飼っていた犬が逃げ出し、次々と人を襲いました。
■体長1メートル30センチの四国犬 脱走し12人をかむ
7日の午後、群馬県伊勢崎市にある2つの公園で、「犬にかまれた」と目撃した人から相次いで、通報がありました。 警察によると、小学生9人を含む、男女あわせて12人が犬にかまれてけがをし、5人が病院に搬送されました。いずれも命に別条はないということです。
犬にかまれた男性は…
【犬にかまれた男性】「最初は、ワンちゃんもしっぽを振って、そんなに怒った感じではなかった。まず3年生の男の子が逃げたから、犬が興奮して追いかけて、どちらの足か忘れたけど、3回くらいかまれた。子どもが逃げ惑っているものですから、犬は興奮していまして、次の子をまた追いかけて。私も犬を追いかけ、2人目の子を助けにいって、ワンちゃんを蹴ったときに、今度はワンちゃんが私に向かってきて、私は2カ所かまれまして」
■飼い主は「どこから逃げ出したのかも把握できていない」
警察によると、かんだ犬は、体長およそ1メートル30センチの四国犬。同じ伊勢崎市内に住む飼い主の自宅から、何らかの理由で逃げ出しました。
【犬の飼い主】「昼間は、犬舎に入っている犬ですから、問題はまずないけど、たまたま外装(工事)が入って、普段と違う流れになっているものだから、たまたま外に出ている時間が長かった。脱走するということがないように塀を高くしたりしているが、どこから逃げ出したのかも把握できていない」
■もし犬に襲われたら? 専門家「逃げずその場でじっとする」
なぜ、今回、犬は、人を襲ったのでしょうか?
【日本犬保存会・井上実事務局長】「(四国犬は)非常に主人に忠実。忠誠心の強い犬。縄文・弥生時代から猟犬として使われ、番犬としても、その後発展。犬の心理からすれば、主人が、いなかったので、犬も不安になったのだろう」
日本では、人が犬にかまれる事故が、年間4500件近く、起きていて、2019年には、熊本県で、小学生を含む4人が逃げ出した飼い犬にかまれ、けがをしました。 犬に襲われそうになった場合は、どうしたらいいのでしょうか?
【日本犬保存会・井上実事務局長】「逃げれば、追いかけるので、逃げないでその場にじっとしておき、少しずつ離れていく。自分だったら背中は向けません」
今回、事故を起こした犬は、動物愛護センターで保護されているということで、警察は、飼い主からくわしい状況を聞いています。
飼い主の責任はどこまで問われるのでしょうか。 飼い主によると今回犬が逃げ出した家には『猛犬注意』と注意喚起の表示があったということです。さらに脱走防止として、家の塀は高めにしてありました。 ただ当時、家が外装工事中だったので、通常とは違う環境だったこともわかっています。
群馬県の動物愛護条例によりますと、飼い主は飼い犬を常時、係留しなければならない「係留義務」があるとしています。この係留というのは、つなぎ止めておく必要があったということですが、飼い主がリードをつけていたかどうかわかっていません。警察は飼い主から詳しい状況を聞いているということです。
飼い主が罪に問われる可能性はあるのでしょうか?
【菊地幸夫弁護士】「条例違反ということでおそらく条例も罰則を設けているでしょうから、他人にけがをさせてしまったということで過失傷害罪というようなことも出てくる可能性もあります。
あと、民事の問題として治療費とか慰謝料とかそういう責任を問われる可能性もあります。民事の責任は、ちゃんと管理をしていた場合には免除されますが、ただ当時、外装工事中で通常とは違う環境だった。であれば、なおさら犬が予想外の行動をとらないように気を付けなければいけなかったんじゃないか…ということで、例外的な免除も難しいのではないかと思いますね」
(関西テレビ「newsランナー」 2024年2月8日放送)