11月30日から、大阪・関西万博の前売り券の発売が始まりました。新たに800億円あまりの費用負担が明らかになるなど、問題も指摘される中、チケットは売れるのでしょうか?
■開催まで残り500日 前売り券の販売開始 各地で“必死”に盛り上げる
30日で、大阪・関西万博の開幕まで残り500日です。万博機運を高めようとあちらこちらでPRが行われています。
【記者リポート】 「ラッピング列車が大阪駅のホームに入ってきました」
30日から大阪環状線とJRゆめ咲線では公式キャラクターの「ミャクミャク」が描かれた列車の運行が始まりました。
【利用客】 「子供たちにもなじみが出てすごく身近でいいと思います」
さらに東京でも、人気アーティストが万博の魅力や入場券の購入方法を伝えました。
【FANTASTICS from EXILE TRIBE・中島颯太さん】 「地元・大阪に世界中の人が集まったり、未来にワクワクするものが集まることがすごく楽しみではありますね」
万博の入場券は、オンラインのみで購入できる電子チケットで、前売り券は、開期中、1回入場できる「一日券」のほか、開期中、何度でも入場できる「通期パス」など複数のチケットが販売されています。
■60代万博マニアが悪戦苦闘 電子チケット分かりにくい
そんな中、前売り券の発売を心待ちにしていたのが、大阪市に住む藤井秀雄さん(65)。小学生のころに訪れた1970年の大阪万博に魅了され、以降、世界各地で開催されるほぼすべての万博に足を運んでいる「万博マニア」です。
【万博マニア・藤井秀雄さん】 「これ(チケット)を買っておかないと(万博)行けないんで。一番最初に買っておく方が(安心)」
購入するのは、開幕日から2週間の間に1回入場できる「開幕券」を5枚、会期中、何回でも入場できる「通期パス」を1枚、合計で5万円分の前売り券です。
まずチケット購入には、「万博ID」の事前登録が必要です。
【万博マニア・藤井秀雄さん】 「(登録は)慣れていないと大変かな。認証コードって何やねんとかワンタイムパスワードって何やねんとか、アプリをダウンロードしても(購入サイトに)どうつながるのかが非常に分かりにくい」
購入手続きに進みますが…
【万博マニア・藤井秀雄さん】 「エラーが発生した。何で『不正な操作』やろ…、何があかんねやろな…」
システムエラーでなかなか購入することができません。
スマートフォンから購入してみると…
【万博マニア・藤井秀雄さん】 「完了しました。買えました。『ようやく会場の中にも入っていけるんや』という思い。週に3~4回ぐらいは行くんじゃないかな」
万博を知り尽くす藤井さんですら、購入完了まで、およそ1時間かかりました。
【万博マニア・藤井秀雄さん】 「マニアにとっては残るもの(紙のチケット)が何もないのは悲しくて。お年寄りとかスマホを使ってない人にとっては難しいと思う。紙ベース(のチケット)もあってもしかるべき。会場内でもお金受け渡しをなくして、全部電子決済という話もあるが、理想はいいと思うが、できない人への対応をおさえてほしい」
■増え続ける費用 世論調査で…8割以上の人が開催に不満
運営費の大半をチケット収入で賄わなくてはならない為、チケットは、万博の運営にも重要な意味を持っています。 博覧会協会は、2300万枚の販売を目指していて、6割にあたる1400万枚は前売り券でさばきたい考えです。関西の主要企業を中心に、およそ300万枚の前売り券の購入を承諾してもらったことも明らかになっています。
ただ、ここで足かせになるかもしれないのが、増え続ける費用の問題です。当初の1.9倍に上振れした最大2350億円の会場建設費だけでなく、会場の警備費用など、合わせておよそ837億円に上る国の負担が判明しました。
11月に実施されたFNNの合同世論調査では、8割以上が現状のままでの開催に不満を持っているという厳しい結果となりました。
【街の人は…】
「楽しみだけど、ちょっと盛り上がってないね」
「(Q.ミャクミャクの名前知らない?)知らないです」
「(500日前というのは?)知らなったです。(チケット買う?)いや、そうは思っていないです」
世間からの期待は薄いようですが、協会側は…
Q:チケットが思うように売れなかった場合、結果的に運営費に国費を投資する可能性は?
【博覧会協会・石毛博行事務総長】 「そういったことにならないように、全力を挙げて収入確保に努めていかなくてはいけない」
■2005年「愛・地球博」成功理由『パビリオンの中身』見えたから
万博に人を呼ぶには、どうしたら良いのか?2005年に「自然の叡智」をテーマに愛知県で開催された「愛・地球博」。 当初の評価は厳しかったものの、開催1年前までの前売りの1期目で、目標の4割以上を売り上げ、結果、予想を超える1.5倍の人が訪れ、最終的な収益は黒字となりました。
戦略として、告知イベントや、マスコットを使ったPRも行ったものの、ムードが高まったのは、「パビリオンの中身」が見えてきてからだったと、当時、事務総長だった中村利雄さんは話します。
【2005年「愛・地球博」中村利雄元事務総長】 「(開催1年半前は)徐々にいろんなものが具体化して、いろんな明るい話題が出始めた時期だったと記憶しています。パビリオンの具体的な中身とか、どういうイベントが行われるかとか、そういうものが見えてきて、徐々に関心が高まる。この万博が何を訴えたいのか、建設の過程から見えれば、理解は深まると私は思います」
あと500日で始まる万博。開催に向けて、万博への関心は高まっていくのでしょうか?
(関西テレビ「newsランナー」 2023年11月30日放送)