13日に控えた一大イベント「台湾の総統選挙」。盛り上がる台湾の様子を、現地で関西テレビ・吉原キャスターが取材しました。
【吉原功兼キャスター】「台湾のトップを決める『総統選』の取材をしています。明日、投票日を迎えるということで、各陣営ラストスパート。まもなく民進党の候補者が演説を行う新北市の会場からお伝えしています。この総統選の結果次第で、台湾と中国の関係が大きく変わり、日本にもさまざまな影響が考えられます。今、私が何よりも感じているのは台湾の人たちの選挙に対する熱量です。ちょっと日本では考えられないものすごい熱気を感じています」
■1月13日「台湾の総統選挙」 台湾のトップ・蔡英文総統の後継は誰?
日本やアメリカと良好な関係を築いてきた台湾のトップ、蔡英文総統の後継が13日に決まります。 4年に一度、台湾全土の有権者が自分たちのトップを選ぶ「直接選挙」とあって、各陣営は大変な盛り上がりをみせています。
中国からの「独立」でもなく、中国との「統一」でもない「現状維持」が続く台湾で、立候補したのは3名です。
与党・民進党の頼清徳候補は、蔡英文総統の路線を継承し、中国と距離を置きアメリカとの関係を重視する方針です。当選すれば中国との緊張がいっそう高まるとも指摘されています。
【民進党・頼清徳候補】「台湾経済はもう中国には依存していない!」
一方、野党第一党・国民党の侯友宜候補は、「中国との融和」を重視。
【国民党・侯友宜候補】「中・台の平和を守る!」
また野党第二党・民衆党の柯文哲候補は、「中国と対話はするが、依存しない」と中立的な独自路線を主張しています。
中国との関係が緊迫化する親米路線が続くか、親日の台湾が親中にかじを切るか。台湾海峡の命運が13日に決まります。
■総統選への関心が高い台湾市民 統一か?独立か?
11日に台北市に入った吉原キャスター。
【吉原キャスター】「台湾の中心都市、台北市内にやってきました。日本よりもだいぶ暖かいですね。そして人の往来も多くて活気があります」
「あれ見てください。民進党の頼清徳候補のポスター。バスにでかでかと貼りつけています。アイドルみたいですね」
街のいたるところに候補者たちの大きな看板がありました。 さらに街の中では政治討論番組を見ながら仕事をする人もいて、総統選への関心の高さが伺えます。
その熱気は街の人からも…
–Q:総統選挙、もうすぐですけど、どこに投票されますか?
【国民党支持者】「侯友宜、国民党です。私は中国と台湾の平和を願っています。共に豊かに、共に発展していきたいです」
【民衆党支持者】「柯文哲氏に投票します。台湾独立か統一かと言っていますが、お互いに挑発せずにコミュニケーションを取るほうがいいんじゃないでしょうか」
【民進党支持者】「民進党ですね。民進党は台湾の主権を認めています。完全に親中しているほかの2つの党とは、違うからです。(Q. 中国の習国家主席が中国と台湾“統一”って言葉を発しましたけど、それに関してはどう感じていますか?) 台湾の2300万人は認めません。もし統一するなら、総統選は意味がないですよね」
■お祭りムードの民進党集会 新しいリーダーになるのは誰?
11日の夜、新北市内で開かれた民進党の集会を取材しました。
【吉原キャスター】「こちらご覧ください、民進党の頼候補の選挙演説会場なんですが、見渡す限り人、人、人!みなさん立ち上がって旗を振って、お祭りムード一色です」
投票を前に頼候補の演説を聞こうと、会場には数えきれないほどの市民が集まりました。ステージでは歌手によるパフォーマンスや、蔡英文総統による演説も。そして…
【吉原キャスター】「ご覧ください、スタンディングオーベーションです。このイベントもクライマックス、これから頼候補の選挙演説が始まります」
【民進党・頼清徳候補】「会場のみなさん、こんばんは。台湾の選択を全世界が見守っています。どんな1票でも、台湾が前進するための力を合わせる1票です。あさって、みんな投票しに行こう。必ず投票しましょう」
地元メディアによると最新の調査では与党・民進党が32パーセントと、ややリードしていますが、依然として接戦です。 いよいよ、13日に投票日を迎える台湾総統選。新しいリーダーは一体誰になるのか。台湾市民は大きな選択を迫られています。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年1月12日放送)