能登半島地震から22日で3週間を迎えました。被災地では、少しずつ日常を取り戻す動きが広がっています。珠洲市から京都に避難した80代の夫婦は、今の思いを語ってくれました。
■少しずつ日常に…輪島市は保育園 珠洲市内は全小中学校“再開”
地震の被害が大きかった石川県輪島市河合町の「かわい保育園」では、22日から市内のすべての未就学児を対象にした無償の受け入れが始まりました。 地震以来、保育園に通えていなかった子も多く、子どもたちは久しぶりの保育園に元気に登園していました。
【保護者】「どうしても働かないといけないというのがあるので、無償でみていただいてすごくありがたいです」「先生たちも被災されている中で、保育所開けてくださるのは、本当にありがたい。子どもたちも喜んでいるので、楽しみにしてきょう来ました」 –Q:何が楽しみ? 【子どもたち】「みんなで遊ぶのです」
輪島市によると、市内に対象となる未就学児は444人いますが、受け入れられる人数は最大40人の想定で、「状況に応じて保育士を増やすなどして対応したい」としています。
また、珠洲市では、市内すべての小中学校が再開となりました。
【記者リポート】「市立緑丘中学校です。地震の影響で始業式が2週間ほど遅れましたが、久しぶりに生徒が登校してきました」
この中学校では、体育館を中心におよそ150人が避難しているため、始業式は多目的教室で行われました。
【珠洲市立緑丘中学校・貞弘佳彦教頭】「やはり学校というのは、子どもたちがいて初めて学校だなと実感しました。大変うれしく思いました」
ただ、登校したのは、全校生徒のおよそ2割にあたる35人にとどまっていて、多くの生徒が集団避難などをしているということです。
■京都の府営住宅に避難 80代夫婦「1年間は辛抱しないと…」
一方、京都では、府営住宅で被災者の受け入れが始まっています。石川県珠洲市から避難してきた櫻屋敷さん夫婦。以前、京都に住んでいたことや子どもが近くにいることから府営住宅に移り住んできました。
【櫻屋敷あいこさん(80歳)】「ありがたいです。こんな風にくつろげる時間があるっていうの。(能登では)こんな場所があってもその間にも揺れたりするからね」
府営住宅には家電が準備され、光熱費などは自己負担ですが、最長で1年間、家賃はかかりません。
櫻屋敷さんは、同じ珠洲市にある親戚の家で被災しました。幸いけがはありませんでしたが、自宅は崩れ、住むことができなくなりました。週末には、引っ越しの準備で一度珠洲市に戻ったものの…
【櫻屋敷あいこさん】「郵便局も機能していないです。郵便物もどうなっているか分からないし、近くの郵便局で転居の手続きをしてこないと、と思っているけれど、郵便局がどこにあるのかこれから調べないとね」
子育てを終え、生まれ育った能登で、釣り船を営みながら、老後の生活を楽しんでいた櫻屋敷さん。
【櫻屋敷あいこさん】「『今、揺れている能登に行って小さい家を建てても住める?』って夫に聞くんですけど…怖いですよね」
【櫻屋敷忠さん(83歳)】「どうしようもないわ。いろいろ考えて出てくるのはため息やね、考えてもたどり着くところないから。もうちょっと辛抱して…ここ1年間は辛抱しないと分からんわ」
能登に戻るかは決めていません。あす何をするかを考える余裕すらないのが被災者の現状です。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年1月22日放送)