東洋ゴム工業(現TOYO TIRE)の免震ゴムの性能データ改ざん事件をめぐり、株主の男性が当時の役員らに賠償を求めた裁判で、大阪地裁は役員らの責任を認め、合わせて1億5800万円の支払いを命じました。
■免震ゴムの性能データを会社が改ざん
東洋ゴム工業の免震ゴムの性能データ改ざん事件を巡っては、2017年に、子会社が不正競争防止法違反で罰金1000万円の有罪判決を受けました。
兵庫県在住の男性株主(82)は、2014年に、東洋ゴムが製品の出荷を中止し改ざんを公表すると決定したにも関わらず、その決定を覆し損害を与えたとして、当時の取締役4人に対し、合わせて4億円の賠償を求めていました。
■出荷停止などの判断を覆したことは善管注意義務違反
大阪地裁・谷村武則裁判長は26日の判決で、当時の社長と技術部門の最高責任者だった取締役1人については製品の知識があり、出荷停止などの判断を覆したことは善管注意義務違反に当たるとして、合わせて1億3800万円の賠償を命じました。
また、国への報告については、訴えられた当時の取締役4人全員の責任を認め、合わせて2000万円の支払いを命じました。
■「不正出荷全体に警鐘を鳴らす判決だ」
男性株主の代理人である株主の権利弁護団・由良尚文弁護士は「4名全員に対し、すみやかに事実を国交大臣に報告すべきという義務を認め、それをしなかった責任を認めている点は、従来の判例よりも踏み込んだ画期的判決。他でも後を絶たない製造品の不正出荷全体に警鐘を鳴らす判決だ」と評価しました。
また、男性株主は「会社の体質が変わると思う。ほかの会社でも不正ができないという認識が広まれば日本全体が良くなるのではないか」と話しました。
■「重く受け止めている」
TOYO TIRE(旧東洋ゴム工業)は判決を受け「元取締役の責任が認められたことは会社として重く受け止めています。同問題のあと、経営体制を刷新し、ガバナンス強化・コンプライアンス遵守に取り組んできました。引き続き徹底を図っていく所存です」とコメントしています。
(関西テレビ 2024年1月26日)