一般ドライバーが自家用車を使って、有料で客を運ぶ「ライドシェア」を2024年4月から大幅に解禁する方針を政府が固めました。 「ライドシェア」の安全性、そして料金について、交通事情に詳しい、流通経済大学の板谷和也教授に聞きます。
■「ライドシェア」の政府案
まずは政府が発表したライドシェアの中身を見ていきたいと思います。 12月20日、発表された政府の方針では、来年4月から、タクシーが不足している地域や時間帯を限定し、地域のドライバー・自家用車を活用して行います。配車はアプリで行うものと想定しています。そして、運行管理はタクシー会社が行うということです。 この政府の方針について、板谷教授は「タクシー会社に配慮しドライバーを確保する策」になりえると考えています。これで本当にドライバーの確保につながるのでしょうか?
【流通経済大学 板谷和也教授】 「もともとタクシー会社は2種免許を持っていない方も、ドライバーとして採用するということをやっていました。そういう方を採用した時には、2種免許の取得を会社側が金銭を負担して、研修を施して、タクシーの運転手として働いてもらうということをやっていたのですが、今回その部分が要らなくなるので、採用したらすぐタクシーの運転手として働いてもらうことができるようになります。タクシーの事業者側からすると、この部分が軽減されますので、今までよりも少し人手不足の解消につながる可能性があると思っています」
■安全性はタクシー会社基準で安心?
今回のライドシェアについてはいくつか疑問があります。 免許をもっていてマイカーもあり、ドライバー側にも利用者側にもなることが可能な状態です。
‐Q:免許があれば、初心者やペーパードライバー、高齢者の方でもなれるのでしょうか?
【流通経済大学 板谷和也教授】 「制度上、誰でもいいということになっているわけですけど、それを実際に審査するのがタクシー事業者ということだと思います。これまでもタクシー事業者ではドライバーとしてふさわしい人かどうかの審査はかなりきっちりやってきたところが多いと思います。そうしますと、タクシードライバーとして、ふさわしくない人はライドシェアの運転手としては採用しない方がいいと、おそらく想定して人選をしてくださるのではないかなと。それはちょっと私が期待しているところです」
‐Q:ドライバーはどれくらい稼げるのでしょうか?
【流通経済大学 板谷和也教授】 「制度がはっきりしてないので、何とも言えないのですが、たくさんのお客さんが乗ってくださるのであれば、そこそこ稼げる可能性はあります。しかしお客さんがいるかどうかっていうのは状況と地域に左右されます。さらに、特に山間部や、あるいは地方で全然お客さんが、今いないようなところでライドシェアをやってもおそらくそんなに稼げないのではないかと思います。そうすると、そもそもライドシェアをやりたいという人が出てくるかどうかもわからないかもしれないです」
■これから利便性は向上していく
視聴者からLINEで質問がきています。
‐Q:ライドシェアが増えるとタクシーが減ってしまいませんか?
【流通経済大学 板谷和也教授】 「実際にライドシェアが増えた場合にタクシーが減ることは可能性としてあります。ただ今の段階で、それをあまり気にする必要はないと思います。私の見込みでは、いまの政府案ではライドシェアで働く方々が、たくさん稼げる状態になっていないので、そこまで増えないような気がします。そのためタクシーがすぐに減るということはないと思います」
‐Q:繁華街ではタクシーの空車も目立ち本当に不足していますか?
【流通経済大学 板谷和也教授】 「場所と時間によってタクシーの需要って全く違います。今この時にはすごくタクシーが足りないけど、別の時間帯には余って困っているというようなことがよくあります。どこで不足しているかというのは、データを使ってきちんと把握しないといけません。今回の政府案では、本当に不足しているところでライドシェアを導入してはどうかということをやっていますので、足りないところを見定めて、実験的に取り組んでいくということであれば、こういう取り組み自体は積極的に行っていくべきではないかと私は思っています」
まだまだ課題が山積のライドシェアですが、ドライバー、乗客の双方が快適で安心して乗れるような仕組みになればなと思います。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年12月20日放送)