直近5年間で安倍派のパーティー収入から1000万円を超えるキックバックを受け、政治資金収支報告書に記載していなかった疑いが、松野官房長官に浮上しています。8日の国会で野党から追及を受けましたが、松野官房長官は繰り返し「派閥が事実確認中。精査して適切に対応する」とだけ述べました。 ついに岸田政権の中枢にまで疑惑が及ぶことになった「裏金キックバック疑惑」。自民党も政府も大揺れということで、「検察OBに聞く“立件”の可能性」それから「自民党ベテラン秘書が漏らす政権の今後」についてみていきます。
まず松野官房長官の答弁について、番組コメンテーターの京都大学大学院・藤井聡教授は、「政府としての答弁を求められたときには、政府としての答弁をしないといけないが、個人について聞かれているときに『政府の立場だから答えられない』と発言を繰り返していたのは、言葉に責任を取ることになってないですよね。国会は言葉で議論を戦わせて、日本の命運を決める場所です。それを冒涜するような言葉がやりとりされているのが、極めて由由しき事態であって、国民はこのような答弁を許してはならないと、私は改めて思います」と話しました。
捜査の行方について、元大阪地検検事の亀井正貴弁護士によると、「裏金にしていたら立件の可能性もある」ということです。
・「不記載という個人的責任」と「派閥を取り仕切る事務総長としての責任」の両方がある。
・指示などを出していれば共謀の罪に問われる可能性もある。
・検察が立件できるかどうかは、証言や物証を押さえられるかがカギ。金の流れ(誰からもらったか)を記したメールやメモがあるはず。
だということです。 松野氏は進退も含めて相当深刻な事態になるかもしれません。
【京都大学大学院 藤井聡教授】 「官房長官の立場でありながら、刑事罰の対象になるかもしれないと。刑法違反ということになるわけですから、極めて深刻な問題ですね」
今回の問題を受けて、自民党内では次のようなベテラン秘書の話があります。
【自民党ベテラン秘書の話】「松野官房長官はもうもたないでしょう。来週には岸田政権の支持率も10パーセント台も確実だろう。逮捕者とか出て、ボロボロになって『岸田さんはもう終わりだろうから、新しい人で改革を訴えて選挙をやるしかない』と若手議員らは言っていた」
ということです。 なお11月のFNNの世論調査で岸田政権の支持率は27.8パーセントでした。 自民党内にはかなり危機感が広がっているようです。
【関西テレビ 神崎博報道デスク】 「先日、あるベテラン議員に話を聞きました。この議員は派閥に属してない無派閥の人で、『キックバックに関わっていないにもかかわらず、自民党の議員全員が悪いことをしているようにみられて迷惑している』という話をされていました。今の政治不信の高まりに非常に危機感を感じていまして、ベテラン議員ですので例えば1993年の細川政権の時や2009年の民主党政権の時に、自民党が選挙で負けて野党になった時のことを思い出し、その直前の状況に似ているというんです。それぐらい政治不信が高まっているので、早めに大きく手を打たないといけないといいます。今、パーティー券が問題になっていますが、政治資金そのもの、例えば企業献金を全部止めて、政党助成金だけで政治するというぐらい、大胆な新しいやり方を見つけないと、この政治不信は拭えないのではないかと話していました」
今のところ説明責任は全く果たされていません。来週国会の会期末を迎え、本格的な捜査はその後になるとみられます。捜査がどこまで進展していくのか、しっかり見ていかなければなりません。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年12月8日放送)