視力1.0未満の子どもの割合が過去最大ということで、視力低下を防ぐためにはどうすればいいのか? 最新の治療法も含め、子どもの近視について詳しい、先進会眼科の岡義隆医師に聞きました。 岡医師の病院では、子どもの患者さんは増えていますか?
【先進会眼科 岡義隆医師】 「近視の治療を目的にという患者さん、お子さんはいま、コロナ前の2倍ぐらいの数になってます」
■近視の進行度は30センチで大きく変わる
このまま視力が低下すると、失明を引き起こす疾患にかかる確率がすごく上がるということです。 緑内障になる割合は4~14倍、網膜剥離となると数100倍にもなるそうです。
【先進会眼科 岡義隆医師】 「近視には軽い・中くらい・重いという程度があり、特に強い近視の場合は、将来、失明をしてしまうような病気になる率がすごく上がってしまいます。近視自体は例えば眼鏡を掛けるなどすれば見えるのですけども、いまの主眼は実はそこではなく、小学校、中学生ぐらいの時に近視の進行を抑制することで、将来にわたってこのような目の病気をしにくくなるということです。特に緑内障なんかは日本で一番の失明原因ですし、網膜剥離も含めた黄斑変性と言われる病気など、本当に数100倍のリスクになってきます。だから病気をしないために近視の進行を止めるっていうのが、いまのメインになってきてます」
子供の頃から気をつけなければならないということです。では、子どもの視力が低下した場合、どう対応すればよいのでしょうか? まずはよく知られているように、眼鏡やコンタクトレンズで視力を矯正する、そして低濃度アトロピン点眼薬という目薬があるので、さすことで近視の進行を遅らせることができます。 そして最近注目されている視力矯正方法が、オルソケラトロジー。通称“夜コン”と言われるものです。
■オルソケラトロジーは子どもの近視の進行を抑制する治療方法
視力が低下した時に眼鏡とか点眼をするとのことでしたが、オルソケラトロジーとの違いは何でしょうか?
【先進会眼科 岡義隆医師】 「最大の違いは通常の眼鏡、コンタクトの場合は、視力は出ますけども、近視の抑制効果は事実上、全くありません。眼鏡、コンタクトをしたらというわけではないんですけれども、しても近視は進行していきます。今までも過去、みなさんそうだったと思います。オルソケラトロジーは近視の進行を大幅に遅らせることができるので、失明をしてしまうようなリスクの高い病気になるのを、ある程度抑える事ができるというところが最大の特徴です」
コンタクトとオルソケラトロジーのレンズはどのような違いがあるのですか?
【先進会眼科 岡義隆医師】 「ものとしては、いわゆるハードコンタクトの類いになります。オルソレンズは角膜に視力が出るような痕が付くように圧迫するようなレンズです。日本の大規模調査で分かっていることですが、着用を2週間中止すると、完全に元に戻ります。これも悪い面でもあり、いい面でもあります。使い捨てではなく毎月お金はかかります。2年に1回交換をして新たらしいレンズにしていただく必要があります。これは小学生、中学生の時に主にやるものなので、ここでしっかり抑えることができれば、将来起こりうるリスクに対応できるということになります」
全ての子どもの視力を改善できると思っていいのでしょうか?
【先進会眼科 岡義隆医師】 「基本的にはまず目に使える子どもになります。あんまり小さな子だと、怖がっちゃったりして使えない子がいます。ただ、経験上、昼間つけてるわけじゃないので、つけて寝るので、つけてさえしまえばそんなに問題はありません」
■勉強するときは適切な明るさを
視聴者から質問です。
‐Q:子どもは食卓で勉強しています。手元を明るく照らす、電気スタンドなどは必要?
【先進会眼科 岡義隆医師】 「おいしく食卓でご飯を食べるのに必要な明るさと、宿題も含めたデスクワークをするのに必要な明るさが違います。ですから通常の場合は、やっぱりちょっと食卓が暗いです。もともと明るい部屋であればいいのですけども、ちょっと薄暗いかなという場合は、やっぱり適正な明るさにしてあげることで、目が疲れにくくなります。それと暗いところで物を見ると、目に負担がかかって、最終的に近視を進めてしまうことになるので、適正な明るさが必要かなと思います」
‐Q:ブルーライトカットのメガネや液晶保護フィルムの使用は、推奨されますか?
【先進会眼科 岡義隆医師】 「近視の進行を抑制するという点では意味はありません。何に効果があるかというと、疲れ目予防やブルーライトカットすると入眠障害、要は眠れない感じを抑えることができるというところであって、視力の話ではないということを、ご理解いただけるといいかと思います」
‐Q:親の視力は、子どもに遺伝しますか?
【先進会眼科 岡義隆医師】 「ばっちり遺伝します。親御さんのうちどちらか、もしくは両方に近視のある方の場合だと、お子さんに遺伝する確率は2倍から8倍と言われてます」
(関西テレビ「newsランナー」 2023年12月11日放送)