人の命を守る医師。 その医師の命を守るために、家族が直接国に声を伝えました。 神戸市の病院で過重労働が原因で自ら命を絶った医師の母親らが労働環境の改善を求める要請書を政府に提出しました。
12月20日、東京都内で開かれたある会合。 集まったのは過労で命を失った医師の家族たちです。
その中の一人、高島淳子さん。息子で神戸市の甲南医療センターの医師だった晨伍さん(当時26)が2022年5月、自宅で自ら命を絶ちました。 晨伍さんの時間外労働は、亡くなる前の月が約200時間で直前の3カ月平均でも165時間。その後、極度の長時間労働が原因だとして労災認定されました。
しかし、病院側は長時間勤務について、知識や技術を磨く“自己研さん”の時間も含まれていて、「過重な労働は強いていない」と主張。 晨伍さんの自己研さんなどを理由に、病院側は責任を否定しています。
【医師の過労死家族会共同代表 高島淳子さん】 「昨日書類送検されたことに安堵する一方、晨伍はもう2度と戻ってこないという現実に改めて向き合っています。いまだ謝罪はおろか、晨伍の死に関する説明をしていただけない、甲南医療センターの対応に怒りと悲しみを感じています」
そんな中、淳子さんと医師である兄は、ほかの過労死した医師の遺族たちと「家族会」を設立。20日、初めて会合を開き、自己研さんの業務や時間を明確にすることなどを求めた、働き方改革についての要請書を厚労省に提出しました。
【医師の過労死家族会共同代表 高島淳子さん】「医師の過労死ゼロを実現するために、皆さまが『医師の過労死家族会』とともに考え進んで下さることをお願い申し上げます」
命を守るために必死に働く医師。 その命を守るための対策は進むのでしょうか。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年12月20日放送)