居場所のない若者たちが集まる大阪・ミナミのグリコの看板の下「通称・グリ下」。 「グリ下の帝王」と自称していた男が、女子中学生をわいせつ目的誘拐の疑いで逮捕されました。
■「薬あげる」を誘い文句に自宅へ
【浦野那生容疑者】「家出少年、家出少女と分かった瞬間、とりあえず帰らせるか、私服(警察)に言うかの2択でした。極力もめへんように、めんどくさいことになれへんようにしてます」
2022年、関西テレビの取材に、“家出する若者”について語っていた男。1月17日、わいせつ目的誘拐などの疑いで逮捕された大阪市浪速区の無職、浦野那生(うらのなお)容疑者(31歳)です。
浦野容疑者は2023年11月、SNSで知り合った東京都に住む女子中学生を、わいせつ目的で自宅に連れ込んだ疑いなどが持たれている浦野容疑者が少女を連れ込んだ際の誘い文句と考えられているのが、「薬あげるから家に来ない?」 。
警察によると、2人は睡眠導入剤を譲り渡す約束で、浦野容疑者の自宅に向かったとみられています。 大阪のテーマパークに行った後、帰ってこないと、少女の母親から通報を受け、警察が保護した時には、少女はろれつが回らず、薬の過剰摂取、いわゆる「オーバードーズ=OD」の状態だったということです。
この2人が落ち合ったと考えられている場所が、大阪・ミナミのグリコの看板の下、通称「グリ下」です。東京の「トー横」などと同じく、家庭環境などさまざまな理由で居場所がない若者が集まる場所で、未成年の飲酒や喫煙、パパ活などに加え、最近はオーバードーズが問題となっています。
■過去に逮捕歴も 「自分が治安を守っている」と話す男
こうした状況を取材するため、関西テレビは2022年、“グリ下”に出入りする人物としては最年長で、のちに“グリ下の帝王”を名乗り出した浦野容疑者に話を聞いていました。
【浦野那生容疑者】「橋の下でOD(オーバードーズ)するな、リストカットするな、案件(売春)するにしても難波でするなとか。分からんところでしろとか。最低限のルールですね。(ルールを守れない子を)僕が出禁(出入りを禁止)にする方です。僕がいないと無法地帯になっちゃう」
浦野容疑者は、「自分が治安を守っている」と語る一方で、少女たちとの関係については、こんなことを語っていました。
【浦野那生容疑者】「靴はグリ下の子に買ってもらったりとか、この服とかもそうですね」
(Q.グリ下の子と付き合っていた経験は?)
【浦野那生容疑者】「僕はそうですね。グリ下の子と、いっぱい付き合ってましたね。結構8人ぐらい付き合ってました。いや、トラブルは1回だけ大きい出来事があったんですけど、それ以降は基本的に僕は18、19歳としか付き合ってなかったんで」
浦野容疑者がトラブルというのは「逮捕歴」。 このインタビューのおよそ5カ月前、グリ下で出会った14歳の女子中学生とみだらな行為をしたとして逮捕されていたのです。 その後、罰金40万円の有罪判決を受けましたが、今回の逮捕容疑もまた少女を狙ったものでした。
■少女に接近 やがて「金銭要求。性交渉、パパ活しろとも」
グリ下に集まる若者の更生を支援している田村健一弁護士は、「グリ下の帝王」を名乗り、向精神薬を少女らに配る浦野容疑者について、複数の若者から相談を受けていたということです。
【田村健一弁護士】「彼の家に、小学生・中学生含めて女の子が常に出入りしている。なんで出入りしているかというと、常にOD(オーバードーズ)。最初は、なじみがない子に(薬を)タダであげる。それがはまってくるとお金を取る。お金を払えないんだったら、性交渉(しろ)と。小学生、中学生の子にですよ。パパ活、未成年売春をさせていたり。思い通りにならない場合には傷害。殴る蹴るとか、土下座をさせるとか、私は各方面から聞いているので、本当に要注意と感じていました」
2022年のインタビューでは…
【浦野那生容疑者】「やっぱり僕のことを必要としてくれる男の子、女の子もおるし、その子たちが僕のことを必要としてくれるまでは、僕が最後まで、グリ下がなくなるその終焉までいます。誰が文句を言おうが」
少年・少女に対する“自身の主張”を語っていた、自称『グリ下の帝王』。警察は、浦野容疑者が容疑を認めたか否かを明らかにしていません。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年1月18日放送)