輪島市で倒壊したビルの下敷きになり妻と娘を亡くした男性。地震から1カ月がたった2月1日も、家族の思い出の品を探し続けていました。
■亡き妻と娘の遺品探し続ける男性
輪島市河井町。楠健二さん(55歳)は1カ月たったきょうも一人で妻と娘の遺品を探しています。
楠さんは、「朝市通り」からほど近いこの場所で居酒屋「わじまんま」を夫婦で営んできました。店舗を兼ねた自宅の3階で家族5人で過ごしていたところ、隣接する7階建てのビルが倒壊し、巻き込まれました。
【楠健二さん(1月2日)】「ずっと出してあげられていないんだよ昨日から。 お願い。女房が埋まっているんだよ」
妻の由香利さん(当時48歳)と長女の珠蘭さん(当時19歳)が亡くなりました。 楠さんは避難先の神奈川から輪島に通い、家族の思い出の詰まった「形見」を探し続けています。
【楠健二さん】「(サルのぬいぐるみは)亡くなった娘がプレゼントしたやつ。去年だったかな。(マグカップは)亡くなった娘が、女房と俺に白と黒を、ディズニーランド行ってきたときに買ってきてくれた。
2人も亡くなってるから、本人の物が見つかると、やっぱり悲しくなるよね、やっぱり」
ずっと探しているのが、妻がプレゼントしてくれた腕時計と思い出の写真が残る携帯電話だといいます。
楠さんを心配して、店を愛していた人たちが相次いで訪れています。
【楠さんの仕入れ先】「悲しいだけで。すごく明るくてきれいな奥さまで。ご主人が『この魚どうしようかな、買おうかな』って言っていると、奥さまが隣で『いいじゃん、買っちゃいなよ』って。すごく威勢のいい奥さんでした」
【常連客】「挟まっていた場所、『ここにいたんだよ』って教えてくれて。チューリップがあったけど、由香利ちゃんらしい花だなって話していました」
■妻の携帯は見つかったが…「2人はもう戻ってこない」
2月1日午前、ずっと探し続けていた妻の携帯電話が見つかりました。
【楠健二さん】「(見つかったのは)妻の携帯と、俺の携帯と、妻の眼鏡。きょうは携帯見つかったから良かった」
【楠健二さん】「発災から何日たったとか、そんなのはどうでもいいんですよ。1カ月たとうが、2カ月たとうが。2カ月たって亡くなった2人が帰ってくるならいつでも待つけど、変わらないから。道路がちょっと良くなっただけで何も変わんない。たぶんずっと何も変わらないよ、俺は。だって戻ってこないじゃない。ちょっとつらいね」
能登半島地震から2月1日で1カ月を迎えました。遺族はあの日から時間が止まったままです。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年2月1日放送)