「パラレルキャリアのJリーガー」 サッカー選手の傍ら『移動式子ども食堂』を運営 クラファン180万円で調達したキッチンカーで子どもたちに夢と笑顔を 2024年01月13日
サッカーJ3でベストイレブンに輝いた浅川隼人選手(28歳)。ピッチでの輝かしい活躍の傍ら、実は「移動式子ども食堂」を運営しています。
子どもたちに夢を与えるJリーガーの思いとは。
■輝かしい活躍の傍ら「子ども食堂」を運営
2023年、Jリーグの3部「奈良クラブ」のフォワードとして16得点を獲得し、得点ランキング2位でベストイレブンにも選出された浅川隼人選手(28歳)。
オフシーズンのある日、奈良にあるフリースクールの子どもたちを訪ねました。
子どもたちとサッカーのミニゲームを楽しんでいましたが、訪れた理由はサッカーではありません。自身が運営する「移動式子ども食堂」のお弁当を提供することが目的でした。
サッカー選手として活躍する浅川さんが、なぜ「子ども食堂」の運営を始めたのか。きっかけは4年前に、フィリピン・セブ島で開いたサッカー教室でした。
【浅川隼人さん】「衝撃的だったのはゴミ山とか、スモーキー・マウンテン。その周辺からゴミのにおいが来ているような。何かを探して、それを生活費として、というところなので。そこでばい菌が入って足を切断しないといけない子どもたちとか。自分でまず、何かできないかなというのが一番大きかったですね。子ども食堂をやっているのも、こういったことで世界の貧困に目を向けたところから、日本でも『夏休みになると学校給食がなくなっちゃうので(困る)』という子もいると。日本でもできることはあるよねって思って」
昨年の夏頃、クラウドファンディングで180万円を集めた浅川さん。そのお金でキッチントレーラーを準備し、奈良県内で2023年だけで8回、移動式子ども食堂を開催しました。
この日提供されたのは、地元・奈良で採れた食材を使った「大豆ミートのハンバーグ弁当」。それを食べた子どもたちの反応は?
【子どもたち】「おいしい!」「おいしいですよ」
Q.浅川選手と会ってみてどうだった?
「(サッカーが)うまかった」
子どもたちにサインを書いたり、優しく笑顔で接する浅川さん。
【浅川隼人さん】「小学校2年生のときにサッカー選手になりたいと思って夢を持ってがんばってきました。今サッカー選手になって6年間プレーしています」
【子どもたち】「じゃあ6歳ってこと?」
【浅川隼人さん】「違う!」
子どもたちとの時間を和やかに過ごしていました。
【浅川隼人さん】「楽しかったですね。こうやってすてきな反応があったりするとめちゃくちゃうれしいなと思いますし、“子どもたちがいずれ次の世代に”と思うと、やっぱもっとやらなきゃなって思いがある」
サッカー選手にとってオフシーズンといえば体を休めるものですが、浅川さんは大忙しです。
【浅川隼人さん】「きのうの夜に東京から帰ってきたばっかり。来週も実は熊本に行かないといけなくて、熊本でイベントやってきたり、今まで行った各地でイベントとかもやりながら」
サッカー以外の活動をここまで大切にするのは、“人のため”だけではないといいます。
【浅川隼人さん】「午前中に練習があって、午後からは基本的にこの事業をずっと活動しているので。子ども食堂するとか、この日はどこかで講義するとか、子どもたちと触れ合うとか。体的にきついことはもしかしたらあるかもしれないけど、でも子どもたちと触れ合うことでそれがパワーになるみたいな。こういう活動をやることが、結局僕の力になっているなと感じていますね」
■選手としてはJリーグベストイレブンに
浅川さんは、サッカー選手としても結果を出してきました。
【浅川隼人さん】「(JFLからJ3に)昇格した日の試合は立ち上がれなかったですね、泣きじゃくって。今後そういうことないと思うんで、キャリアの中で。今も涙腺うるうるしてきましたけど」
2022年、Jリーグ入りを果たした「奈良クラブ」。そこで浅川さんは2023年、全38試合出場を達成しました。16ゴールを叩き出し、ベストイレブンに輝いたのです。
【浅川隼人さん】「僕は夢を描いてきたからこそサッカー選手になれたし、夢を伝えられたり、夢をサポートできたり、一緒に作っていけたり…今後も“浅川隼人”としてはやっていきたいなと思っています」
「キッチンカーも、47都道府県どのチームにもあればすてきだなと思いながら、まずは僕がこういう活動をやることで、そういった道を切り開いていけるような存在になれればいいなと思います」
そして、来シーズンの目標については…。
【浅川隼人さん】「今年、得点王を取れなかったんで、来季こそ得点王取りたいし、昇格するっていうところは意識してがんばっていきたい」
そんな浅川さんはプレーが評価され、長野県の松本山雅FCに電撃移籍。7日に記者会見が行われ、そこで抱負を語りました。
【浅川隼人さん】「できるだけこの地域の皆さんと近い距離感でいたいなと思っているので、チームもうまく絡めながら、また地域の皆さんと一緒になって何かしら活動できたらと思っています」
そこで気になるのが、移動式子ども食堂の今後の活動。浅川さんに聞いたところ、奈良クラブの選手たちが中心となって今後は引き継いでくれるそうで、奈良のNPO法人などとも連携しながら活動を続けていくということです。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年1月8日放送)